・・・ゆめみる魚・・・
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#536 [向日葵]
自分のムシャクシャした考えを、何も関係ない歩にぶつける。
案の定、歩は困った顔をしてしまった。
ため息をつくと、防火扉にゆっくりと背を預けてまた話出した。
「みかげちゃん。君も経験した事ない?子供の頃、出来てた事が、大人に近づくにつれて出来なくなった事、ない?」
それは例えば、人前でギャーギャー泣き叫ぶ事は子供の時出来ても、今じゃ恰好悪くて出来ないと言う事だろう。
私はゆっくり頷いた。
:08/03/14 00:50
:SO903i
:☆☆☆
#537 [向日葵]
「ある。」
「それと一緒。大人はね、段々と駆け引きを覚えて行ってしまうんだよ。だから言いたい事もやりたい事も上手く出来ない。分かってくれるね?」
歩はまるで先生よりも先生らしく説明してくれた。
その様はとても誠実で、本来ある筈の彼のチャラチャラした部分を消してくれたのだった。
じゃあ、歩と性質的に類似している真は……?
誠実な想いを、私に注いでくれてたのだろうか。
そろそろ考えすぎで、頭がゴチャゴチャになってきた。
:08/03/14 00:54
:SO903i
:☆☆☆
#538 [向日葵]
「もう嫌!気持ちがまとまってくれない!だって真は、つぐみさんが好きって言ったんだもん!」
言ってしまってから、私はハッとして口を塞いだ。
「え……。何て……?」
ヤバイ……!
気づいた時には遅かった。
歩は私の肩を力強く掴んでガクガク揺らした。
振動で、軽く歯がカチカチなる。
「それ本当?じゃあアイツら両思いかよ!?」
「いや、それはあの」
「結局俺は無理じゃねぇかよ!」
:08/03/14 00:58
:SO903i
:☆☆☆
#539 [向日葵]
そんなの、私だってそうだ。辛いのは、歩だけじゃない。
「私を責めても仕方ないでしょ!離して……っ!」
力一杯歩を押すと、歩は肩から手を離してくれた。
それまでは良かった。
勢い余った私の体は、引力に従うかのように後ろへといき、階段へとまっさかさま。
「……!みかげちゃん!」
ズドン!!と大きい音と共に、私は下の踊り場へ転落。
頭に鈍い痛みが広がる。
:08/03/14 01:02
:SO903i
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#540 [向日葵]
すると体のダルさまでが私を襲い、起きたくても起きれないくらい体の自由がきかなくなった。
それから、人のざわめきが少し聞こえて、私は意識を手放した。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『みかげ。貴方はどうして無理をしてしまうの?』
あ、お母さん……。
お母さんは困ったような怒ったような顔で私を見る。
無理なんてしてないよ。
ただ幸せならば幸せになって欲しいだけ。
でもね、あまりにヒドイ扱いを受けたから、腹が立ってるだけだよ。
:08/03/14 01:06
:SO903i
:☆☆☆
#541 [向日葵]
お母さんはため息をつく。
色白のお母さんはいつ見ても綺麗だなぁとか、怒らているにも関わらず、呑気にそんな事を考えていた。
『前、母さんが言った事覚えてる?』
ううん。
夢は起きた瞬間すぐ忘れちゃうから。
『ならね、もう一度言うわ。後悔だけは、しちゃ駄目よ。』
後……悔……?
『貴方今凄く後悔してる。彼に無理だって言ったんでしょ?』
:08/03/14 01:10
:SO903i
:☆☆☆
#542 [向日葵]
言った……。だって無理だもん……。
アイツ、つぐみさんが好きって……。私には、あんな真剣にも、あんな焦った姿も……見せてくれた事なんかない……っ。
ボロボロ涙が溢れる。
今にも泣き叫んでしまいそうな衝動にかられる。
『本人の口から、つぐみさんが好きって聞いた?』
聞いてないけど……でも……っ!
『それに、彼が貴方に接する時、本当に真剣じゃなかったり、焦ったりした事は無かったかしら?』
それは……。
:08/03/14 01:14
:SO903i
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#543 [向日葵]
私の手を、柔らかく、風が包んでくれるようにお母さんが握る。
温かくて、更に涙が流れた。
『ねぇみかげ。彼からの話をもう1度、よぉく聞いてごらん?泣くのはそれからよ。』
でも……。
『それからね、これも前に言った事よ。もっと、彼を信じてあげなさい。前よりもずっとずーっと……。』
信じれるかな……私。
だってまた騙されたりするの、怖い……。
:08/03/14 01:17
:SO903i
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#544 [向日葵]
『じゃあね、母さんの言う事なら、信じられるでしょ?』
夢と言う信憑性のない中での会話なのに、何よりお母さんの言葉は素直に受け入れる事が出来た。
なので私はコックリと頷いた。
『あの人ね、すっごく不器用。だからね、人を騙すなんて絶対出来ない。』
現に真はつぐみさんに私を好きとバレていたよね。
『だから、今から聞く彼の言葉を目で、耳で、心でよく聞いてごらんなさい。』
:08/03/14 01:21
:SO903i
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#545 [向日葵]
『それなら、きっと彼を信じる事が出来るわ。』と言って笑うと、お母さんの姿は薄くなってしまった。
そして、私の世界は暗闇へと戻る。
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意識が現実に戻ったのが分かった。
今は瞼を閉じてるせいで視界はゼロ。
でも左手に温かさ感じて、私は少し目を開けた。
「……ん……?」
少しずつ状況を把握すれば、今念願の保健室にいて、私はベッドの上にいる。
:08/03/14 01:26
:SO903i
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