・・・ゆめみる魚・・・
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#11 [向日葵]
そしてまたペラリと聞こえた。
私は声の主を確認する。
そこには、24、5の、眼鏡をかけた男がいた。
知ってるコイツ……。
地理の仏頂面で有名な松川 真一(まつかわ しんいち)。
顔はカッコイイのに仏頂面のせいで皆から怖がられてる損してる気の毒な奴。
「タバコ……嫌いなの?」
「煙吸って何が楽しいんだかな。」
「フゥン。」と適当に答えて、「そういえば」と携帯を見る。
今から帰れば約束の時間には間に合うかな。
:08/01/06 16:24
:SO903i
:☆☆☆
#12 [向日葵]
「んじゃね。松川せんっせ。」
嫌味っぽく言った。
でも相手は別に気にした風もなく、本に目を向けたままだ。
「じゃあな。葛 みかげ。」
声を後ろで聞きながら、私は下駄箱へ向かって階段を下りて行った。
「……あれ。」
1階までもうちょっとの時、私は違和感を覚えた。
「アイツ……。」
何で私の名前知って……。
:08/01/06 16:27
:SO903i
:☆☆☆
#13 [向日葵]
いや、別に不思議でも何でもないか。
熱血教師なら全校生徒の名前くらい覚えてそうだし。
もっとも、アイツはそんなタイプには見えないけど。
「さぁ……って。行きますか。」
ありきたりの日常へ。
――――――……
引越してきた次の家は、こざっぱりしていた。
どうやら今度の相手は1人暮らししてるらしい。
その相手は今は仕事中だから、夜になったら顔合わせする。
:08/01/06 16:31
:SO903i
:☆☆☆
#14 [向日葵]
1人暮らしの割りに大きなマンション。
あと2人住んでも余裕ではないだろうか。
そんな事を思いながら、運ばれた荷物を片付けていく。
荷物は服と勉強道具……そして。
「ゆ、め、み、る……魚……。」
この絵本のみ。
他人の家と言えどもう私の家なので、私は遠慮なくリビングにあったやたらデカイソファに寝転ぶ。
本をめくる。
ポツンと1匹魚がいたのを見たところで私は眠気が唐突に私を襲った。
:08/01/06 16:40
:SO903i
:☆☆☆
#15 [向日葵]
―――――――……
パタンと音がしたので私は目を覚ました。
いつの間にやら部屋は暗くなっていた。
つまり夜だ。
「家主が帰ってきたのかな……?」
気づけば自分の体にちゃんと薄い布団がかぶせてあった。
今日はあの教師といい、親切にしてもらってばかりだなぁと思った。
挨拶した方が……。
と、パタンと音がして閉まっただろうドアを静かに開けば、後ろ姿が見えた。
:08/01/07 00:39
:SO903i
:☆☆☆
#16 [向日葵]
でも、仕事の最中なのか、パソコンの明かりのみだったから、どんな人物かはわからなかった。
邪魔しちゃいけないかと気をきかせ、また静かにドアを閉めた。
挨拶は、また明日でも大丈夫だろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・
朝になった。
携帯のアラームで目が覚めた私。
どこの部屋を使えばいいか分からなかったので、ソファの上で寝たのが間違いだった。
体の節々が痛い……。
さっさとシャワーでも浴びて、学校へ行こう。
:08/01/07 00:44
:SO903i
:☆☆☆
#17 [向日葵]
と、後ろを振り向くと、テーブルの上にラップをかけたお皿がいくつかあった。
どうやら朝ごはんらしい。
今度の住居人は……放任主義の親切屋?
変な新しい家主に軽い感謝をこめて、食事をする。
すると隅っこに鍵と置き手紙を発見。
<君の鍵です。戸締まりして下さい。>
わしゃ付き合ってる女か。
とツッコミをいれながらふと字が気になった。
:08/01/07 00:52
:SO903i
:☆☆☆
#18 [向日葵]
多分家主は昨日の後ろ姿から見て男だとは分かった。
しかし、この字はどこかで見覚えが……。
でも私は然程気にせずに学校へ行く準備をして家を出て行った。
「あ。」
学校へ行く途中に気づく。
家の表札見れば良かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「みかげっ。どうよ新居。」
多香子が興味深々に聞いてくる。
「まだ家主と顔合わせてない。でもどうやら男。」
:08/01/07 00:56
:SO903i
:☆☆☆
#19 [向日葵]
「若いっ?ってか1人暮らし?!」
「んー。そうみたい。」
「キャーッ!!」と何故か興奮する多香子をよそに、私はあともうちょっとで繋がりそうな記憶のパズルをはめ込もうとしていた。
何かひっかかる。
でもそれが何か分からない。
いや、半分は理解出来てる気がするんだけど……でもはっきりとはしない。
結局、パズル遊びは終りにした。
「げげぇ……、松川だぁ……。あたしアイツ苦手なんだよね。」
:08/01/07 01:05
:SO903i
:☆☆☆
#20 [向日葵]
私の後ろに身を隠す多香子の視線の先には、相変わらず何を考えてんだか分かんない松川は、いつも通り難しそうな顔して歩いてきた。
「昨日はどうも。」
あれ、何話しかけてんだ私。
私の声に、松川は「お前か。」みたいな視線を投げて横を通って行った。
「みかげ、どうしたの?いつもなら「教師ウザイ」とか言ってよりつかないアンタなのに。」
でも、松川はなんだか違う気がした。
不思議なその雰囲気が、妙に惹き付けられる。
これは別に、深い意味はない。
:08/01/07 01:09
:SO903i
:☆☆☆
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