俺の部屋が…《R18》
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#126 [我輩は匿名である]
こんなに褒められた事なんて、後にも先にもこれっきりかもしれない。
だから、少しはうぬぼれようと思った。
「そうだよ。あと、私に敬語もいい加減やめて。タメだしオナクラなんだから」
「た…ため?おなくら?」
「アハハ。そんな事も知らないの?」
「はい、すみません」
:08/01/19 11:06 :PC :C4gmiZ9A
#127 [我輩は匿名である]
花火をBGMにして、僕たちはたくさんの話をした。
自信持ってもいいのかな?って思えた日。
一生忘れない。
こんな僕を褒めてくれて、ありがとう。
:08/01/19 11:07 :PC :C4gmiZ9A
#128 [我輩は匿名である]
〜〜〜〜〜
とうとう夏休み最終日。
明日からどうなるのだろう。
何も聞かされないまま、一人…また一人と客はやってくる。
この5週間、一度も来なかった戸木田くん。
あの人の指示がないと、どうすればいいのかわからない。
:08/01/19 11:09 :PC :C4gmiZ9A
#129 [我輩は匿名である]
23時。
僕の携帯が鳴った。
身内から以外の初めての着信。
知らない番号だった。
誰にも教えてないはずなのに、その電話主は戸木田くんだった。
:08/01/19 11:10 :PC :C4gmiZ9A
#130 [我輩は匿名である]
どうやって番号を調べたのだろう。
そんな疑問はどうでもよかった。
やっと指示されるのかと思うと、うれしさ、安心、そして寂しさが僕を襲った。
「山田。明日香を連れて2丁目の廃ビルに来い。自転車なら10分で来れるな?今すぐだ」
そう告げると一方的に切られた。
:08/01/19 11:13 :PC :C4gmiZ9A
#131 [我輩は匿名である]
僕は吉田さんを連れて、2丁目に急いだ。
自転車に初めて人を乗せたので上手く走れなかったが、なんとか10分以内に到着できた。
「山田ー、こんばんみー」
廃ビルに入ると、戸木田くんがいた。
その後ろには見た事ある男がたくさん。
みんなウチに来ていた人ばかりだ。
:08/01/19 11:16 :PC :C4gmiZ9A
#132 [我輩は匿名である]
みんな何をしているのかわからない。
僕の目は戸木田くんだけに向いている。
「こんばんわ」
「山田ー、あの5万まだ残ってる?」
「あ、はい。少し使ったので3万円だけ残ってます」
「んー」
すると財布を触りながら僕に近づいた戸木田くん。
「ほい」
そう言って7枚の紙を渡された。
「え?」
「バイト代。残ってる3万と合わせて10万な」
:08/01/19 11:19 :PC :C4gmiZ9A
#133 [我輩は匿名である]
…バイト?
「え、あの…」
「受け取れ」
「でも」
「受け取れっつてんだよ。聞こえねぇの?」
「…あ、はい。ありがとうございます」
僕は、お金なんていらない。
バイト感覚で、吉田さんと生活してきた訳じゃない。
:08/01/19 11:20 :PC :C4gmiZ9A
#134 [我輩は匿名である]
「1ヶ月、サンキュな」
目は笑っていない笑顔を僕に向けると、後ろにいた吉田さんの腕を掴んで、僕から離れていった。
5週間前、僕の部屋にいきなり投げ込まれてきた吉田さん。
今度は後ろにいた男達の中に、戸木田くんに投げ込まれている。
「やぁぁぁぁー!」
吉田さんの叫び声が聞こえる。
:08/01/19 11:24 :PC :C4gmiZ9A
#135 [我輩は匿名である]
助ける事もできない。
情けなくて涙が出た。
僕は吉田さんに背を向け、7万円を握りしめながら、廃ビルを出た。
自転車は軽かった。
初めて乗せた人は、軽々しくって、落ちちゃうんじゃないかって思うぐらい痩せていた。
:08/01/19 11:26 :PC :C4gmiZ9A
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