危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#761 [東脂ヤ転
「いや、今日はちょっと彩華に用事があってさ…」
「ふぅん…彼女が居る人は朝から忙しいんだねぇ〜羨まし!!」
北原はそう言って俺の肩を叩くと先に教室へ入って行った。
彩華の教室は俺等の隣。呼び出して"振る"なんて、本当だったら絶対やりたくない程気が重い。
しかも北原は彩華とも仲が良いので必ずいつかはこの事がバレてしまう。
もともと彩華の肩を持っていた北原がその事を知った時、どんな反応をするか…。
そんなことを考えたら益々胃が痛んだ。
:08/09/07 21:46
:W52P
:☆☆☆
#762 [東脂ヤ転
「あのさ、林彩華居る?」
何とか教室の前まで足を動かした俺は、入り口の1番近くに居た女子に声を掛けた。
「ちょっと待ってね…
彩華ー!彼氏さんだよ!」
そんな大声で呼ばなくても良いのにそんな呼び出し方をしたもんだから、彩華は嬉しそうに教室の奥から走って来る。
「珍しいね!こんな朝早くから呼び出しなんて」
嬉しそうに笑ってそう言う彩華を見て俺の胸は更に軋んだ。
:08/09/07 22:56
:W52P
:☆☆☆
#763 [東脂ヤ転
「ちょっと彩華に話があってさ…今大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!あ、大事な話だったら屋上行かない?ここじゃ何だし」
俺の真剣な表情が伝わったのか珍しく気を利かせた彩華は、俺の手を引いて屋上につながる階段へと向かう。
こういうことは早く伝えなくちゃいけない、そう考えた俺はあえて朝一に言おうと決めていた。
その割に未だ何て言うかも決めていないんだけど、俺の中ではとにかく早く伝えることが先決だった。
階段を上る彩華の足は軽く、俺の考えていることなど微塵(ミジン)も気が付いていないようだ。
:08/09/08 10:05
:W52P
:☆☆☆
#764 [東脂ヤ転
「ふわぁ…っ風が気持ち良いね鳴ちゃん!」
屋上に着くと夏の朝に相応しい涼し気な風が吹いていた。
それに合わせて彩華の茶がかかった髪が揺れる。
「で?話って何?」
彩華は楽し気に訊く。
きっと良いことを聞かされる、と思っているんだろう。
[彩華…ごめんな]
俺は小さく胸でそう呟くとゆっくりと口を開いた。
「彩華……俺達、別れよう」
「………え…?」
2人の間にさっきとは違う、裂くような強い風が吹き始める。
:08/09/08 12:38
:W52P
:☆☆☆
#765 [東脂ヤ転
「……何で?」
少しの沈黙の後、彩華は俯いて言った。
さっきまであんなに笑顔だったのが嘘のように、その笑みが強張ってゆく。
「ごめん彩華…俺はもうお前を友達としてしか見れないんだ」
そんな彩華を前に、何とか俺の口から出た言葉は酷く冷たい台詞だった。
「何で…何でそんなこと急に言うの!?意味分かんないよ…!」
彩華の声が少しずつ震え出す。顔を上げた彩華の頬には、何度も涙が零れ落ちる。
:08/09/08 17:42
:W52P
:☆☆☆
#766 [東脂ヤ転
[俺は…こんなにも彩華を傷付けてる…]
何度も何度も涙をこぼす彩華を見て、俺は改めて自身に問いかける。
こんなにも誰かを傷付けてまで、俺は静兄と一緒になって良いのか…?
"誰かの不幸の上に幸せなど築くことは出来ない"
良く耳にする言葉だけど、俺は昔誰かからこの言葉を聞かされたんだ。
そして今実際に俺は彩華を苦しめていて、彩華を不幸にしようとしている。
そこまでして、俺が静兄と一緒になる意味は…意味は在るんだろうか?
何も言えずただ立ち尽くしている俺を、彩華は静かに見ていた。
:08/09/13 00:56
:W52P
:☆☆☆
#767 [東脂ヤ転
「…鳴ちゃん…さぁ」
暫く続いた沈黙の後、先に口を開いたのは彩華の方だった。
不意に名前を呼ばれ、俺はまた視線を彩華に戻す。
「他に好きな人が出来たんでしょ?」
「………え?」
さっき泣いていた時のような表情とは打って変わって、彩華のは眼は真っ直ぐ俺を捉えている。
それとは逆に俺は眼を反らしたくて仕様がなかった。
「そうなんでしょ?」
少しずつ追いつめるように彩華は俺に近付く。
それでも俺は応えられない。頷いたら彩華はきっと、それが誰なのかを知りたがるだろう。
その名を俺が口にするワケにはいかないんだ。
:08/09/15 16:38
:W52P
:☆☆☆
#768 [東脂ヤ転
ー…キーンコーンカーン…
「!!」
その時、タイミングを見計らったかのように始業ベルが鳴り響いた。
俺はその音を聞きながら内心ホッとしていた。
これで何とか時間稼ぎに出来そうだ。
「チャイム鳴ったしさ…話はまた放課後にしない?その時全部話すから」
「……分かった」
さすがの彩華も授業をサボってまで問い詰めようとは思っていないようで、俺の言葉を聞くとすぐにドアの方へと駆けだした。
:08/09/15 23:22
:W52P
:☆☆☆
#769 [東脂ヤ転
ドアノブに手を掛けた彩華はドアを開けたかと思うと、くるっとこっちを振り返った。
「鳴ちゃん…正直な理由を聞かせてくれないならあたし、別れる気は無いからね」
もう一度俺の眼をしっかり見つめそう断言すると、彩華は急ぎ足で階段を下りて行った。
「正直な理由…か」
俺は小さく呟くと溜め息をついた。
彩華には悪いがそれだけは絶対に出来ない。
それっぽい理由を造り上げるしか方法は無さそうだ。
空を見上げると相変わらずの曇り空。
いっそのこと大雨でも降ってくれれば良いのに、なんて思いながら俺も屋上を後にする。
:08/09/15 23:25
:W52P
:☆☆☆
#770 [東脂ヤ転
男同士の恋愛が世間でどういう目で見られているのか、どういう風に思われているのか、俺は充分分かっているつもりだ。
だからこそ彩華に本当の事なんか言わない。事実を伝えることこそ酷な話だと思う。
だってそうだろ?
「俺は兄貴を好きになったんだ、お前以上に。
だから別れてくれ。」
なんて言って、すんなり受け入れられる女子高生が居るか?
俺の思う"一般的な女子高生"はきっと理解出来ないだろう。
そして彩華は、その"一般的な女子高生"だ。
:08/09/15 23:29
:W52P
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