*柴日記*
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#366 [向日葵]
「じゃあなんで赤いの?」

「暑いだけ!」

柴はクスクス笑って「そう」とだけ言った。

周りから見れば物凄いバカップルだなんて思われてるのを知らず、私の顔の赤さは引かないままだった。

順番がまわってきて、カートに乗る。
……けど、狭い……。
お互いの肩が触れてしまいそうだ。

「右がアクセル、左がブレーキとなっています。それではいってらっしゃーい!」

⏰:08/06/16 01:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#367 [向日葵]
と係のお姉さんが言った途端カートは派手な音を立ててギュンッと進んだ。

「わー、結構スピード出るー!」

と関心していたら伸びてコースにまで出てきていた枝に頭を当てた。
横で柴が笑いだす。

「しっかり前見てなよ」

「失礼な!見てたもん!」

ムキになれば、また柴は派手に笑って、アクセルを更に強く踏む。

「やっぱり越はそうでなきゃね」

「え?」

⏰:08/06/16 01:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#368 [向日葵]
片手でハンドルを持って、もう一方の手で私の頭をくしゃりと撫でた。

「うろたえて赤くなってる越も可愛いくて好きだけど、笑ってる越が一番好きかな」

そう思うならそんな事言わないでほしいんですけど……。
また顔が赤くなる。
あまり見られたくなくてそっぽを向いた。

「柴の頭文字のSはドSのS……」

このまままた気まずくなるのが嫌で、ぼそりとそう呟いてみた。

「俺どっちかって言うとMでしょ」

「カミングアウトしちゃうんだ!」

おかしくなって、今度は私が笑いだした。

⏰:08/06/16 01:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#369 [向日葵]
>>319に感想板ありますんで良ければお願いします

⏰:08/06/16 01:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#370 [向日葵]
それにつられて柴も笑い出す。
そうこうしてる間に、ゴーカートの短い道のりは終わってしまった。

「あー楽しかった!あ、風船配ってる!ちょっと待ってて!」

私はうさぎの着ぐるみを来た人の元へ興奮しながら走って行った。

********************

越が楽しそうに風船を取りに行く姿を柴は穏やかに見ていた。
そして近くのベンチに座る。

ベンチに座って、改めて周りを見れば、家族連れがやはり多かった。

⏰:08/06/20 00:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#371 [向日葵]
そう思えば柴は自分の小さい頃を思い出していた。

もちろん、遊園地など連れて行ってもらった覚えは無かった。
それもそのはず。
両親はずっと仕事だと言って柴を構う事なんてしなかったからだ。

柴を相手したのはメイドや家庭教師。

しかし彼らが柴の心を満たせるはずもなかった。

どうあがいても彼らは他人だからだ。
対等な関係、本気の愛情、そんなものは一切ない。
自分が彼らに相手してもらったのは、大企業の息子だからだ。

⏰:08/06/20 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#372 [向日葵]
ちゃんと愛情を与えて接してくれたのは早代だけだった。

冷たく閉ざされた心を温かく溶かしてくれた。
きっと忘れる事は出来ない。

そうして早代の事を考えれば彼女の事が気になりだした。
あれから早代は幸せに暮らしているだろうか。
もしかしたら別れて別の場所にいるのだろうか。

柴との関係がバレた時、彼女は酷い仕打ちにあっていた。
その悲痛な声は、まだ柴の耳の奥に鮮明に残っている……。

⏰:08/06/20 00:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#373 [向日葵]
「柴?」

ハッとする。

近くに越が赤い風船とオレンジの風船を持って立っていた。

「少し休む?なんかしんどそうだよ?」

柴を覗き込む越を、柴はまぶしそうに見つめた。

早代が溶かしてくれた心が、再び冷たく閉ざされていた時、再び温もりをくれたのは越だった。

見ず知らずの大人を、何の躊躇いもなしに助けてくれた、自分にとってかけがえのない少女。

それこそ早代よりも大きな存在。

⏰:08/06/20 00:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#374 [向日葵]
「あ、あのね、風船2個貰ったんだっ。柴どっちがいい?」

“柴”。

新しく与えられた自分の名前。

越がつけてくれた特別な名前。

自分の名前がこんなにいとおしいと思った事はこれまでに一度も無かった。

「どっちでもいいよ。越が好きな色を持ってなよ」

「そう?柴はオレンジ選ぶかと思ったんだけどなー……」

「なんで?」

⏰:08/06/20 00:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#375 [向日葵]
「お日様色の方が柴は好きかなって。ホラ、オレンジって温かな感じするでしょ?だから柴はそういうのが好きそうだなって」

無邪気に笑う越を抱き締めたい衝動にかられる。
それをぐっと我慢して、彼女の風船を握る手を柔らかく包む。

越の顔が、赤い風船のように色づく。

「……し、柴……?」

「ありがとう……越……」

「あ、風船?いいよ別にそんな!タダだし!」

そうじゃない。

自分を見つけて、助けてくれて、ありがとう……。

柴はそう言いたかったのだ。

⏰:08/06/20 00:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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