*柴日記*
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#556 [向日葵]
番外編*夫婦日記*
:08/09/07 15:44
:SO906i
:☆☆☆
#557 [向日葵]
「えー!?今日遅くなるの!?」
急な母の叫びに、家にいる子供達と柴は驚く。
何事かと見れば、先程かかってきた父からの電話に出た母は、腰に手を当て、どうやら怒っているようだった。
「……あぁ、うん。分かったよ。」
神田家の長女である越は電話の向こうで必死に母をなだめる父を想像する。
きっと内心焦っているのだろう。
「……ところで、今日なんの日か知ってる?」
母はしばらく静かに父の返答を待っていた。
するとなんの前触れもなく母は電話を切ってしまった。
:08/09/07 15:54
:SO906i
:☆☆☆
#558 [向日葵]
「お、お母さんっ!?」
母は足を踏み鳴らして台所へ向かう。
越はその後を追って行く。
換気扇をつけた母は煙草に日をつける。
明らかに不機嫌だ。
「お母さんどうしたの?お父さんとケンカ?」
「あぁちょっとね。見苦しいとこ見せちゃったわね」
ふぅと煙を吐く。
それが換気扇に吸い込まれていくのをぼんやりと眺めながら越はハタと気づく。
「そういえばお母さん、今日は何の日なの?」
:08/09/07 15:58
:SO906i
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#559 [向日葵]
「え?……あぁ今日はね」
「結婚記念日?」
いつの間にか越の背後に立っていた柴が口をはさむ。
「柴正解」
「えぇっ!?」
この家にの子になってもう10何年もなる越だが、母達の結婚記念日を知らなかった上、まだ来て日が浅い柴に言い当てられたのが悔しく思った。
しょんぼりしている越に、母は微笑む。
「いいんだよ。毎年ひっそりと2人だけでやってたから。別に言うことでもないし」
:08/09/07 16:02
:SO906i
:☆☆☆
#560 [向日葵]
「じ、じゃあじゃあ、ケンカの理由ってまさか……」
母の微笑みが少し歪む。
どうやら正解らしい。
煙草をまたくわえて、また煙を吐く。
「一郎さん……“なんだっけ?”だってさ……」
多分そう言った瞬間、受話器を叩きつけるようにして置いたのだろう。
「ホヤホヤしててどこか抜けてるトコはあれど可愛らしいからいいのに……っ!しかも結婚記念日忘れた事なんていちっどもなかったんだぞ!?なのにもう老いぼれたかぁっ!!」
怒っているのか父を誉めているのかよく分からない母の言葉を聞きながら越は柴に苦笑いを向ける。
:08/09/07 16:09
:SO906i
:☆☆☆
#561 [向日葵]
「そもそもさ、祐子さん達はいつ知り合ったの?」
そういえば、母のなれそめを詳しく聞いた事はない。
越は母をじっと見つめる。
母を残り少なくなった煙草を灰皿に押しつけ、シンクにもたれる。
「一朗さんと、会ったのねぇ……」
――――――――
―――――――――――
17歳の青春真っ盛りの歳に、神田 祐子、旧姓、森下 祐子は過ごしていた。
「森下ぁ!お前また煙草吸っただろう!」
「吸って何が悪ぃんだよ!」
…………少々、荒れながら……。
:08/09/07 16:15
:SO906i
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#562 [向日葵]
喧嘩上等。
売られた喧嘩は倍額で買う上、決して負ける事はない。
何度も停学になるが、祐子は学校に通い続けていた。
そんな祐子に近づくものは誰もいない。
遠巻きに見ていて、びくびくしていた。
「お前なぁ、こんな事じゃ人生台無しにするぞ!」
生徒指導室。
祐子はここの常連だ。
パイプ椅子にドカリと座り、ふんぞり返って足を組む。
あぁうるさい……。
この台詞を聞いたのは何回目だろうか……。
:08/09/07 16:19
:SO906i
:☆☆☆
#563 [向日葵]
「てめぇに人生云々言われたかねぇよ。いちいち関わんな!」
立ち上がり勝手に部屋を出ていく。
バンッと閉めると、バサバサッと何かが落ちる音が聞こえた。
その方を見ると、本をぶちまけて呆けている青年がいた。
「び、びっくりしたぁ……」
どうやら祐子が閉めた音に驚き、持っていたいくつもの本を落としてしまったらしい。
しゃがんで本を持とうとするが、もたもたしている動作に祐子はイラッとする。
「ったく早く拾えよっ!」
とつい手伝ってしまう。
:08/09/07 16:26
:SO906i
:☆☆☆
#564 [向日葵]
「すいませんっ!」
「謝るなら手ぇ動かしやがれ!」
2人で本を拾い重ね、祐子は青年に押しつけた。
「落とすぐらいに持ってんじゃねぇよ。ちったぁ量減らせ」
「あー……。でも読みたいのばかりだったから我慢出来なくて」
へらぁと、たれ目がちの目が更にたれる。
なんだからこちらまで力が抜けそうだと思った祐子は、回れ右をする。
「あ、あの!」
ちらりと背後を見れば、青年は笑顔でこちらを見ていた。
:08/09/09 01:26
:SO906i
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#565 [向日葵]
「ありがとう」
祐子は心底驚く。
目を見開いて、青年を凝視した。
青年は祐子が去って行くまで見送る気なのか、にこにこしたままそこから動かない。
だから祐子は珍しくて仕方がなかった。
自分に笑顔で、しかもお礼を言う人間がいるのか……。
まぁあれぐらいフヤフヤした奴だと、不思議ではないかもしれない。
祐子はまた歩き出した。
――――――――――…………
壁に思いきり背中をぶつける。
:08/09/09 01:30
:SO906i
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