*柴日記*
最新 最初 🆕
#14 [向日葵]
「いいな」

「え?」

と突然、柴が被さってきた。
急なので、バランスを崩した私の体は、柴と共に倒れる。

ドスンと派手な音を立てると、私はムクリと起き上がった。

「あいったたたた。ちょっと柴!何すん」

「スー……スー……」

え、寝ちゃった?

確認するまでもなく、ピクリとも動かず柴は寝息を立てる。

⏰:08/03/18 01:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#15 [向日葵]
何か……謎めいた人だなぁ……。

歳は20ちょっとくらい。
長身、どちらかといえば美形。
そして灰色の瞳。

一体どこの人なんだろうか。

結果として膝枕をしなくちゃならない羽目になった私は、柴の寝顔を見ながらぼんやりと色々考えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

眠りがもとから浅いのか、1時間経つと柴は目を覚ました。

覚えてないのか、半目で辺りを見渡す。

そんな仕草に、私は笑ってしまった。

⏰:08/03/18 01:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#16 [向日葵]
「本当犬みたい!柴って名前あってたみたいね」

柴は少し首を傾げてから、座って頭をポリポリかいた。

私のビジョンからは、子犬が後ろ足で頭をかいてるように見える。

「お腹空いてない?喉は渇いてない?」

柴は頭をかくのを止めて、また私をじっと見つめる。
見つめながら、眉間のしわを深くした。

何か、私悪い事言ったっけ……?

「馬鹿らしい……。」

⏰:08/03/18 01:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#17 [向日葵]
は……?

「赤の他人家にあげるなんてどういう神経してんだか……第一そんなに親切にして何なの?媚売ってんの?」

最後の言葉を言い終わると同時に、私は柴の両方の頬をつねってやった。
そして間近で怒った顔をする。

「2度と、私の家族の悪口言わないで。」

媚なんて売った事はない。

困っているなら助けてあげたい。
そんな、ただ優しい心をそんな風に言うなんて許さない。

⏰:08/03/18 01:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#18 [向日葵]
「少なくとも、私はこの家族を誇りに思ってる。本当の家族であろうがなかろうが関係ない。本当の皆の心を見ずに、悪く言うのは止めて。」

そうして、私は頬から手を離す。
依然、まだ顔も気持ちも怒ったままだ。

柴はつねられた頬をさすりながら、ぼんやりと足元を見ていた。

少し……言いすぎた?
でも柴が悪いのよ。
私の家族を……あんな風に……。

「うらやましい……。」

柴がまたポツリと言う。

⏰:08/03/18 01:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#19 [向日葵]
私は眉を寄せて柴を見る。

柴はまたさっきのように悲しい目をしていた。

灰色の瞳に憂いの色が混ざる。

「悪く言ってごめん……」

あれ、意外と素直。

「でもお人好し」

でもやっぱり毒舌。

「いいの。誰かにとってはお人好しでも、誰かにとっては救いになってるかもしれないでしょ?」

柴は珍しい物のように私をじっと見つめる。

そんなにおかしい事言ったかな。

⏰:08/03/18 18:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#20 [向日葵]
カタと音がしたので振り向くと、そこに苺が覗いていた。

苺は恐る恐る部屋に入って来て、柴の近くで止まった。

最初は上から下まで何度も観察して、その内ににこぉっ笑った。

「しばおにいちゃん。いちごおにいちゃんとあそびたいな。」

柴は軽く目を見張ると、少し表情を柔らかくしたのが分かった。
目元も笑みを含んでいる。

苺も柴を気に入ったのか、生意気に膝の上に乗ってる。

⏰:08/03/18 18:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#21 [向日葵]
「兄弟いたの?」

「弟がね。」

柴は苺の頭を撫でながら言う。
苺のおかげで柴の警戒していた空気が緩和されてる。

だから私もなんなく喋る事が出来た。

「何歳くらい?」

「この子と同じくらい。」

「“このこ”じゃないよ。いちごだよ!」

苺の主張に、思わず笑ってしまう。

⏰:08/03/18 19:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#22 [向日葵]
「苺ー!ちょっとおいでー!」

桜の呼ぶ声に、元気よく「はーい!」と答えて苺は言ってしまった。

まるで空気を和らげに来ただけみたいな苺に、私は胸が温かくなった。

「あの子はいつからこの家の子?」

柴から喋り出したので、私は少し驚いた。

「苺は赤ちゃんの時から。でも本当の家族じゃない事はもう知ってるよ。」

柴は苺が行ってしまったドアを見つめる。
あんな小さな子に、そんな酷な事をとでも思ってるんだろうか。

⏰:08/03/18 19:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#23 [向日葵]
「俺もこの家に拾われたかった……」

「柴……?」

さっきもそうだった。

「いいな」とか「羨ましい」とか、どうして他の家庭を羨んでばかりいるんだろう。

そしてそういう時、いつも寂しくて悲しい顔をするのだろう。

「いいんだよ?ここにいても……」

柴の手に触れると、柴は少しピクリと震える。

柴の手は、さっきお風呂に入った筈なのにもう冷たくなっていた。

⏰:08/03/18 19:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194