・・・ゆめみる魚・・・
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#734 [向日葵]
そう言って、密かに薬指にはまっている銀の輪を撫でた。
するとアナウンスが流れてきた。

<葛みかげ、葛みかげ。至急職員室まで来なさい>

「あれ?今の松川だよね?珍しい。準備室じゃないんだ」

私も「あれ?」と首を傾げた。
珍しくも学校の用事で私を呼び出したのだろうか。

多香子と別れて、私は職員室へと向かった。

前まで来ると、既に真は廊下へ出ていた。

⏰:08/05/15 22:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#735 [向日葵]
外面装備なので、学校的な用事らしい。
近くまで行くと、平たくて黒い物体で頭を軽く叩かれた。

「日直。仕事忘れんじゃない」

あぁ。なるほどね。

「すーいませーん」

頭に置かれている日直日誌を受け取り、回れ右をして帰ろうとする。
と、腕を引かれた。

「ちょっとこっち来て」

小声で言われ、導かれるがままに階段がある場所まで連れて行かれた。

⏰:08/05/15 22:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#736 [向日葵]
真は外面を少し崩して普段私に見せる顔を覗かせたと思うと、額の髪の毛に指を埋め、大きなため息をついた。

眉を寄せて、何事かと見つめる私に気づいた真は苦い顔をしながら私に言った。

「今日、早く家に帰ってくれないか。それと、なるべく可愛い格好をしてくれ」

「はぁ……早く帰る事は出来るけど……。なんで可愛い格好?」

再びため息をつく。

「両親が、今日来るんだと」

⏰:08/05/15 22:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#737 [向日葵]
頭が一瞬にして真っ白になった。
そして時間も止まった気がした。

え、今なんて?
リョウシン?
両親……両親……つまり、真のお父さんと、お母……さん……。

え。

「え――――っ!!」

響く構造になってる階段付近に、私の声があちこちにエコーしてはねかえる。

真は私の予想外の大声に耳を塞ぎ、予想通りの反応に申し訳なさそうな顔をした。

⏰:08/05/15 22:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#738 [向日葵]
「な、なななんで!?今日平日だよ!?しかもなんで向こうから!?普通こっちからだし……っ!」

「とりあえず無理だと思うが落ち着いてくれ……」

「いや無理だって!」

「うん分かってるから、ちょっと落ち着く努力して……」

何度も深呼吸を繰り返すも、どうにもこうにも落ち着かない。
頭をぐしゃぐしゃにして、もう1度来そうなパニックの波をなんとか抑えようとする。

そもそも真に世話になってる立場で、しかも結婚申し込まれた奴が1度も挨拶しないって物凄く無礼に当たるんではないのだろうか……っ!

⏰:08/05/15 22:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#739 [向日葵]
ほんっっとに丁寧に礼儀正しくしなければ、荷物勝手にまとめられてポイッと放り出されたり……。

嫌な予感が私の頭の中を駆け巡る。
あわあわとなっている私を、真は応接室に引っ張って行った。
階段ではやはり分が悪いと思ったらしい。

ピシャリとドアを閉めて私の両肩に手を置く。

「ゴメン。思い立ったら吉日で動いてる奴らだからさ……その……うん」

真も急な訪問に同様しているらしく、いつもの饒舌具合はどこへやら。

⏰:08/05/15 22:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#740 [向日葵]
「何か好きな食べ物とか用意した方がいい!?」

「いやそれより……お前に聞いておきたい事がある」

何だと首を傾げると、真は切なげに私を見つめた。
少し胸の奥が高鳴る。

「親父達に、結婚の話をしようと思う。だから聞きたい。お前は、俺と結婚してくれるんだな?」

「は……?何言ってんの。当たり前でしょ。今更?もしかして真はしたくないの?」

「違う。もしまだ気持ちが定まってないなら、他の日にするってだけ」

結局する事には変わりないのだからいつ言ってもいいのでは?と思った自分が恥ずかしくなった。

⏰:08/05/15 22:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#741 [向日葵]
結婚するという決意が揺るがない自分が、いかに真の側にいたいかを示している。

そう思えば顔が赤くなってしまう。

急に私の顔が赤くなったので、真は不思議そうに私の顔を覗き込む。

「何。どうかした?」

「な、なんでもないっ!」

すると、真の両手が私の顔を包んだ。

「俺と出会ってくれて、ありがとう……」

愛しそうに見つめながら言うものだから、切ない気持ちが胸に広がっていった。

⏰:08/05/15 22:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#742 [向日葵]
唇を重ねて、お互いの気持ちが真実である事を確かめる。

「……。あ、あのっ!」

真を突き離す。
真は不服そうな顔をしながら少し距離を取っただけでまだそこにいた。

「何?」

「何じゃないっ!キスが長い!ここは学校なんだから……」

「スリルがあっていいじゃん。それに、まだ足りない……」

再び唇を押しつけられて、離れる時は酸欠で上手く立ってられなかった。

⏰:08/05/15 22:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#743 [向日葵]
真剣な事を言ったと思ったらこれなんだから……。

酸欠で立てない私を支えながら真は笑う。
ボディーブローぐらいを決めたい気持ちにかられるのに、今は力が入らないから手をつねるので精一杯だ。

「じゃ、今日よろしくな」

満足そうに言う。

「やっぱり結婚取り消そうかしら……」

「それは困る。」

笑いながら真は言った。

「パニックがおさまったみたいで良かったよ」

⏰:08/05/15 22:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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