僕⇒俺
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#638 [氷雨]
「俺!!」
そんな楽しい雰囲気をぶち壊すように俺は大きく叫んだ。
家族3人は驚いて声の主、俺に視線を送る。
1番に口を開いたのはお母さんだった。
「どうしたの?急に……」
不意を付かれたからかいつもの元気よさは隠れていた。
:08/05/17 21:14 :D704i :☆☆☆
#639 [氷雨]
「あーー……俺さ、本格的にモデルする。だから迷惑とか掛けるかもだけど……よろしく」
そう少し照れながら言った。
顔を上げると家族全員が笑顔で、
「迷惑じゃないし、むしろ支えてやる!」
生意気な口を聞きながらも俺は三依に笑顔を送る。
「本当にお馬鹿さん、迷惑なんてかけまくって?迷惑じゃないんだから」
:08/05/17 21:18 :D704i :☆☆☆
#640 [氷雨]
お母さんの優しい矛盾にも笑顔で「ありがとう」と言った。
「俺はお前のお父さんで先輩で師匠!頼りまくりなさい!」
いつもの明るくおちゃらけた物言いにも安心感が湧き、自然と笑顔になる。
「俺、頑張るよ!」
俺の夢は《トップモデル》
お父さんみたいなモデルになる事だ。
:08/05/17 21:22 :D704i :☆☆☆
#641 [氷雨]
新しい夢。
けれど、まだ進めない。
俺はまだ逃げ続けているから。
大切な大切な人を傷付けて。
けれど、進むという事はまた傷付ける。
俺はまた1人の人を傷付ける。
「三依?ちょっと話があるんだ」
:08/05/17 21:26 :D704i :☆☆☆
#642 [氷雨]
「何……?」
三依は何もわかっていない笑顔で俺に笑いかける。
俺は最低だ。
深く深く心が痛むけれど、言わなければ始まらない。
「俺は北原さんを好きじゃないんだ……」
自分で言いながらズキズキと胸が痛み、顔を顰める。
:08/05/17 21:29 :D704i :☆☆☆
#643 [氷雨]
:08/05/17 23:00 :D704i :☆☆☆
#644 [氷雨]
「……………………えっ?」
数秒してから三依はあやふやな言葉を呟く。
まだ俺の言葉を頭まで理解できていないのか、眉を寄せて考えている。
俺はただ次の三依の言葉を待つ。
暫くして……
「陽兄…?どういう事?」
睨みを利かせて俺に尋ねた。
:08/05/19 20:23 :D704i :☆☆☆
#645 [氷雨]
その瞳はギラギラと輝いて、俺の胸にチクチクと痛みが走る。
俺は重なくなった口を開く。
「『一緒に放課後、帰るだけでいい』って、北原さんが言って、俺はそれに逃げた」
三依の瞳を真っ直ぐに見て、逃げたい気持ちを抑えていた。
三依は明らかに《怒》の表情で俺の話を聞く。
「俺は葉山さんが好きなんだ。北原さんも知っているけど…、俺は葉山さんの気持ちが怖くて北原さんに逃げたんだ…」
:08/05/19 20:30 :D704i :☆☆☆
#646 [氷雨]
俺は言い訳をしている情けない男……
逃げた男。
けれど、俺は1歩を踏み出したい。
気持ちを伝えたい。
傷付ける事がわかっているのに、そう思ってしまう。
最低な男だ…。
何も喋らない三依を前に俺は自分を責め続けた。
:08/05/19 20:33 :D704i :☆☆☆
#647 [氷雨]
けれど……
「陽っ兄!!」
三依は明るく元気に俺に声を掛けた。
え…………?
その状況が掴めずに俺はいつの間にか下がっていた顔を上げ、三依を見る。
「知ってる……、全部知ってるよ」
:08/05/19 20:36 :D704i :☆☆☆
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