*柴日記*
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#443 [向日葵]
「なぁ越姉……」

「ん?」

首を傾げて空の答えを待つ。
しかし空は口を開いては閉じ、開いては閉じと、何だか言いにくそうにしていた。

やがて「なんでもないっ」とまた笑った。

「よし苺、母さんの手伝いしに行こう」

「うん」

パタパタと出ていく2人に入れ替わりで、桜が入ってきた。
それと同時に私は笑い出す。

「何よお姉ちゃん」

「だって、なんだか私がこの家出ていくみたいな雰囲気なんだもん」

⏰:08/07/27 23:53 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#444 [向日葵]
桜はドアをパタンと閉めて、私の隣に座った。

「そんな雰囲気漂わせてるのは、お姉ちゃんだよ」

「え……」

「本当に別荘から帰ってくる?」

「もちろんだよ、何言ってんの桜」

桜は泣きそうな顔をしながら私の服の裾をキュッと掴む。

「柴がどこかへ行ってしまってからのお姉ちゃんは怖い……。急にどっか消えちゃいそうなんだもん……」

「桜……」

⏰:08/07/27 23:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#445 [向日葵]
空にしてやったように乱暴にではなく、丁寧に桜の頭を撫でてやる。

そこまで、私は皆に心配かけていたんだと思えば反省した。

周りの事、全然見えてなかったんだ……。

「大丈夫だよ桜。考えたい事があって、丁度いい機会だから、気分転換もかねて行くだけ」

安心させるように微笑めば、少しだけ桜の肩の力が抜けた。

「越ー!時間だよー!」

下からお母さんが叫ぶ。
荷物を持って、桜と下へ行った。
すると丁度呼び鈴が鳴った。

⏰:08/07/28 00:02 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#446 [向日葵]
「おはよう!」

ドアを開ければ、楽しみなのか、満面の笑顔の美嘉と、静かに微笑み会釈する椿がいた。

「準備はよろしいでしょうか……?」

「うん。よろしくね」

「迷惑かけんじゃないよ。気をつけてね」

お母さんは私の頭をかき乱す。
片目を瞑ってそれをやり過ごし、乱れた髪の毛を手ぐしで整える。

「じゃあ行ってきまーす!」

私はいつも椿が送り迎えしてもらっている真っ黒な車に乗った。

⏰:08/07/28 00:06 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#447 [向日葵]
―――――――…………

―――それから2、3分後の事だった。

空と苺が庭で仲良くボールで遊んでいると、1台の車が家の前に止まった。

空と苺は首を傾げる。

一瞬、越が何か忘れ物をしたのかと思ったが、その車は越達の車とは逆にくもりない真っ白な車だった。

バタン!とドアが閉まる音が聞こえると、門の所に姿を表した人物に、空と苺は声をあげた。

「柴!」

「しばちゃぁんっ!」

⏰:08/07/28 00:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#448 [向日葵]
「空、苺……っ」

苺は「しばちゃんだ、しばちゃんだ!」とその場ではしゃぐと、柴に駆け寄って、その足に抱きついた。

「おかえりなさぁいっ」

空は庭に通じるガラス戸を開けて、祐子に柴が来た事を知らせる。

「ただいま。苺……」

微笑んだ柴は、苺を軽々と持ち上げる。
すると騒がしい足音と共に、祐子が現れた。その後ろには桜もいる。

「柴……っ!」

「ただいま祐子さん。謝らなきゃいけない事たくさんあるの分かってるけど今は越と話したい。越はどこ?」

⏰:08/07/28 00:16 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#449 [向日葵]
桜が答えた。

「お姉ちゃんならついさっき旅行に行ったよ。あ、でも新幹線で行くとか昨日言ってたからまだ駅かも!」

「分かった、ありがとう!」

「柴!」

急いで行こうとする柴を祐子は止めた。

「アンタ……越が好き?」

「うん」

「じゃあね、あの子を絶対に1人にはしてあげないで。あの子はね、小さい頃に捨てられて、1人になる寂しさがどんなもんか身を持って味わってるんだ……」

⏰:08/07/28 00:20 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#450 [向日葵]
祐子が真剣な表情で話しているのに対し、柴の表情は柔らかいものだった。

「祐子さんさえ許してくれるなら、俺はずっと越のそばにいて、離れろって言われても離れないよ」

その言葉に納得した祐子は、頬を緩める。
そして柴が越を追うのを、ただ静かに見送っていた。

「ねえおかあさん」

「ん?」

「おねえちゃん、しばちゃんのおよめさんになったらいいのにねぇっ!」

苺の言葉に、一同唖然とする。
そんな事は知らず、苺は満面の笑みで更に続ける。

⏰:08/07/28 00:25 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#451 [向日葵]
「そしたらいちご、おねえちゃんとしばちゃんとずーっといっしょだよ!」

その言葉に、祐子は外だという事も忘れ、盛大に笑った。

「そうだねぇ」

苺を抱き上げ、穏やかな目で、2人が行った方を見つめた。

「どちらにせよ、あの2人は一緒にいた方が落ち着くよ……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「新幹線に乗る前に、そこのコンビニでお菓子買っちゃおう!」

駅の近くにあるコンビニを指差しながら美嘉が言った。
そしてさりげなく私の手を引っ張る。

⏰:08/07/28 00:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#452 [向日葵]
「どうしたの?美嘉」

椿の婚約者が嫌いなら、椿の近くにいて妨害するかと思っていたので、美嘉の行動を疑問に感じた。

すると美嘉は拗ねているように口を尖らせながら頬を膨らませた。

「だってね越、前みたいな雰囲気じゃないの、あの2人」

私はちらりと後ろを向く。

椿の婚約者と名乗る、葵 要君と言う人は、同い年なのに大人びていて、爽やかな人だ。

素直な意見を車の中で小声で美嘉に告げると、「騙されちゃダメ!」って怒ったくせに……。

⏰:08/07/31 00:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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