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#631 [Mr.RabbIts!]
 

直樹は若松家の長男として、その芸能学校の高等部で生徒会長をやっている。
 
今日の入学式では直樹の指示の下、入学生の中から晴樹を壇上に上がらせ、入学の挨拶をさせる予定だった。
直樹の中では何回もその場面が想像され、実行に移すのも現実の事だと思っていた。
 

⏰:08/08/10 04:31 📱:P704i 🆔:cYDrEr9I


#632 [Mr.RabbIts!]
 

しかし、入学式の3ヶ月前晴樹が突然一般の中学に通いたいと言い出したのだ。
近い将来、兄弟そろって芸能界で活躍してもらいたいと考えている親父はもちろん、直樹も反対した。
 
晴樹は小学生の頃から人を惹き付けるような魅力を持っていて、良くも悪くも晴樹はたくさんの人に愛されていた。
…そう晴樹には変質者などをも寄せ付けるような魅力があったのだ。
 

⏰:08/08/10 04:39 📱:P704i 🆔:cYDrEr9I


#633 [Mr.RabbIts!]
 

今まで何度か危険な目に合い、そのたびに兄である直樹やボディーガードに守られて育った。
 
そんな晴樹を自分の目の届かないところに通わせるなんて、ましてや一般の中学など芸能学校に比べればセキュリティがうんと低い。
 
直樹や父親が反対するのは当然の事だった。
そんな事は幼いながらも、厳しい目に晒されて育て上げられた晴樹には、十分承知の上だった。
 

⏰:08/08/10 04:45 📱:P704i 🆔:cYDrEr9I


#634 [Mr.RabbIts!]
 

親父は晴樹が一般の中学に通いたいと言うと、顔を歪めた。
それは芸能事務所のトップの男として言うことを聞かない息子に怒り顔を歪めた訳でなく、晴樹の父親として息子の言い分をなんとか理解しようと懸命に努力して困惑している顔の歪みだった。
 
親父はそういう人だった。
いくら事務所が大きくなったって偉そぶる事はなく、何より自分の家庭を大切にしている男だ。
 

⏰:08/08/10 12:44 📱:P704i 🆔:cYDrEr9I


#635 [Mr.RabbIts!]
 

晴樹と直樹の父親、若松 光(わかまつ ひかる)は『家族が居るから仕事を頑張る。お前たち家族が居なかったら俺はここまで事務所を大きく出来なかったんだから』といつも二人に言い聞かせていた。
 
そんな親父だからこそ、晴樹は自分のわがままを素直に言えたのかもしれない。
 

⏰:08/08/10 12:52 📱:P704i 🆔:cYDrEr9I


#636 [Mr.RabbIts!]
 

そしてそんな親父が、晴樹本人の意志を押さえつけてまで、晴樹の自由を奪う事をするはずもなく、渋々普通の中学に入れる事を承諾した。
 
親父が許したのだから、兄の俺がどうこう言えるわけもなく、だけど納得のいかない俺はわざわざ親父を困らせる晴樹の事が許せずにいた。
 

⏰:08/08/13 10:26 📱:P704i 🆔:3zP/HwX6


#637 [Mr.RabbIts!]
 

「…行ってきます…」
 
目も合わさない直樹に小さい声でそう呟き、晴樹は家を出て今日から通う中学校へと向かった。
 
真新しい制服に、まだ何も入っていない鞄。
あたたかい日光に、気を引き締められるような少し冷たい風。
 
待ち望んだ『普通の生活』に晴樹は表情を明るくさせていた。
 

⏰:08/08/13 10:32 📱:P704i 🆔:3zP/HwX6


#638 [Mr.RabbIts!]
 

晴樹は正直、芸能界など興味がなかった。
小さい頃から父親の事務所に所属している俳優や女優など、たくさんの人たちに会ってきた。
みんなキラキラ輝いていて、すごくかっこよかったのを今でも覚えている。
 
だけど俺はそうなりたいか、と問われたら頷かないだろう。
 

⏰:08/08/13 10:36 📱:P704i 🆔:3zP/HwX6


#639 [Mr.RabbIts!]
 

俺には不向きだと思ったからだ。
小さな頃から兄貴といろんなレッスンを受けさせられたが、どんなに上手くなっても褒められても、これだ!というものを見つけられなかった。
 
演技も、ダンスも、モデルも…どれも本気になれなかった。
俺はこの世界ではアツくなれるものを見つけられないと考えるようになり、芸能界には自分は向いていないと思い込んでいった。
 

⏰:08/08/13 10:41 📱:P704i 🆔:3zP/HwX6


#640 [Mr.RabbIts!]
 

だけどそんな事、誰にも相談出来なかった。
レッスンを必死にこなして、芸能学校でも群を抜いて輝いている兄貴にも、口では言わないものの、兄貴と同じくらい俺に期待している両親にも。
言えるはずがなかった。
 
そんな時だった。
龍さんが俺に新しい世界へと手招きしてくれたのは。
 

⏰:08/08/13 10:46 📱:P704i 🆔:3zP/HwX6


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