*柴日記*
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#269 [向日葵]
どうして私あんな事言っちゃったんだろうと何度も後悔する。
後悔すれば後悔する分、また視界が滲んだ。
考えるのが嫌になって、目を閉じれば、いつの間にか眠りについてしまった。
――――――――……
トントンと、ドアを叩く音が聞こえた気がした。
それを合図に、意識が現実に引き戻された。
ゆっくりと目を開く。
「越」
柴だ。
:08/04/27 17:36
:SO903i
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#270 [向日葵]
心臓が跳ねる。
私は返事をしなかった。
するとまたノックをして、私の名前が呼ばれた。
静かな事を証明する耳鳴りのような音が聞こえた。
しばらくすれば、柴はどこかへ行ってしまった。
足音が消えた所で、私はベッドから降りる。
1日こんな気まずい状態でいれやしない。
遅刻上等で学校へ行こう。
私はさっさと支度を始めた。
鏡を覗けば、少し目が腫れていたけれどそのうち直るだろうとほっておく事にした。
:08/04/27 17:41
:SO903i
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#271 [向日葵]
支度を全て終えたのはいいけれど、困った事がある。
柴の現在地が分からない。
部屋にいるのか、リビングにいるのか、はたまた別の場所にいるのか……。
深呼吸をしてから、ドアノブに手をかけ、「いざっ!」と自分を奮い起こす。
勢いよくドアを開けた。
「どこに行くつもり?」
私は1歩も部屋から踏み出す事なく硬直する。
なんと柴はドアのすぐ横にいたのだった。
:08/04/27 17:45
:SO903i
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#272 [向日葵]
「……が、……こう……」
蚊が鳴くような――……とはこの事。
絶対に柴に聞こえてなかったと思うけれど、私の格好を見れば一目瞭然だと思う。
柴は私を押し戻して、また部屋に入れる。
入口は柴が塞いでしまった。
逃げ場所はない。
自分の鼓動だけがやけに早く聞こえた。
柴は腕を組んでドアにもたれる。
私はお腹辺りで指を絡ませて手を組み、うつ向く。
:08/04/27 17:49
:SO903i
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#273 [向日葵]
「体、良くないんだろ」
「よく寝たから……大丈夫。心配かけてごめん」
必死に、なんでもない風を装う。
でなければ優しい柴はきっと責任を感じてしまうから。
私さえ頑張れば、全ていつも通りに戻る。
そう思い、顔を上げる。
「私、これでも委員長だから、しっかり学校行かなきゃ。柴に迷惑はかけないよ」
「別に迷惑とは思わないよ」
「ううん。私が心苦しいの。だから、大丈夫……」
:08/04/27 17:53
:SO903i
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#274 [向日葵]
にこっと笑って見せる。
大丈夫だよ。私は平気だよって言うように。
柴はしばらく黙っていた。
時計の音と、私の心音がハモる。
そして柴は口を開いた。
「大丈夫なら……何で俺の事見ないの?」
私は目を見開いた。
そうなのだ。
顔を上げたものの、私は柴を見れないでいた。
それはこの前の柴の冷たい顔が目に焼き付いてしまって、怖くて見れなかったのだ。
:08/04/27 17:57
:SO903i
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#275 [向日葵]
「嫌いになった?」
「……そんなんじゃない」
「じゃあ何?」
胸か苦しくなって、強行突破で柴に近づき押し退けて出て行こうとした。
でもこの作戦は有効じゃなかった。
柴は私の腕を掴んで反転すると、壁に私をドアに押し付けた。
私は息を飲んだ。
動揺していると、柴の顔が近づいてきた。
おでこがぶつかりそうな距離だ。
:08/04/27 18:01
:SO903i
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#276 [向日葵]
「怖がらないで」
低く穏やかに柴が言う。
私はまだ柴に目を向けられないでいる。
「前の態度は良くなかった。謝るよ。でも俺だって、思い出したくもない過去の1つや2つある。越だって、あるでしょ……?」
「……ある」
「だったら分かって?越は知らなくていいんだ」
違う……。
そんなんじゃない。
「知らなくていいって……私は柴に必要ない?」
口をついて出たのはそんな言葉だった。
:08/04/27 18:05
:SO903i
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#277 [向日葵]
「私、柴が好きだもん。大好きだもん……柴の悲しい嫌な思い出消し去るくらい、幸せになって欲しいだけなの……っ」
私達は家族。
色々な形はあると思うけど、私達家族は、悲しみを分かちあって支えあってる。
だから柴にも、打ち明けて欲しかっただけ。
でも柴は「知らなくていい」と言った。
それは柴だけが私達家族に加わっていないように私は思った。
「それでも……柴が傷つくなら聞いちゃダメって思った。これは、私のワガママだから……だからっ」
:08/04/27 18:10
:SO903i
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#278 [向日葵]
「もう何も聞かないって決めてたのに」と言おうとしたら、柴の腕に包まれた。
力強く抱き締められて、私の心臓はさっきとは違う意味の脈を打った。
柴の体が密着して、体温を感じれば、更に加速していく。
「越……」
柴が耳元で呟く。
自分の名前がこんなに甘い響きを持っているなんて知らなかった。
恥ずかしさのあまり、私は目をギュッと瞑った。
「違うよ越……。俺は越が、越達家族が大切なんだ。わざわざ俺の闇に手を触れて、光を失う必要なんて無いって言いたいんだ」
:08/04/27 18:17
:SO903i
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