*柴日記*
最新 最初 全 
#533 [向日葵]
「いちごちゃん」
「あ、みよちゃんおはよーっ」
苺の1番の友達だ。
可愛らしい星がついたゴムで高く2つにくくられている。
「いちごちゃんまたあのおにいちゃんときたの?」
「うんっ!しばちゃんっていうの!」
2人は教室にある、ままごとセットで遊ぶ為準備する。
プラスチックで作られた包丁やまな板、マジックテープでつけられた野菜は、真っ二つに離れるように出来ている。
フリルがついたエプロンをつけて、本当にお母さんになったような気分になれば、何故か嬉しくなる。
もっとも、苺の場合は越を思い浮かべるが。
:08/08/30 03:09
:SO906i
:☆☆☆
#534 [向日葵]
「そのおにいちゃん、やさしい?」
「すごくやさしいよ!いちごだいすきなんだぁっ!」
満面の笑みで答える苺を、お兄ちゃんがいないみよは羨ましく思った。
だから言ってみる。
「じゃあ、こんど、みよもいっしょにあそんでいい?」
すると苺の笑顔はゆっくり消えていき、逆に眉を寄せ、口を真一文字にキュッと結ぶ。
「だめっ!」
「どうしてー?」
「ぜぇーったいだめなの!しばちゃんとあそんでいいのは、いちごとそらくんだけっ!」
:08/08/30 03:13
:SO906i
:☆☆☆
#535 [向日葵]
何故怒られたのか分からないみよだが、これ以上言ってケンカをするのは嫌だったので、口を尖らせて渋々「わかった」と呟いた。
それを聞いた苺は元の愛らしい笑顔を浮かべてままごとを始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「皆ぁー。今からお絵描きしますが、今日は、皆が大好きな人を描いて下さいねー」
子供たちは元気に返事をし、自分専用の道具箱からクレヨンを取り出した。
配られた大きい画用紙に、それぞれの絵を描き始める。
「いちごちゃんなにかくのー?」
「えへへ、ないしょーっ!」
:08/08/30 03:18
:SO906i
:☆☆☆
#536 [向日葵]
みよは「ふーん」と言って肌色のクレヨンを握る。
隣では楽しそうに、でも真剣に苺が絵を描く。
先生は皆の絵を見回っていた。
そして苺の絵を目に止める。
「苺ちゃんは何描いてるのー?」
先生が近づいていた事を知らなかった苺は気づくとすぐに絵を隠した。
だが小さな手では全ては隠れきれていない。
「せんせいみちゃだめっ!せんせいみちゃったら、しばちゃんたちにきょう、なにかいたか、いっちゃうでしょっ?」
「しばちゃん?……ああ、苺ちゃんとこの頃一緒に来るお兄ちゃん?」
:08/08/30 03:24
:SO906i
:☆☆☆
#537 [向日葵]
「うんっ」
「いいなぁ、あんなカッコイイお兄ちゃんで。先生も欲しいよー」
先生は軽い気持ちで言っただけだった。
しかし苺の表情は曇り、険しくなっていった。
「あげないもんっ!せんせいにしばちゃんぜーったいあげないもんっ!」
クレヨンと画用紙を持つと、苺は教室の隅へと行ってしまった。
先生は呆然としてしまう。
何故なら苺があそこまで怒ったのは初めて見たからだ。
いつもはおっとりとしていて、聞き分けのいい子なのにと、先生は苺を見る。
:08/08/30 03:29
:SO906i
:☆☆☆
#538 [向日葵]
苺はすっかり怒っているのか、こちらに背を向けてまた絵を描いている。
その小さな胸に、どんな思いを秘めているのか、先生は突然の苺の怒りに戸惑っていた。
苺は一生懸命絵を描いていた。
大好きな人を思い、その人の笑顔を思い浮かべ、喜んでくれるかとワクワクしていた。
その人に1番に見て欲しいから、先生にだって見せたくはないのだ。
先生は、1番大好きな人じゃない。
1番大好きなのは……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「苺が?」
:08/08/30 03:35
:SO906i
:☆☆☆
#539 [向日葵]
あっという間に時間は過ぎ、保育園に柴が迎えに来た。
「ええ。ちょっと怒らせてしまいまして……。私が原因だとは思うんですが、もしかしたら何かあったのかなぁって……」
柴は足元にいる苺を見た。
苺は拗ねるみたいに口を尖らせ、柴の足にくっついている。
「苺ちゃん、じゃあまた明日ね。さようなら」
しかし苺は挨拶をしなかった。
柴は少し困った顔をして、苺の頭を軽くポンポンと叩き、挨拶を促す。
少しからかうように、また先生が言った。
「さようなら言ってくれないと、柴お兄ちゃんは先生がもらっちゃうぞーっ」
:08/08/30 03:41
:SO906i
:☆☆☆
#540 [向日葵]
すると苺は先生を睨みつけ、目にうっすら涙を浮かべる。
「せんせいなんて、だいっきらいっ!」
苺は保育園を飛び出して行ってしまった。
「苺っ!すいません、失礼します」
柴は急いで後を追いかけて行った。
小さい子の足は思ったより早い。
なので柴は更に急ぐ。
転びでもしたら大変だと焦りながら。
そしてようやく捕まえる。
「コラ苺っ!先生にあんな事言っちゃだめだろっ!」
:08/08/30 03:45
:SO906i
:☆☆☆
#541 [向日葵]
目の高さまで苺を抱き上げて、叱りつける。
苺は口を波のように歪ませると、大きな目を潤ませる。
泣く。
そう思った瞬間、体を軽く反って大声て苺が泣き出した。
「し、しばちゃんのばかぁーっ!いちご、わ、る、く、ないも、ぉーんっ!!」
うわーん!と甲高い声で泣かれれば、柴は慌てる。
苺をちゃんと抱くと、家まで急いで帰って行った。
その間も苺の機嫌は治る事は無かった。
「珍しい。苺が怒るだなんて」
:08/08/30 03:51
:SO906i
:☆☆☆
#542 [向日葵]
帰ってきた越に、柴はぐったりとしながら訳を話した。
あれから苺は自分の部屋にこもってしまった。
柴がいくら呼んでも返事をしない。
強行突破と思い、ドアを開けようしたらしっかりと鍵がかけられていた。
途方にくれた柴は、大人しく越の帰りを待ち、越になんとかしてもらおうと考えていたのだ。
「ご機嫌ななめでも話を聞く限り今日のは酷いなぁ。ちょっと行って来るよ」
「……ごめん」
「気にしなくていいよ。すぐに「しーばちゃん」って来るから」
:08/08/30 03:55
:SO906i
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194