・・・ゆめみる魚・・・
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#531 [向日葵]
「すごく可愛い!あとで写真撮ろうね!ね、榊君。」
「あぁ、そうだな。」
あれ。
いつもの歩のテンションじゃない……。
不思議に思った私は、歩をじっと見た。
歩は、何に仮装しようか迷いながらもはしゃいでいるつぐみさんを優しく見守っているように見えた。
まさか……。
「歩。」
「ん?おぉう!誰かと思えばみかげちゃんじゃん!」
:08/03/14 00:28
:SO903i
:☆☆☆
#532 [向日葵]
ホラ。明らかに違う。
「ふざけた態度とってないで、つぐみさんに告白すればいいのに。」
「……やっぱり、みかげちゃんは面白いね。気づいたの君くらいだよ。良かったら少し話しない?」
多香子に断って、私は歩と一緒に教室を出た。
着物のせいで目立つかと思ったけど、目立ったのはむしろ歩の方で、皆(特に女子が)次々に振り向いていく。
きっと真がこれだけ柔らかいオーラ出してたら同じ事になるんだろうな……。
……昨日以来、真を目にしてない。
:08/03/14 00:32
:SO903i
:☆☆☆
#533 [向日葵]
目にしてない方が楽だけど、胸が痛くならないけど……。
見なきゃ、少し寂しい……。
馬鹿みたい。
欲張り。浅はか。ガキ……。
「どうかした?」
階段くらいまで来て立ち止まった歩が聞いた。
「……で、なんで私にちょっかいかけたりしたの?つぐみさんを一途に思ってれば良かったのに。」
考えてた事を話すのがなんとなく嫌で、話をそらした。
:08/03/14 00:38
:SO903i
:☆☆☆
#534 [向日葵]
歩は苦笑いしながら、少しずつ話出した。
「一途に想ってたよ。でも、君も気づいてるだろうけど、つぐみは松川が好きだからねぇ。」
そう。
そしてつぐみさんの願いは叶って、現在2人は付き合ってる。
歩は、それを知ってるのかな?
「俺ね、松川と君が買い物してるの、1回見た事あるんだよ。」
「え。」
「だから君と前あった時、この子いじれば松川がなんか反応するかなって。だから君にちょっかいかけたの。」
:08/03/14 00:42
:SO903i
:☆☆☆
#535 [向日葵]
「だけど。」と、歩は話を続ける。
「あの松川があまりにも面白い反応してくれたから、貴重だったよ。よっぽど、みかげちゃんが大切なんだね。」
私は歩をぼんやりと見つめた後、少し視線をずらして下を向いた。
「……大人ってズルイよね。」
「え?」
「大切な人扱うフリしてからかうもの。歩だって、回りくどい事なんてしてないで直球で当たればいいのに。」
:08/03/14 00:46
:SO903i
:☆☆☆
#536 [向日葵]
自分のムシャクシャした考えを、何も関係ない歩にぶつける。
案の定、歩は困った顔をしてしまった。
ため息をつくと、防火扉にゆっくりと背を預けてまた話出した。
「みかげちゃん。君も経験した事ない?子供の頃、出来てた事が、大人に近づくにつれて出来なくなった事、ない?」
それは例えば、人前でギャーギャー泣き叫ぶ事は子供の時出来ても、今じゃ恰好悪くて出来ないと言う事だろう。
私はゆっくり頷いた。
:08/03/14 00:50
:SO903i
:☆☆☆
#537 [向日葵]
「ある。」
「それと一緒。大人はね、段々と駆け引きを覚えて行ってしまうんだよ。だから言いたい事もやりたい事も上手く出来ない。分かってくれるね?」
歩はまるで先生よりも先生らしく説明してくれた。
その様はとても誠実で、本来ある筈の彼のチャラチャラした部分を消してくれたのだった。
じゃあ、歩と性質的に類似している真は……?
誠実な想いを、私に注いでくれてたのだろうか。
そろそろ考えすぎで、頭がゴチャゴチャになってきた。
:08/03/14 00:54
:SO903i
:☆☆☆
#538 [向日葵]
「もう嫌!気持ちがまとまってくれない!だって真は、つぐみさんが好きって言ったんだもん!」
言ってしまってから、私はハッとして口を塞いだ。
「え……。何て……?」
ヤバイ……!
気づいた時には遅かった。
歩は私の肩を力強く掴んでガクガク揺らした。
振動で、軽く歯がカチカチなる。
「それ本当?じゃあアイツら両思いかよ!?」
「いや、それはあの」
「結局俺は無理じゃねぇかよ!」
:08/03/14 00:58
:SO903i
:☆☆☆
#539 [向日葵]
そんなの、私だってそうだ。辛いのは、歩だけじゃない。
「私を責めても仕方ないでしょ!離して……っ!」
力一杯歩を押すと、歩は肩から手を離してくれた。
それまでは良かった。
勢い余った私の体は、引力に従うかのように後ろへといき、階段へとまっさかさま。
「……!みかげちゃん!」
ズドン!!と大きい音と共に、私は下の踊り場へ転落。
頭に鈍い痛みが広がる。
:08/03/14 01:02
:SO903i
:☆☆☆
#540 [向日葵]
すると体のダルさまでが私を襲い、起きたくても起きれないくらい体の自由がきかなくなった。
それから、人のざわめきが少し聞こえて、私は意識を手放した。
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『みかげ。貴方はどうして無理をしてしまうの?』
あ、お母さん……。
お母さんは困ったような怒ったような顔で私を見る。
無理なんてしてないよ。
ただ幸せならば幸せになって欲しいだけ。
でもね、あまりにヒドイ扱いを受けたから、腹が立ってるだけだよ。
:08/03/14 01:06
:SO903i
:☆☆☆
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