・・・ゆめみる魚・・・
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#372 [向日葵]
9P・類
「あらしがくるぞー!」
そのさけびとともに、うみがおおきくゆれはじめました。
うみのなかは、しろくにごり、みんなのすかだがみえなくなってしまいました。
「みんな!どこにいるの!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私と、「榊」という店員の睨み合いは続いていた。
「で……私に何の用?」
「面白いからさ、気に入ったんだ。付き合ってくれない?」
:08/02/24 02:45
:SO903i
:☆☆☆
#373 [向日葵]
私は目をすっと細めた。
「死ね。」
手を乱暴に振り払う。
再びエスカレーターに足を踏み入れようとすると、榊は前に立ちはだかった。
苛立ちを隠す事なく、眉間にしわを寄せて榊を睨んだ。
「軽い言葉と思うかもしれないけど、本気。君の事もっと知りたいなって思うんだ。」
意外や意外。
真と同じように見えて、同じじゃない。
この言葉は、本当のような気がした。
……いや、それも演技のうちか?
:08/02/24 02:49
:SO903i
:☆☆☆
#374 [向日葵]
私はどうも人間観察が苦手らしい。
相手の本心が見えないでいる。
この人も。
…………真も。
「何?見つめてくれちゃって。惚れた?」
考えていたら、どうやらお兄さんを見つめてしまったらしい。
親しげな距離で、笑いかけてきた。
「ばっかじゃない。もう来ないからアンタにも会わない。そうやって誰にでも口説いてればいい。」
お兄さんを押し退けて、私はエスカレーターを下った。
:08/02/27 00:27
:SO903i
:☆☆☆
#375 [向日葵]
「榊 歩っ!」
降りきった頃、急に後ろから声がするもんだから、思わず振り返った。
お兄さんは両手をポケットに突っ込んで、無邪気に笑っていた。
それはそれは、少年のように。
「榊 歩(さかき あゆむ)ってんだ。覚えといてよ。」
「……。もう忘れた。」
それだけ言って私は多香子の元へと行った。
「何ー。みかげ狙われてたの?」
知らないよ。
勝手にあっちが興味持っただけ。
:08/02/27 00:32
:SO903i
:☆☆☆
#376 [向日葵]
「帰ろう、多香子……。」
一気に疲れた。
意味の分からない疲れ。
特別体力を消耗した訳でも、頭を使った訳でもないのに、何故か疲れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
家に帰っても、真はまだ帰ってきてなかった。
携帯を見て、わざわざセンター問い合わせまでしたのに、なんの連絡も入ってなかった。
顔を合わせるのは気まずかったからいいけど、せめて何かメールくらいは……詫びたメールくらいはあるかと思ったのに……。
:08/02/27 00:36
:SO903i
:☆☆☆
#377 [向日葵]
私は何を期待してたんだろう。
期待をすればするだけ、裏切られた時のダメージが大きいのを知ってるくせに……。
[お母さんとお父さんは?]
小さい頃の私だ。
[お空にね、出かけて行ったの。だから、いつかは帰ってくるよ。]
祖母が、小さな私に言った。
でも結果は、当たり前というか、帰ってなんて来なかった。
:08/02/27 00:40
:SO903i
:☆☆☆
#378 [向日葵]
信じる事を決めたのに、未だ渦巻く心の闇を、すぐに全て拭い去るのは難しいらしい。
でも、もう何もかもを投げ出して逃げる事は、したくなかった……。
――――――……
目を開けば暗闇だった。
カーテンを開けっぱなしにした窓からは月明かりが差し込んできている。
空は、星がポツポツ出ていた。
「……暑…。」
窓を開ける。
風が入ってくる事を望んだけど、入ってきたのは生温い湿気だけだった。
:08/02/27 00:44
:SO903i
:☆☆☆
#379 [向日葵]
すると突然ノックが聞こえた。
「みかげ?起きてんのか?」
真だ。
帰ってきてたんだ……。
いまいちぼんやりしてる頭なのに、情報を素早く処理して、私は今何をすればいいかを必死に考えた。
でもちんたら考えてる暇なんてなかった。
真がドアを開けてしまったからだ。
確かめるかのように、ゆっくりとドアが開き、真の姿が少ない明かりに照らされる。
:08/02/27 00:49
:SO903i
:☆☆☆
#380 [向日葵]
「……みかげ?」
「……。」
何を言えばいいとか、分からなかった。
出来れば真の横を通り過ぎて風呂にでも入って、この気まずい雰囲気を先送りにしたかった。
でも助かったのは、真が電気をつけようとしなかったことだ。
顔を見なければ、幾分かは耐えられる。
「怒ってんの?」
怒ってるんじゃない。
ただ不安なだけ。
真を好きでいていいのか、迷ってるだけ……。
:08/02/27 00:53
:SO903i
:☆☆☆
#381 [向日葵]
ギシ……と床を軋ませながら、真が近づく。
いつになく、真が慎重なのに私は驚いた。
いつもなら、こちらの事などおかまいなしなのに……。
月明かりで、真の顔が青白く見える。
幽霊のようなのに、何故か色っぽく見えて目が離せない。
妖艶とでも言うのだろうか……。
私がいるベッドに一緒に座った真は、ゆっくり手を出すと私の頬に指先を触れた。
びくりと体が少し反応する。
暗闇に近いせいか、五感が鋭くなってる。
:08/02/27 00:59
:SO903i
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