僕⇒俺
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#425 [氷雨]
「あ……俺、北原さんの事、知らないし…」
ありきたりな言葉を発していた。
北原さんはしばらく黙った後に言った。
「今から知ってほしいんだ。私も陽君の事、何も知らない…知りたいから付き合いたいの」
:08/03/29 20:23 :D704i :☆☆☆
#426 [氷雨]
俺は携帯の向こうで笑顔で微笑んで緊張しているであろう北原さんを想像した。
北原さんはすごいな……。
ただそう思った。
「俺さ…好きな人がいるんだ」
叶わない恋だけれど…
心で呟いた。
:08/03/29 20:25 :D704i :☆☆☆
#427 [氷雨]
葉山さんが頭に浮かぶ。
そして、小宮が笑う。
胸がズキリと傷んだ。
「北原さん………?」
何も喋らなくなった北原さんにはなしかける。
『あ……ごめんね。陽はその人と付き合うの…?』
北原さんは真剣な声で俺に言う。
:08/03/29 20:35 :D704i :☆☆☆
#428 [氷雨]
「付き合えない。たぶん無理なんだ」
俺は、はっきりと言葉にして返した。
『そっか…、陽君…試しでいいんだ。放課後に一緒に帰るだけで、それだけでいいから、付き合えないですか?』
北原さんの声はいつもより、今まで以上に真剣な声だった。
俺は黙ったまま考える。
:08/03/29 20:38 :D704i :☆☆☆
#429 [氷雨]
「けど……、俺…北原さんを利用してる…」
また違う痛みが陽を襲った。
利用なんてダメだ…
けれど、それ以上に心を傷んでいた。
『私は……陽君が隣にいるだけで幸せだと思うの…。側にいさせてください』
泣きそうに震える声で北原さんは言った。
:08/03/29 20:42 :D704i :☆☆☆
#430 [氷雨]
「俺でいいの?」
気づいた時にはそう言ってしまっていた。
すぐに
『陽君がいいの!!』
そう明るく嬉しそうな声が聞こえた。
:08/03/29 20:44 :D704i :☆☆☆
#431 [氷雨]
俺は最低な事をした。
気持ちを安易に考えたんだ。
俺は何も考えないで傷つけた。
:08/03/29 20:47 :D704i :☆☆☆
#432 [氷雨]
―――――――………
「陽兄ーーー!!起きろい!」
耳が張り裂けるように響いた声に俺は布団を蹴り上げた。
三依はけらけら笑い言う。
「へっへーー今日は私の勝ちーーー!!」
三依が先に起きている事なんて今の今まであっただろうか。
:08/03/29 20:50 :D704i :☆☆☆
#433 [氷雨]
「ほんとに………?」
俺は愕然とけらけら笑う三依を見上げた。
三依は偉そうに俺を見て、「やーーい、寝坊助」と笑った。
少しムカッときたけれど、三依らしいな、と俺は微笑んだ。
:08/03/29 20:53 :D704i :☆☆☆
#434 [氷雨]
「それでねー…」
三依は自慢気に言うとリビングまで溜めた。
リビングに近付くと何か匂いがした。
「朝ご飯!作ってみた!!」
扉をバンっと開けると、少しだけ焦げくさい、けれど美味しそうな匂いが鼻に届く。
:08/03/29 21:08 :D704i :☆☆☆
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