*柴日記*
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#542 [向日葵]
帰ってきた越に、柴はぐったりとしながら訳を話した。

あれから苺は自分の部屋にこもってしまった。
柴がいくら呼んでも返事をしない。
強行突破と思い、ドアを開けようしたらしっかりと鍵がかけられていた。

途方にくれた柴は、大人しく越の帰りを待ち、越になんとかしてもらおうと考えていたのだ。

「ご機嫌ななめでも話を聞く限り今日のは酷いなぁ。ちょっと行って来るよ」

「……ごめん」

「気にしなくていいよ。すぐに「しーばちゃん」って来るから」

⏰:08/08/30 03:55 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#543 [向日葵]
越は柴を安心させるよう微笑むと、リビングを出て2階へ行き、苺が閉じこもっている部屋まで行く。

立ち止まってしばらく中の様子をドア越しに読み取る。
そして優しくノックをする。

「いーちーご。いーれーて」

柔らかく、ちょっとおどけたように言ってみる。
返事はない。
でも越は辛抱強く待つ。
もう1度、優しく名を呼ぶ。
そして再び待つ。

するとゆっくり鍵が開けられた。
越は鍵が開けられた速度と同じくらいドアを開ける。

苺はベッドを背にしてちょこんと床に座っていた。

⏰:08/08/30 04:00 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#544 [向日葵]
越はその隣に座る。
苺の目は、泣きすぎか擦りすぎか、赤くなってしまっていた。

「先生に大嫌いって言ったのはどうして?」

叱りつける訳ではなく、頭を撫でながら優しく問う。
すると段々苺の目に涙がたまってきた。
そして子供特有のせわしないしゃっくりをしながら訳を話し出す。

「しばちゃん、は、い、ちごの、おに、ちゃ、だ、もんっ……。せんせ、しばちゃ、が、ほし、とか、もら、ちゃうとか、いったぁ……っ!」

つまり。
苺は柴が誰かに取られるのが嫌だと妬きもちを妬いていたのだ。

⏰:08/08/30 04:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#545 [向日葵]
遊ぶのは自分だけ。
自分だけのお兄ちゃん。
だから誰も近づくのは許さない。

そういう気持ちが強くなって、今日みたいな事が起こったのだろう。

しかし……と越は思う。
自分は柴と恋人同士にある訳なのだがそれはいいのか?と。

「柴がお姉ちゃんに抱きついたりしてるのはいいの?」

「おねえちゃんは、い、いの。いちご、は、おね、ちゃんがすき、だからっ」

基準がよく分からないな、と、苦笑いを浮かべていると、苺はそばに置いてあった丸めている画用紙を越に渡した。

⏰:08/08/30 04:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#546 [向日葵]
受け取って、苺を見る。

「見てもいいの?」

苺は両手で目を擦りながら大きく首を縦に振る。

画用紙を伸ばして見れば、人が2人クレヨンで描かれてい。
片方の人にはピンク色で「おねえちゃん」と書かかれていて、もう片方人には黄緑色で「しばちゃん」と書かれていた。

「一生懸命描いてくれたの……。ありがとう……」

苺に微笑みかける。
しゃっくりは止んできたが、苺の涙はまだ止まりそうにない。

「だ、いすきなひと、をかきましょーって、せんせい、がいっ、たの。だからね、いちごね、おねうちゃんとしばちゃん、かいた、の」

⏰:08/08/30 04:18 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#547 [向日葵]
「そっか……でもね苺」

越は伸ばした自分の膝の上に苺を乗せて目線を合わせて話す。

「何も言わずに“大嫌い”とか、“見ちゃだめ”とか言ったらだめだよ。先生がびっくりしちゃうでしょ?」

苺はしゃっくりを上げながらもしっかりと聞きながら相槌を打つ。そんな苺を優しく見つめながら越は背中をさする。

「なんで見ちゃだめなのか、どうして大嫌いって思っちゃったのか、伝えなきゃだめ。もしお姉ちゃんが突然苺に大嫌いって言ったら、苺どう思う?」

「……いや」

「だよね?じゃあ苺も、先生に嫌な事しちゃだめ。……ね?」

⏰:08/08/30 04:23 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#548 [向日葵]
苺はしょんぼりしながらもコクコク頷く。
越はこつりと苺と額をくっつける。

「苺はいい子だから、明日先生にごめんなさい出来るよね?」

「うん……」

「あと柴にも言えるよね?柴に馬鹿って言ったんだよね?柴傷ついてたよー」

苺は黙ると、また涙をため始めた。
自分のしてしまった事が悪かった事と分かり、反省しているようだった。

「苺、お返事はー?」

「……あい……」

⏰:08/08/30 04:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#549 [向日葵]
「よしいい子ー」

越は苺を抱き締めてやる。
すると苺は小さな腕を越の首に回し「うぅー」と言ってまた泣き出した。
怒られると緊張していた糸が切れたようだった。

そんな苺をポンボンと叩いてあやしながら、立ち上がる。
そして下へと降りて行く。

リビングの机でぼんやりしていた柴は苺と越に気づいて、そちらを向く。

苺は顔を上げて柴を見ると、降ろしてと越に無言で頼む。
越が床に降ろしてやると、苺はすぐに柴が座っているとこまで走って行って、その膝に飛び込んだ。

⏰:08/08/30 04:32 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#550 [向日葵]
「しばちゃんごめんねーっ」

柴は驚いて越を見るが、越は笑顔のままだった。
柴は再び苺に視線を落とすと、微笑んで苺を膝に乗せる。
膝に乗せると苺はヒシッと柴の胸にしがみつく。

小さな手で必死に服を掴む姿はなんとも可愛らしい。

こうして、苺のトラブルは幕を降ろした。

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―――――――――――

―次の日―

「ねえ柴、理由もなく、叱りつけたらだめだからね。子供でも意見を尊重してあげないと」

⏰:08/08/30 04:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#551 [向日葵]
いつも通りの朝。
朝ご飯の支度をしていた越は毎日の日課かのように背中にくっつく柴に言う。

「そうだね。よく分かったよ」

「それに女の子はもうあれぐらいから大人の女として意識しちゃうんだからねー。あんまり子供扱いしたら拗ねちゃうよー」

おかしそうに言う越に、「もう少し大人っぼくなってくれないかなぁ」と思う柴。
もちろんそこが越の良いところだが、あまりに純度100%だと手が出しにくいと悩んでいる彼だった。

これくらいの触れ合いが彼女にとっていいのだと分かってはいるがもう少し近づきたいと思ってるのも正直なところだった。

⏰:08/08/30 04:44 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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