*柴日記*
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#5 [向日葵]
さっきまで私に向けていた魅力的な瞳を僅かにそらして、またポツリと呟いた。
「勝手に……呼べばいい……」
何でだろう。
でも何故か分かる事は、彼はとても傷ついてるように見えると言う事。
何故そんな悲しい目をしているんだろう……。
「どうして……うちの前にいたの?」
「……疲れた。どこにも行く場所なくて、さまよって……休んでただけ……。」
:08/03/18 00:54
:SO903i
:☆☆☆
#6 [向日葵]
行く場所がない?
つまり家出って事なのかな。
そう思いながら、今日初めてあった人をあれこれ詮索するのはよくないと思い、私は何も聞かなかった。
「じゃあ……とりあえず貴方は柴(シバ)ね。犬みたいにうちの前にいたから!」
特に反応する訳でなく、柴は黙ったまま私に拭かれた。
―――――――……
「行くとこないっていうなら、まぁいてもいいよ。」
お母さんは寛大すぎる程寛大で、お母さんだけど男気溢れる人だ。
:08/03/18 00:58
:SO903i
:☆☆☆
#7 [向日葵]
柴がお風呂に入ってる間、さっき彼から聞いた事をお母さんに言ったところ、さっきのような返事が帰ってきた。
「今更家族が1人増えようが5人増えようがどうでもいいよ」
「5人て……。そうなったら大家族だよお母さん」
「あぁ!おねーちゃん!」
後ろから声がするので振り向いてみれば、三女で4歳の苺(イチゴ)と、長男で10歳の空(ソラ)がそこにいた。
苺はトテトテと走ってきて私の足に抱きついた。
:08/03/18 01:03
:SO903i
:☆☆☆
#8 [向日葵]
「おかえりなさぁい!あのね、いちご今日おうたおぼえたんだよー!」
「そうなんだぁ。またお姉ちゃんに聞かせてね。」
苺は「うん!」と元気よく言って、お母さんの膝によじ上った。
「越姉!俺今日野球でホームラン打ったよ!」
「空はさすがだねー!この調子で頑張りなよ!」
空はニカッと笑う。
それにつられて私も笑うと、玄関の方から叫び声が聞こえた。
「うわぁぁ!!」
:08/03/18 01:06
:SO903i
:☆☆☆
#9 [向日葵]
「あ、さくらおねえちゃんだ!」
桜とは、次女で14歳。
おそらく部活から帰って来たのだろう。
それはいい。
多分……柴がいたな。
玄関へつけば、風呂上がりで、さっきと変わらず頭びちょびちょの柴と、見知らぬ柴に驚いた桜がいた。
「え!?ちょ、お姉ちゃんこの人誰!?」
「柴。ちょっと柴。ちゃんと頭拭かなきゃダメでしょうが。」
すると柴は頭にタオルを乗っけて、私に頭を差し出してきた。
:08/03/18 01:10
:SO903i
:☆☆☆
#10 [向日葵]
拭けと言ってるらしい。
桜の叫びにかけつけた苺と空も、驚いていた。
「わ!誰!?」
「いちごのおにいちゃん?」
いっぺんに説明しなくちゃならないようだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小さな苺もいると言う事で、分かりやすく丁寧に話した所、最初こそ驚いたものの、皆次第に納得していった。
「分かったよお姉ちゃん」
「俺も」
「いちごもー!」
:08/03/18 01:14
:SO903i
:☆☆☆
#11 [向日葵]
皆が了解したと言う事で、私は柴が使う部屋へと案内した。
丁度1つ余っているので、そこにする事にする。
階段を上がって、空いてる部屋へと案内。
柴は黙々とついてくる。
ドアを開けると、何もない空間が広がっている。
「じゃあここね。布団はまた持ってくるから。」
「……てない。」
「は?」
柴は入口に止まったまま、窓を見つめて何か呟いた。
:08/03/18 01:17
:SO903i
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#12 [向日葵]
柴よりも先に部屋に入ってた私は、柴に寄っていってもう1回何を言ったか尋ねた。
「何?」
「似てない……誰1人として、兄弟も、親子も……。」
「……そっか」
私はにこっとして、質問に答える。
「皆、施設からこの家に来たから。似てなくて当然なんだよ」
私は皆、桜も空も苺も……皆施設から今のお母さんの所へ引き取られた。
:08/03/18 01:20
:SO903i
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#13 [向日葵]
お母さんは、子供が欲しいけど出来なくて、ずっと悲しんでいた。
そんな時、私達を見つけてくれた。
血の繋がりなんてないけど、愛情一杯に育ててくれた。
私は5歳の時、両親から捨てられた。
それでも今のお母さんが大事に育ててくれたおかげで、今は何も寂しくもないし、怖くもない。
「本当の兄弟じゃなくても、皆大切よ。」
柴は静かに私を見つめ返す。
灰色の瞳でじっと見つめられるば、少しドキドキした。
:08/03/18 01:25
:SO903i
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#14 [向日葵]
「いいな」
「え?」
と突然、柴が被さってきた。
急なので、バランスを崩した私の体は、柴と共に倒れる。
ドスンと派手な音を立てると、私はムクリと起き上がった。
「あいったたたた。ちょっと柴!何すん」
「スー……スー……」
え、寝ちゃった?
確認するまでもなく、ピクリとも動かず柴は寝息を立てる。
:08/03/18 01:28
:SO903i
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