僕⇒俺
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#600 [氷雨]
と、言った。
「なっ…!お前はいつもそんな事ばかり考えてるのかっ!?」
孝裕さんが焦りながら雅さんに怒鳴る。
雅さんはそんな孝裕さんを無視して尋ねた。
「陽と孝裕、知り合いだったの?」
やっぱり怪訝そうな顔で俺と孝裕さんを交互に見る。
「いや…、どこかで見た事があるんだ」
:08/05/05 08:09 :D704i :☆☆☆
#601 [我輩は匿名である]
:08/05/05 12:53 :P902iS :☆☆☆
#602 [x]
この小説大好きです
更新頑張って
下さいx!!
:08/05/05 17:32 :W54T :☆☆☆
#603 [氷雨]
我輩さん
アンカーありがとう!
さん
大好きですか!?ぅわぁぁあ!すごぃ嬉しいです!
今日、更新予定です。暫しお待ちを!!
:08/05/06 13:06 :D704i :☆☆☆
#604 [氷雨]
孝裕さんは俺をジッと見る。
俺も暫くは見ていたんだけど、いたたまれなくなり視線を逸らした。
「あ…………」
孝裕さんは思い出したかのように声をあげる。
雅さんも当然のようにその言葉に食い付く。
「何なに!?思い出した!?」
:08/05/06 16:10 :D704i :☆☆☆
#605 [氷雨]
元気な子犬のように孝裕さんに飛び付く。
けれど、孝裕さんは考えるというように手を頭に置き、答えを探していた。
「なんだ、まだかよ…」
そんな姿に雅さんは面白くなさそうに孝裕さんから離れた。
けれど…
「雅…、お前もよく知っている御人を思い出さないか?」
:08/05/06 16:15 :D704i :☆☆☆
#606 [氷雨]
孝裕さんから出た【御人】と、いう言葉に雅さんの体がピクリと反応した。
「【御人】だ………?」
確かめるように繰り返した。
雅さんの言葉に孝裕さんは頷く。
次は雅さんからの視線攻撃。
またもいたたまれなくなって視線を逸らす。
「あ………っ!!え……?」
:08/05/06 16:20 :D704i :☆☆☆
#607 [氷雨]
雅さんも思い出したかのように声をあげて、「マジ……?」、そう呟いた。
孝裕さんが意を決したように俺に尋ねる。
「陽?もしかしたらな、お前の父親は彩史さんか?」
突然出た父親の名に瞳をパチクリさせる。
雅さんも孝裕さんも真剣そのもので…
「どうして、お父さんの名を知ってるんですか?」
:08/05/06 16:24 :D704i :☆☆☆
#608 [氷雨]
俺は驚きを隠せずに言った。
お父さんが関係あるの?
眉にしわが寄る。
「陽………、本当に。本当に彩史さんの息子なのか?」
孝裕さんは呟くように俺に尋ねる。
雅さんも俺をジッと見つめている。
「うん、俺のお父さんですけど…。お父さんを知っているんですか?」
:08/05/06 19:38 :D704i :☆☆☆
#609 [氷雨]
もう1度質問して、そこで俺はハッと気付いた。
お父さんはモデルをしていたんだ。
「俺の先輩。俺の憧れ…」
雅さんが呟いた。
俺は雅さんの顔を見上げた。
その顔は嬉しそうな、悲しそうな顔をしていた。
「雅…さん……?」
:08/05/06 19:42 :D704i :☆☆☆
#610 [氷雨]
「なぁ。…今日、陽ん家いってもい?」
雅さんは何かを我慢したように言う。
俺は直ぐ様返事をする。
「はいっ、大丈夫です」
そう言ってにっこり笑った。
「俺も行くから」
後ろから当然のように声が聞こえる。
「はいっ!」
孝裕さんにも笑顔を送った。
:08/05/06 19:48 :D704i :☆☆☆
#611 [氷雨]
「ただいまーー!」
俺は元気よく自宅の玄関を開けた。
リビングからいつものようにバタバタと足音が近づく。
「はーーるーーーーっ!」
「んぐっ…!」
いつものように我が父親は俺に抱き付き満面の笑みを向けた。
「おかえりっ!!」
:08/05/06 19:56 :D704i :☆☆☆
#612 [氷雨]
少し苦笑いをし、
「ただいま……」
と、我が父を自分から引き剥がした。
「あれ………?」
お父さんは俺の後ろに気づき、疑問を口にした。
「孝裕と雅じゃん!!」
俺の後ろの2人にも満面の笑みで笑った。
:08/05/06 20:05 :D704i :☆☆☆
#613 [氷雨]
後ろを振り向き、2人を見ると口をぱくぱくしていた。
「彩……史……さん……」
震える声で雅さんは呟いた。
あの俺様の孝裕さんでさえ、なんだか震えている。
「おう!元気そうだな!陽が世話になってるらしいな、ありがと」
お父さんは茶目っ気に言ってウインクした。
:08/05/06 20:40 :D704i :☆☆☆
#614 [氷雨]
「彩…史さん……、どこにいたん…ですか……?」
孝裕さんが独り言かと思うくらい小さな声で呟いた。
お父さんは孝裕さんの言葉を聞くと、少し考えていた。
そして、少しの沈黙の後、お父さんは言った。
「モデルは楽しかった。けど、俺、もう1つの夢を叶えなかったんだよな」
目を輝かせて。
:08/05/07 22:51 :D704i :☆☆☆
#615 [氷雨]
「だから、夢、叶えるためにモデル辞めたの」
少年のように言うお父さんに雅さんと孝裕さんは険しい顔をした。
「突然……、突然、何も言わずに俺らを置いて……?」
雅さんの声はやっぱり震えている。
「言ってくれたら……!!」
納得していない、という風に悔しそうに言葉を止める。
:08/05/07 22:56 :D704i :☆☆☆
#616 [心]
更新楽しみに
してますx
頑張って下さいy
:08/05/10 11:06 :W54T :☆☆☆
#617 [氷雨]
心さん
ありがとう!!今日、少し更新します!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「俺がお前らにどうして黙って行ったのか…わかる?」
お父さんは急に真剣な顔になり、雅さん、孝裕さんに問い掛けた。
「「………っ!」」
その言葉に2人は口を閉ざす。
《どうしてなのか》をわかっているから。
:08/05/11 19:48 :D704i :☆☆☆
#618 [氷雨]
「確かに……、辞めると言われたら断固反対してました…!」
孝裕さんは今にも泣きそうな切ない顔してお父さんに訴える。
「けど、突然…目標のなくなった俺らは、ただただ虚しかった」
少し言葉を開けて、思いを伝える。
お父さんはそれを瞳を閉じて、聞いていた。
雅さん、孝裕さんにとってお父さんは《目標》であったのだと、俺は蚊帳の外で聞き、ただ立ち尽くしていた。
:08/05/11 19:54 :D704i :☆☆☆
#619 [氷雨]
おはよございます!
そして、すみません(/_;)
たぶん…、1週間程ここにはこれなくなってしまいます。
更新が遅い上にこれなくなりますが…、見捨てないでやってくれたら嬉しいです。
またまたたぶん…ですが、土曜くらいに1度来れると思います!
それまでの留守、本当にすみません…°・(ノД`)・°・
:08/05/12 06:28 :D704i :☆☆☆
#620 [心]
土曜日まで
待ってますx
あげ続けます笑
:08/05/12 18:32 :W54T :☆☆☆
#621 []
:08/05/12 19:52 :D903iTV :☆☆☆
#622 [氷雨]
心さん
待っててもらぇたんですか!?もぅ!!すごぃ嬉しいデス°・(ノД`)
氷雨!頑張って更新しますね!本当に嬉しいですーーー!!
さん
アンカー!ありがとう♪!!
:08/05/17 08:22 :D704i :☆☆☆
#623 [はるか]
あたしも待ってまーす
v(* ̄U ̄*)
:08/05/17 10:16 :W51S :☆☆☆
#624 [氷雨]
はるかさん
はるかさんもですか!?氷雨!嬉しすぎて涙でそうです!ワラ
ありがとう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「あの……」
そして、俺はついに声にする。
「お父さんって何がしたかったの…?」
蚊帳の外にいたけれど、気になる事が1つ。
俺の声と共にハッとしたようにその場の空気がガラリと変わった。
:08/05/17 20:21 :D704i :☆☆☆
#625 [氷雨]
「ん……?俺の夢か……?」
お父さんもいつものおちゃらけた雰囲気に戻り、俺の質問の返事を考える。
「そういえば…、夢ってなんなんですか?」
雅さんが反復するように尋ねる。
それに孝裕さんも同意するかのようにお父さんの顔を覗く。
「俺はーー、翻訳家になりたいんだ」
:08/05/17 20:25 :D704i :☆☆☆
#626 [氷雨]
はい……………?
翻訳家…って……?
俺は真っ白な頭に言葉を写す。
「翻訳家ですか……?」
孝裕さんは呆れたというか予想外すぎる言葉に呆気にとられている。
雅さんも左に同じで…
「え?お父さんって今、何してるんだった……?」
:08/05/17 20:28 :D704i :☆☆☆
#627 [氷雨]
あまり、家に帰ってこないお父さんを俺は全く気にもせずに生活していたんだ。
と、今更気付く。
『彩史はお仕事!!』
と、言い張るお母さんに俺は安心しきっていて、お父さんが何をしているのかも知らなかった。
そして、リビングから突然…
「陽は本当に馬鹿ねー、彩史は留学してたのよ」
:08/05/17 20:32 :D704i :☆☆☆
#628 [氷雨]
明るく元気な声が響いた。
「へー……留学かぁーー……………………、って!えっ!?」
改めて聞かされた新事実に俺は驚愕する。
雅さん、孝裕さんは驚きのあまりあんぐりの口を開けていた。
「えー……陽、本当に知らなかったのか……?お馬鹿さんだなぁー」
:08/05/17 20:35 :D704i :☆☆☆
#629 [氷雨]
お母さんよりも明るくおちゃらけた声に力が抜ける。
「俺?優秀でさ、特待生限定留学の許可つうか資格?貰えて!行っちゃった!ドイツ!!」
それはそれは嬉しそうに語るお父さんに俺は送る言葉もなくて、ただハハハと笑った。
「という事は大学に通われているんですか?」
孝裕さんが尋ねる。
「おう!」
お父さんはまたも明るく返事した。
:08/05/17 20:40 :D704i :☆☆☆
#630 [氷雨]
「そう……だったんですか…」
納得(少しだけ)したように孝裕さんは呟いた。
雅さんはまだ納得していないというように、不機嫌な顔をしている。
ていうか……、お父さんが大学生っていうのに俺は驚いてるのに誰も何も言わないの?
そんな思いは俺の胸の中に留まったけれど、解決する事はなかった。
:08/05/17 20:45 :D704i :☆☆☆
#631 [氷雨]
「モデルの仕事は……」
雅さんが小さく小さく呟く。
それにお父さんはわかっていたかのように素早く答える。
「俺はモデルを辞めた。復帰するつもりもない」
そうキッパリと言い放つ。
それでも、やっぱり雅さんは気にくわないといった顔で不機嫌になる。
「はは、子供みたいな所は変わらないな、雅。陽が居るだろ?」
:08/05/17 20:49 :D704i :☆☆☆
#632 [氷雨]
「へ………?」
突然の自分の指名にマヌケな声が漏れる。
「陽なら俺以上のモデルになれる、小さな頃から陽はモデル向きのセンス持ってたからな」
お父さんに褒められる事は日常茶飯事だけど、こんな対等とした褒められ方は初めてだった。
「そうだったかな?」
身に覚えのない事にクエッションを表す。
:08/05/17 20:53 :D704i :☆☆☆
#633 [氷雨]
「おう!俺は陽に基礎から叩き込んだからな!子供の頃に覚えた事は忘れにくいんだぞ」
お父さんはニカッと笑って、俺の髪を撫でる。
「納得……」
雅さんが呟く。
「陽ってモデルになるために生まれたみたいにセンス良かった。まっ!服以外は…」
後で付け足された《服》。
俺は服のセンスがまるっきりない。
:08/05/17 20:58 :D704i :☆☆☆
#634 [氷雨]
「服かぁ……、俺、大学生だからそこまでは…」
お父さんも苦笑いする。
孝裕さんはただ黙って頷いていた。
俺は言いたい放題言う、お父さんと雅さんを睨みながらワナワナと拳を握り締めて耐えていた。
「彩史さん!また来ていいですか!?」
:08/05/17 21:01 :D704i :☆☆☆
#635 [氷雨]
元気に子犬のようにハシャぐ雅さん。
あの後、ご飯をなぜか家族プラス雅さん、孝裕さんと一緒に食べた。
食べた後も雑談をして、お父さんと雅さん達は仲直り。
丸く収まったんだけど……
「おう!いつでも来い!」
:08/05/17 21:04 :D704i :☆☆☆
#636 [氷雨]
「やった!!」
「俺も……来ていいですか?」
少し遠慮がちに孝裕さんも尋ねる。
「いいに決まってる!けど、来る時は電話しろよ!」
その言葉に孝裕さんはものすごく嬉しそうに笑って、「はい!」と叫んだ。
そして、最後に……
:08/05/17 21:07 :D704i :☆☆☆
#637 [氷雨]
「あ、陽?さっきの話、進めておく」
そう言って孝裕さんは乗って来た雅さんの車に乗り込み扉を閉めた。
クラクションを小さく鳴らして去って行く車を見送りながら、俺は瞳を瞑り、覚悟を決めた。
リビングには家族みんな集まっていて、楽しくテレビを見ている。
:08/05/17 21:10 :D704i :☆☆☆
#638 [氷雨]
「俺!!」
そんな楽しい雰囲気をぶち壊すように俺は大きく叫んだ。
家族3人は驚いて声の主、俺に視線を送る。
1番に口を開いたのはお母さんだった。
「どうしたの?急に……」
不意を付かれたからかいつもの元気よさは隠れていた。
:08/05/17 21:14 :D704i :☆☆☆
#639 [氷雨]
「あーー……俺さ、本格的にモデルする。だから迷惑とか掛けるかもだけど……よろしく」
そう少し照れながら言った。
顔を上げると家族全員が笑顔で、
「迷惑じゃないし、むしろ支えてやる!」
生意気な口を聞きながらも俺は三依に笑顔を送る。
「本当にお馬鹿さん、迷惑なんてかけまくって?迷惑じゃないんだから」
:08/05/17 21:18 :D704i :☆☆☆
#640 [氷雨]
お母さんの優しい矛盾にも笑顔で「ありがとう」と言った。
「俺はお前のお父さんで先輩で師匠!頼りまくりなさい!」
いつもの明るくおちゃらけた物言いにも安心感が湧き、自然と笑顔になる。
「俺、頑張るよ!」
俺の夢は《トップモデル》
お父さんみたいなモデルになる事だ。
:08/05/17 21:22 :D704i :☆☆☆
#641 [氷雨]
新しい夢。
けれど、まだ進めない。
俺はまだ逃げ続けているから。
大切な大切な人を傷付けて。
けれど、進むという事はまた傷付ける。
俺はまた1人の人を傷付ける。
「三依?ちょっと話があるんだ」
:08/05/17 21:26 :D704i :☆☆☆
#642 [氷雨]
「何……?」
三依は何もわかっていない笑顔で俺に笑いかける。
俺は最低だ。
深く深く心が痛むけれど、言わなければ始まらない。
「俺は北原さんを好きじゃないんだ……」
自分で言いながらズキズキと胸が痛み、顔を顰める。
:08/05/17 21:29 :D704i :☆☆☆
#643 [氷雨]
:08/05/17 23:00 :D704i :☆☆☆
#644 [氷雨]
「……………………えっ?」
数秒してから三依はあやふやな言葉を呟く。
まだ俺の言葉を頭まで理解できていないのか、眉を寄せて考えている。
俺はただ次の三依の言葉を待つ。
暫くして……
「陽兄…?どういう事?」
睨みを利かせて俺に尋ねた。
:08/05/19 20:23 :D704i :☆☆☆
#645 [氷雨]
その瞳はギラギラと輝いて、俺の胸にチクチクと痛みが走る。
俺は重なくなった口を開く。
「『一緒に放課後、帰るだけでいい』って、北原さんが言って、俺はそれに逃げた」
三依の瞳を真っ直ぐに見て、逃げたい気持ちを抑えていた。
三依は明らかに《怒》の表情で俺の話を聞く。
「俺は葉山さんが好きなんだ。北原さんも知っているけど…、俺は葉山さんの気持ちが怖くて北原さんに逃げたんだ…」
:08/05/19 20:30 :D704i :☆☆☆
#646 [氷雨]
俺は言い訳をしている情けない男……
逃げた男。
けれど、俺は1歩を踏み出したい。
気持ちを伝えたい。
傷付ける事がわかっているのに、そう思ってしまう。
最低な男だ…。
何も喋らない三依を前に俺は自分を責め続けた。
:08/05/19 20:33 :D704i :☆☆☆
#647 [氷雨]
けれど……
「陽っ兄!!」
三依は明るく元気に俺に声を掛けた。
え…………?
その状況が掴めずに俺はいつの間にか下がっていた顔を上げ、三依を見る。
「知ってる……、全部知ってるよ」
:08/05/19 20:36 :D704i :☆☆☆
#648 [氷雨]
「な……にを…?」
小さく呟くと三依は苦笑いした。
俺は表情の意味が全くわからなくて、パニック寸前だった。
すると、三依は話し始める。
「愛美は全部お見通しだったよ。『陽君にはね!すっごく好きな人がいるんだ……、いつか別れる時が来ても、《ありがとう》って笑顔で見送るよ』って、言ってた……」
それは大きな瞳にたくさんの涙を溜めながらだったけれど、三依はそれを言う事をしなかった。
:08/05/19 20:43 :D704i :☆☆☆
#649 [774ch]
頑張れ-
:08/05/20 23:14 :D903i :☆☆☆
#650 [氷雨]
774chさん
ありがとう!風邪でダウンしてましたぁ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
俺は言葉を失う。
どうして?どうして、そんなに……
自分を犠牲にしてまで好きでいてくれるの?
俺の瞳には知らぬ間に涙が滲んでいた。
:08/05/22 21:48 :D704i :☆☆☆
#651 [亜美]
頑張って~
ずットみてますから_A
:08/05/22 21:50 :W52CA :☆☆☆
#652 [氷雨]
「げっ!陽兄!?」
なんとも場違いな声に俺は少し苦笑いする。
「大丈夫だから…、三依、ありがとう」
男らしくなく瞳に涙を溜めて思いを口にする。
三依は安心したように、ホッとため息をついた。
「それでも、男か!!」
最後にはやっぱり生意気な台詞を吐いたけれど、俺はそれに対して優しく笑った。
:08/05/22 21:53 :D704i :☆☆☆
#653 [氷雨]
亜美さん
ありがとう!頑張ります!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
次の日、俺は北原さんを放課後学校まで迎えに行った。
「ごめん!待たせた!?」
息を切らせて尋ねると北原さんはクスクス笑って…
「全然だよ!私も今、校門に来た所」
そう言って微笑んだ。
:08/05/22 21:59 :D704i :☆☆☆
#654 [氷雨]
優しくてふんわりとした雰囲気。
大人しそうに見えるのに内には強さを隠してる。
そんな女の子。
「陽君、今日はどこに行く?」
そう言いながら、さり気なく手を繋ぐ。
小さくて壊れそうな、手をソッと握り返した。
:08/05/22 22:03 :D704i :☆☆☆
#655 [氷雨]
「あのね、今日…ちょっと話があるんだ」
俺は意を決して呟くように告げた。
北原さんは驚きもせずにコクンと首を縦に振る。
「うん!公園、行こっか」
俺は手を引っ張られて北原さんに着いていく。
公園には散歩をしている人やサッカーをしている子供達がたくさんいた。
:08/05/22 22:07 :D704i :☆☆☆
#656 [氷雨]
冬だというのに意外と人はたくさんいて俺は驚いた。
「驚いてる」
北原さんはまたクスクス笑って俺をベンチまで引っ張り、ベンチへ腰掛けると隣をパシパシ叩いた。
「ここ!」
俺は北原さんの隣に腰掛ける。
:08/05/22 22:12 :D704i :☆☆☆
#657 [氷雨]
「私ね!この公園、大好きなんだ。だから陽君と来たかったの」
北原さんは優しく微笑む。
俺は今から、最低な事をしようとしていれのに…
北原さんは優しい笑顔をくれる。
けれど……
俺は口を開く。
「北原さっ………………」
:08/05/22 22:16 :D704i :☆☆☆
#658 [氷雨]
「陽君!楽しい思い出をありがとう!私は大丈夫だよ?幸せになってね」
俺の言葉を遮り、北原さんは叫んだ。
そして、また優しく笑った。
俺は思いもよらない展開に呆然と口をパクパクさせる。
それを見て、北原さんはキャハキャハと笑う。
:08/05/22 22:20 :D704i :☆☆☆
#659 [氷雨]
「そんな陽君、初めて見たー……、陽君……別れても仲良くしてね?」
今にも泣きそうな震えた声。
俺がそうさせているんだ、と思うとズキリと胸が痛む。
けれど…、俺は……
1度、瞳を閉じ…開く。
「うん、当たり前だよ?俺こそ仲良くしてね?」
:08/05/22 22:25 :D704i :☆☆☆
#660 [氷雨]
その言葉を聞いて、また北原さんは笑い出した。
ぇぇえええっ?どうして…?
俺は意味がわからなくて、首を傾げる。
北原さんは一通り笑い終えると言った。
「陽君って面白い!!」
どして……?
やっぱり意味がわからない。
意味を聞いても、北原さんは笑って誤魔化した。
:08/05/22 22:29 :D704i :☆☆☆
#661 [氷雨]
そして、俺達は最後のデートとしてゲームセンターへ行った。
「あのぬいぐるみ、可愛い!」
北原さんが叫ぶ。
「あれ?俺、捕れるかも…」
そう言って、500円を投入して、操作する。
「わぁー!陽君すごいっ!」
ぬいぐるみは1回目で取れた。
:08/05/22 22:34 :D704i :☆☆☆
#662 [氷雨]
「はい!!あげる」
俺は取れた嬉しさ余って、極上の笑みを向けた。
「陽君はズルいよなぁ……」
北原さんがそう呟いた事にも気付かずに第2回目へ突入する。
「「あっ!」」
俺と北原さんは同時に声を上げた。
「惜しかったね……」
残念そうな声と表情。2回目は失敗してしまった。
:08/05/22 22:39 :D704i :☆☆☆
#663 [氷雨]
「次こそは!!」
俺は気合いを入れて、取りかかる。
500円で3回。
チャンスは後1回だけだ。
自分の世界に入ってしまって、真剣に取り組む。
そんな姿を見て、北原さんはまたもクスクスと笑っていた。
そして……
「ぁあっ!!…………」
:08/05/22 22:42 :D704i :☆☆☆
#664 [キリア]
あげ
:08/05/28 10:05 :SH904i :☆☆☆
#665 [我輩は匿名である]
あげます
:08/05/30 00:34 :SH903i :☆☆☆
#666 [ヒステリッカー]
:08/05/30 08:54 :N905imyu :☆☆☆
#667 [ヒステリッカー]
:08/05/30 08:56 :N905imyu :☆☆☆
#668 [ヒステリッカー]
:08/05/30 08:56 :N905imyu :☆☆☆
#669 [ヒステリッカー]
何回もすいませんm(__)m
:08/05/30 08:57 :N905imyu :☆☆☆
#670 [氷雨]
キリアさん・我輩さん
アゲ
ありがとう!
ヒステリッカーさん
大丈夫ですよ!!ありがとう! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ぬいぐるみはポスッと出口へ一直線。
「陽君、すごいねーー!!」
北原さんは大興奮して俺の腕にしがみつく。
そのまま、しゃがみ込みぬいぐるみを取り出して、北原さんへ渡した。
「はい!」
:08/05/31 10:20 :D704i :☆☆☆
#671 [氷雨]
そう言い、北原さんの胸へぬいぐるみを収めると、北原さんはぬいぐるみをギュッと抱き締める。
「陽君、私すごく嬉しい…、ありがとう!」
少し悲しい顔をしていたのに気付いたけれど、そんな顔をさせているのは俺。
声をかけるなんて出来ないから、俺はにっこり笑うしか出来なかった。
「陽君、今日はありがとう!また、良かったら友達として遊ぼうね」
:08/05/31 10:25 :D704i :☆☆☆
#672 [氷雨]
帰り際、北原さんは満面の笑みでそう言うと手を振り玄関の扉をパタリと閉めた。
「俺も!俺もすごく楽しかった!ありがとう」
閉まった扉へ叫んだけれど、絶対に北原さんは聞いてくれている。
そう思い、叫んだ。
その後は早足で帰宅し、明日の事を考える。
《伝えないと……》
そう決心すると拳をギュッと握り締めた。
:08/05/31 10:32 :D704i :☆☆☆
#673 [我輩は匿名である]
:08/05/31 12:20 :N902iX :☆☆☆
#674 [氷雨]
我輩さん
アンカーありがとう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
けれど、小宮にはなんて言ったら?
問題は残っていた。
小宮は葉山さんが好き。そして…、俺も……。
気持ちを伝える。
それは、小宮を裏切る事になるんだ。
:08/05/31 21:37 :D704i :☆☆☆
#675 [氷雨]
《俺の気持ち……》
伝える前に小宮に話そう。
そう決めた。
明日……、…………?
「明日っ!!学校休みだ!!」
明日は土曜日。
思わず叫んでしまう。
それは完全な計画ミスだった。
けれど、タイミング良く携帯がなる。
:08/05/31 22:19 :D704i :☆☆☆
#676 [氷雨]
誰……?
少し遠くで鳴っている携帯を手を伸ばして取ると画面には《小宮》の名前が出ていた。
メールを開くと『明日
遊ぼ
』そう写し出されていて、メールからも無邪気さが醸し出されているような…
小宮らしさ満点のメールだった。
思わず、にっこりと笑ってしまう。
:08/05/31 22:29 :D704i :☆☆☆
#677 [氷雨]
そして、すぐに返事した。
『うん
久しぶりだし
楽しみだ
』
明日、遊ぶ時間と場所を決めると明日の為に早めに眠りについた。
1つ、決意をした。
《明日…話そう》と……、
:08/05/31 22:34 :D704i :☆☆☆
#678 []
:08/06/01 07:59 :P903i :☆☆☆
#679 [氷雨]
さん
アゲありがとう!!嬉しいですっ!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「陽ーー!!?」
小宮が俺を呼ぶ。
久しぶりに遊ぶのに、俺の意識は他へ行ってしまっていた。
「あ……、ごめん!!」
小宮の声で意識を取り戻す。
心配そうな顔で俺を覗き込む小宮にズキリと胸が何度も痛む。
:08/06/02 13:36 :D704i :☆☆☆
#680 [氷雨]
俺を心配してくれる小宮を俺は裏切るんだ。
俺は自分を責め続けていた。
「大丈夫か?体調悪い?」
本当に小宮はいい友達なんだ。
俺は伝えてもいいのか?
今になって、その疑問が頭をよぎる。
心配そうに見る小宮に、「大丈夫!ありがとう」と、言いにっこり笑った。
:08/06/02 13:40 :D704i :☆☆☆
#681 [我輩は匿名である]
:08/06/02 16:57 :SH704i :☆☆☆
#682 [氷雨]
我輩さん
アンカーありがとう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「そかぁ?無理すんなよ?」
優しすぎて、いい奴すぎて苦しい。
けれど、言わないと始まらない。
俺はそれからは、いつ言おうかと機会を伺いながらもおもいっきり遊んだ。
そして……
:08/06/02 20:59 :D704i :☆☆☆
#683 [氷雨]
「あのさ、俺…小宮に言わないといけない事があるんだ…」
それは少し遊び疲れて日陰のベンチで缶ジュースを飲んでいる時だった。
小宮は不思議そうに俺を見た。
「何なに?真剣な顔して?」
俺の雰囲気を読み取ったのか笑いながらも瞳は真剣に俺を見てくれている。
俺は緊張でゴクリと喉を鳴らした。
:08/06/02 21:14 :D704i :☆☆☆
#684 [氷雨]
「お…れ……、俺さ…」
声がかすれて上手く言えない。
けれど…
「小宮……、俺は葉山さんが好きなんだ」
言葉を繋げて話す。
小宮の瞳を見つめて、必死に伝えた。
瞳は一瞬、ぐらりと揺れた。
それがどういう意味なのかはわからなかったけれど、俺は心の中でビクリと震えた。
:08/06/02 21:32 :D704i :☆☆☆
#685 [氷雨]
小宮に嫌われてしまうんじゃないか。
親友が離れていくのは嫌だ。
けれど…
小宮は俺に話してくれた。
俺も話さないと。
けれど、そう思っても本当は怖い。
早く何かを言って欲しい。言って欲しくない。
:08/06/02 21:39 :D704i :☆☆☆
#686 [氷雨]
気持ちは2つに分かれて、小宮の言葉を待つ。
そして、小宮は俺の予想を裏切るように…、
にっこり笑った。
え…………っ?
驚きを隠せなくて、俺は目を見開いた。
「陽も葉山さんが好きなんだ!!一緒だな!あれ?けど、陽、彼女いたよね?」
:08/06/02 21:51 :D704i :☆☆☆
#687 [氷雨]
明るくいつもの元気な声で、なんだか嬉しそうに小宮は言った。
「…………へ…?」
小宮のまたも予想を裏切る言葉に俺は間抜けな声が出てしまった。
しばらく、呆然と小宮のニコニコ笑った顔をボーっと見ていた。
「陽?何か言えっての!」
そんな俺に小宮はいつものようにデコピンをくらわす。
:08/06/02 22:00 :D704i :☆☆☆
#688 [氷雨]
:08/06/02 22:01 :D704i :☆☆☆
#689 [氷雨]
「え…!?あ……北原さんは友達に………、え……?」
北原さんの事を説明しようと思うのに、小宮の言葉に動揺して言葉はまとまらない。
そんな俺を見て、小宮は笑ってる。
「小宮は…怒らないの……?」
俺はついそう、口にしていた。
俺は怒るだろうと覚悟していたのに…
:08/06/03 13:29 :D704i :☆☆☆
#690 [氷雨]
笑うのを止めて、小宮は首を傾げる。
そして、キョトンとした顔で言う。
「俺が?何に怒るの??」
本当にわからないといった表情で俺を覗く。
それに俺は気が抜けてしまった。
「俺が黙ってた事とか……」
緊張の糸は完全に切れていて、脱力しながらそう言った。
:08/06/03 13:34 :D704i :☆☆☆
#691 [氷雨]
「だって、それは俺が先に言っちゃったからだろ?なら、しょうがないじゃん!」
また小宮に笑顔が戻り、俺に笑いかける。
俺は情けない気持ちになってしまう。
「小宮はでっかいな……」
そう、小宮は大きい。
俺はなんて小さかったのだろう。
:08/06/03 13:40 :D704i :☆☆☆
#692 [氷雨]
小さな事でクヨクヨしてしまう。
「陽のが、背でっかいじゃん!嫌みか!?」
小宮は頬を膨らませてプンプンと怒っている。
思わず吹き出して笑ってしまった。
それに噛み付くようにまた小宮は怒るフリをしながら、笑っていた。
:08/06/03 13:43 :D704i :☆☆☆
#693 [氷雨]
一通り笑い終えると、小宮はにっこり笑って言う。
「葉山さんも陽が好きだから、幸せにな!」
俺は固まった。
「え………」
ただそう言うしかできなくて…
小宮は言葉を繋げる。
「俺さ、我慢できなくて告白したんだ!じゃあ、好きな人がいるってさ!」
なんだか小宮はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。
:08/06/03 13:49 :D704i :☆☆☆
#694 [氷雨]
俺はなにがなんだか分からなくて、頭はハテナでいっぱいになる。
「俺さ、葉山さん見てて、分かっちゃったんだ!!」
何故か嬉しそうに子供のように小宮ははしゃいでいる。
小宮の言葉を聞いても、やっぱり分からなくて首を傾げる。
「もう!陽は鈍いなぁ!葉山さん、ずっと陽の事、見てんの!!俺、ビックリしちゃって」
:08/06/05 08:18 :D704i :☆☆☆
#695 [氷雨]
宝物を見つけ出したみたいに瞳はキラキラと輝いている。
「えっと………」
葉山さんが俺を見てる?
それは……、えーーと……
「絶対!好きだっ!!!」
小宮は大きく叫んだ。
そういうこと……
告白はされたけど、実感はなかった。
:08/06/05 08:24 :D704i :☆☆☆
#696 [Heart]
:08/06/05 19:39 :N902iS :☆☆☆
#697 [氷雨]
Heart
さん
アンカー
ありがとう!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
葉山さんはデートをしていても手を繋いでいても、そんな素振りを見せなかったから…
嬉しそうにしていたけれど、それが『好き』だなんて思わないくらいに葉山さんは自然だった…
それとも……、気付かなかった俺が悪いのかな?
:08/06/08 01:48 :D704i :☆☆☆
#698 [氷雨]
「俺……、告白するよ。でも…小宮はいいの?」
『好き』って気持ちはそう簡単に消えない。
苦しくて、けれど嬉しくて楽しくて。
小宮はそれでもいいの…?
俺が言う筋合いないのかもしれないけど………
けれど、そんな俺を尻目に小宮は満面の笑みで笑って。
:08/06/08 01:53 :D704i :☆☆☆
#699 [氷雨]
「へへ……、陽はいい奴だなぁ!!俺はもう大丈夫っ!俺って、立ち直り早いんだぞ!!」
そう言った。
そして、最後に……
「まぁ?陽が気にやむって言うなら【ジェラート】でも奢ってもらうさっ!!」
【ジェラート】…どこか外国のヨーロッパから来たと今、話題のアイスクリームだ。とにかく………
「げっ!?【ジェラート】!?高っいじゃん!!」
:08/06/08 01:59 :D704i :☆☆☆
#700 [氷雨]
そう恐ろしいくらいに高い。
けれど、それに見合うくらいに美味しい。………らしい。
「俺っ!食べてみたかったんだぁ!!」
ニンマリとわざとらしく笑うと小宮は俺が『YES』と言うまで、【ジェラート】について語らっていた。
場所は変わって【ジェラート】
今日も長蛇の列ができていて、殆どが女の人だと並んでから気付いた。
:08/06/08 02:05 :D704i :☆☆☆
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