俺の部屋が…《R18》
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#36 [我輩は匿名である]
20分もすればお風呂が溜まった。

「これ僕の着替えです。もしよかったら使ってください」

たんすからスウェットを取り出して、吉田さんに差し出した。

「…」

「あ、汚くないです。ちゃんと洗濯してあるんで」

そういうと、吉田さんはやっと体を起こした。

⏰:08/01/17 10:37 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#37 [我輩は匿名である]
これはひどい。

ちゃんと改めて見ると、服はビリビリに破かれている。

こんなに汚らしいのに、胸元が見えたとき【綺麗だな】と思ってしまった僕は不謹慎だろうか。

⏰:08/01/17 10:39 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#38 [我輩は匿名である]
「…下着」

「え?」

「下着は…ないよね?」

消えていきそうな声で問いかけてきた吉田さん。

「あ、えっと…下着は…」

僕は戸惑っていると、顔を上げて虚ろな目で僕を見た。

「…パンツとブラジャー」

⏰:08/01/17 10:40 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#39 [我輩は匿名である]
パンツ?

トランクスなんて貸せるわけないし…

「コンビニで買ってきましょうか」

そう提案すると、少しだけ【ヒト】っぽい表情をしてくれた。

「…お願いします」

「はい。じゃあ行ってきます。吉田さんは気兼ねなくお風呂入っててください」

⏰:08/01/17 10:43 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#40 [我輩は匿名である]
僕は吉田さんにお風呂の場所を案内しようと、受け取ってくれなかったスウェットを持って立ち上がった。

「…吉田さん?」

なかなか立たない吉田さん。

「あの…お風呂嫌でしたか?」

「…立てないの」

泣きそうに呟いた彼女は、いつも学校で見ている吉田明日香とは、別人だった。

⏰:08/01/17 10:45 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#41 [我輩は匿名である]
「手、貸しましょうか?」

僕みたいなマイナーに触れたくないのは当たり前だろうが、吉田さんは妥協したのかな。

コクリと頷いた。

僕は吉田さんの体を支えて、立ち上がらせた。

⏰:08/01/17 10:46 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#42 [我輩は匿名である]
廊下、階段、ゆっくりだが歩いて進んでいく。

こんなに弱っているのに一人でお風呂なんて大丈夫だろうか。

「ここです」

脱衣所につき、吉田さんから手をゆっくり離した。

まるで、よちよち歩きの子供の歩行練習をさせている親のような気持ち。

「大丈夫ですか?立てますか?」

⏰:08/01/17 10:48 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#43 [我輩は匿名である]
吉田さんはコクリと頷き、何かに掴まりながら立っていた。

「それじゃあ行ってきます。あの…失礼ですけど下着のサイズは?」

「M…C65」

「はい、わかりました。すみません」

脱衣所のドアを閉めて、僕は家を出た。

自転車で隣町まで走った。

⏰:08/01/17 10:52 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#44 [我輩は匿名である]
隣町には服屋さんがある。

スーパー的な服屋さん。

僕みたいな野郎でも気兼ねなく入れる。

そこで、生まれて初めて女性の下着コーナーに行った。

「…」

恥ずかしさより、興奮より、驚きだ。

こんなに種類があるなんて…。

⏰:08/01/17 10:54 📱:PC 🆔:asDiZhx6


#45 [我輩は匿名である]
「お客様、何かお探しですか?」

不審に思われたのだろうか。

店員が声を掛けてきた。

「あ、あの…知り合いが急に、泊まる事になったんですけど…その…下着がなくて…買いに来ました」

「そうですか。サイズは?」

店員はまだ疑いの目をしている。

⏰:08/01/17 10:56 📱:PC 🆔:asDiZhx6


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