・・・ゆめみる魚・・・
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#618 [向日葵]
声をあげて笑う真を私は睨む。

コイツはただ会いたいからと言う理由だけで私を呼び出す。
これはお決まりパターンなのだ。
正に職権濫用。

なかなか真に近づかない私に痺れをきらしたのか、真自ら私の元へやって来て、手を引っ張り、握ったまま自分はイスに座った。

「嫌だった?俺に会うの」

にこりと笑って首を傾げるものだから、嫌じゃないけど嫌とは言えなくなった。
だからと言って「会いたかった」なんて乙女チックな事、私が言える訳が無い。

⏰:08/04/09 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#619 [向日葵]
でも真のその仕草に私の中の少ない乙女チック思考の心にグッときて、顔が赤くなるのを自覚しながら口を閉ざした。

そんな私を面白がるように、少し私の手を引っ張って、頬に唇を寄せた。

「ちょっ……!」

急いで身を引いても、手を握られたままだから逃げるに逃げられない。

そんな慌てた私に満足した真のニヤッとした意地悪な笑みに、更に顔の体温は上がる。

「聞いてるのに何も言わない子にはちゃんと教えてあげるのが教師だろ?」

⏰:08/04/09 00:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#620 [向日葵]
なんかそれ違う……。

本当はこんな関係いけない。
同居人だとは言え、私は生徒、真は教師。
それでも想いは止められず、私達はついに……

「卒業するまでにはもうちょい素直になって欲しいな。なんてったって俺達夫婦になるんだから」

そう。
私が受験と縁遠い理由。
それが今、真が言った事なのだ。

知ってるのは多香子だけ。
進路調査では、名前こそ出さなかったけれど(てか出したらえらい事になるけど)結婚するとしてある。

⏰:08/04/09 00:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#621 [向日葵]
……と言うか……、3年に上がって担任が真になったので、助かったのだ。

これが他の教師であれば結婚となれば相手を聞かれそうだ。
ちなみにそんな場合は「親戚の家の仕事を手伝う」とか言う予定だった。

実際、真繋がりの親戚で、旅館を経営してる人がいるらしく、嘘を言ってる訳ではないからなんとでも通るのだ。

真曰く

「あすこのおっさんとおばさんは俺が可愛いから何でも言う事聞いてくれるだろうからなー」

⏰:08/04/09 01:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#622 [向日葵]
と言った。

心の中で「どうなってんだよアンタの親戚」と突っ込んだのは言うまでもない。

「素直……って、私はこれで普通なんだから素直も何もないでしよ」

「もっと自分から抱きつくとか好きって囁くとかさー」

「酔っ払ってんの?」

こんなやりとりしょっちゅうだ。
真はどうにかして私を乙女チックに仕上げたいらしい。

その分真は抱きつくわ好きと囁くわ、あげくの果てにはキスだ。

⏰:08/04/09 01:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#623 [向日葵]
「真も知ってる通り、私は遂この間まで恋愛の“れ”の字も知らなかった小娘なの」

「“小娘”って分かるようになった辺り成長したな」

「……その“小娘”に手ぇ出したのは誰……」

真はにーっこり笑うとひらひら手を振る。

そうだ。真は私達世代には興味ないとか言ってたくせにちゃっかり私に手を出したんだった。

結局理想なんて意味も無いものなんだと真を見て感じる。

⏰:08/04/12 01:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#624 [向日葵]
話を元に戻そう。

真の過剰なスキンシップや愛情表現が嫌な訳ではないし、真が嫌いだから何も言わない訳じゃない。

それなりのムードがあれば、私だって後で思い出せば恥ずかしい言葉だって言ってる時はある。

ただ、私は怖い。

自分が自分でなくなってしまいそうなのがなんだか怖いのだ。

さらけ出して、真が私を嫌いになってしまうかもと考えれば、越えてしまいそうなあと1歩が踏み出せない。

⏰:08/04/12 01:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#625 [向日葵]
もちろん、こんな恥ずかしい事は言えないし言いたくもない。

真は机に肘をついてフゥ……とため息をつく。

「せめてさー……保健室の時みたいな可愛い事言えない?」

保健室の時とは、文化祭で私が階段から落ちて気を失ってしまった時だ。

あれこそ本気で恥ずかしい。
泣きじゃくりながら必死に「側にいたい」と言った自分がひどく滑稽に見えたからだ。

どんなドラマ展開だ。

⏰:08/04/13 12:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#626 [向日葵]
一度真に聞いた事がある。

いつもと変わらず、抱きついたり、甘い言葉を吐いている時だった。

何故そんな事が出来るのかと。

返ってきた言葉はこうだった。

「好きな奴には全力で自分の気持ちを知ってほしいから」

あっそう……としか言えなかった。

そんなそれが当然かのように言われてしまったら私はどうすればいいんだ。

⏰:08/04/13 12:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#627 [向日葵]
呆れていながら社会科準備室の時計を見れば、あと5分で休み時間が終わろうとしていたので、頭の中から少女漫画回路を追い払ってここに呼び出した訳を真に聞いた。

「用がなきゃ呼んじゃダメかよ」

「愚痴なら帰ってから聞くからさっさと何の用か言って頂戴」

渋々といった感じで真はブレザーの上着から何かを取り出した。

薄い封筒のようだ。

それをヒラヒラさすながら真は言った。

⏰:08/04/13 12:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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