*柴日記*
最新 最初 全 
#1 [向日葵]
:08/03/18 00:38
:SO903i
:☆☆☆
#2 [向日葵]
雨が降っていた。
もうすぐ秋の気配を感じながら帰宅した私は、まるで捨て犬みたいに縮こまって、悲しそうにうつ向いてる彼と出会ったのです。
*柴日記*
:08/03/18 00:42
:SO903i
:☆☆☆
#3 [向日葵]
「お母さぁぁん!人拾ったぁぁ!!」
「え、ちょ、アンタそんな犬拾ったみたいなテンションで!」
優雅に紅茶をすすっていたお母さんは私の叫びにびっくりした。
私はずぶ濡れの彼を家にいれて、タオルを貸してやった。
「ハイ。拭いて。風邪ひいちゃうから。」
私の言葉なんか聞いてないのか、綺麗な茶色い髪から滴る雫もそのままに、彼はぼんやりしていた。
お母さんが風呂を沸かしてあげると言って、風呂場へ向かった後、私は彼を拭いてあげる。
:08/03/18 00:46
:SO903i
:☆☆☆
#4 [向日葵]
そこで私はハッとする。
伸びている髪の毛の隙間から覗いた瞳は、グレーだった。
外人……さん……?
もしかして日本語通じないとかかな……。
「わ……ワットユアネーム?」
カタコトな英語で話かければ少し反応したのか、こちらを見た。
「分かるから……日本語。」
ぽつりとだけど、確かにそう言った。
「良かった!あ、私は神田 越(カンダ エツ)。この家の長女。貴方は?」
:08/03/18 00:50
:SO903i
:☆☆☆
#5 [向日葵]
さっきまで私に向けていた魅力的な瞳を僅かにそらして、またポツリと呟いた。
「勝手に……呼べばいい……」
何でだろう。
でも何故か分かる事は、彼はとても傷ついてるように見えると言う事。
何故そんな悲しい目をしているんだろう……。
「どうして……うちの前にいたの?」
「……疲れた。どこにも行く場所なくて、さまよって……休んでただけ……。」
:08/03/18 00:54
:SO903i
:☆☆☆
#6 [向日葵]
行く場所がない?
つまり家出って事なのかな。
そう思いながら、今日初めてあった人をあれこれ詮索するのはよくないと思い、私は何も聞かなかった。
「じゃあ……とりあえず貴方は柴(シバ)ね。犬みたいにうちの前にいたから!」
特に反応する訳でなく、柴は黙ったまま私に拭かれた。
―――――――……
「行くとこないっていうなら、まぁいてもいいよ。」
お母さんは寛大すぎる程寛大で、お母さんだけど男気溢れる人だ。
:08/03/18 00:58
:SO903i
:☆☆☆
#7 [向日葵]
柴がお風呂に入ってる間、さっき彼から聞いた事をお母さんに言ったところ、さっきのような返事が帰ってきた。
「今更家族が1人増えようが5人増えようがどうでもいいよ」
「5人て……。そうなったら大家族だよお母さん」
「あぁ!おねーちゃん!」
後ろから声がするので振り向いてみれば、三女で4歳の苺(イチゴ)と、長男で10歳の空(ソラ)がそこにいた。
苺はトテトテと走ってきて私の足に抱きついた。
:08/03/18 01:03
:SO903i
:☆☆☆
#8 [向日葵]
「おかえりなさぁい!あのね、いちご今日おうたおぼえたんだよー!」
「そうなんだぁ。またお姉ちゃんに聞かせてね。」
苺は「うん!」と元気よく言って、お母さんの膝によじ上った。
「越姉!俺今日野球でホームラン打ったよ!」
「空はさすがだねー!この調子で頑張りなよ!」
空はニカッと笑う。
それにつられて私も笑うと、玄関の方から叫び声が聞こえた。
「うわぁぁ!!」
:08/03/18 01:06
:SO903i
:☆☆☆
#9 [向日葵]
「あ、さくらおねえちゃんだ!」
桜とは、次女で14歳。
おそらく部活から帰って来たのだろう。
それはいい。
多分……柴がいたな。
玄関へつけば、風呂上がりで、さっきと変わらず頭びちょびちょの柴と、見知らぬ柴に驚いた桜がいた。
「え!?ちょ、お姉ちゃんこの人誰!?」
「柴。ちょっと柴。ちゃんと頭拭かなきゃダメでしょうが。」
すると柴は頭にタオルを乗っけて、私に頭を差し出してきた。
:08/03/18 01:10
:SO903i
:☆☆☆
#10 [向日葵]
拭けと言ってるらしい。
桜の叫びにかけつけた苺と空も、驚いていた。
「わ!誰!?」
「いちごのおにいちゃん?」
いっぺんに説明しなくちゃならないようだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小さな苺もいると言う事で、分かりやすく丁寧に話した所、最初こそ驚いたものの、皆次第に納得していった。
「分かったよお姉ちゃん」
「俺も」
「いちごもー!」
:08/03/18 01:14
:SO903i
:☆☆☆
#11 [向日葵]
皆が了解したと言う事で、私は柴が使う部屋へと案内した。
丁度1つ余っているので、そこにする事にする。
階段を上がって、空いてる部屋へと案内。
柴は黙々とついてくる。
ドアを開けると、何もない空間が広がっている。
「じゃあここね。布団はまた持ってくるから。」
「……てない。」
「は?」
柴は入口に止まったまま、窓を見つめて何か呟いた。
:08/03/18 01:17
:SO903i
:☆☆☆
#12 [向日葵]
柴よりも先に部屋に入ってた私は、柴に寄っていってもう1回何を言ったか尋ねた。
「何?」
「似てない……誰1人として、兄弟も、親子も……。」
「……そっか」
私はにこっとして、質問に答える。
「皆、施設からこの家に来たから。似てなくて当然なんだよ」
私は皆、桜も空も苺も……皆施設から今のお母さんの所へ引き取られた。
:08/03/18 01:20
:SO903i
:☆☆☆
#13 [向日葵]
お母さんは、子供が欲しいけど出来なくて、ずっと悲しんでいた。
そんな時、私達を見つけてくれた。
血の繋がりなんてないけど、愛情一杯に育ててくれた。
私は5歳の時、両親から捨てられた。
それでも今のお母さんが大事に育ててくれたおかげで、今は何も寂しくもないし、怖くもない。
「本当の兄弟じゃなくても、皆大切よ。」
柴は静かに私を見つめ返す。
灰色の瞳でじっと見つめられるば、少しドキドキした。
:08/03/18 01:25
:SO903i
:☆☆☆
#14 [向日葵]
「いいな」
「え?」
と突然、柴が被さってきた。
急なので、バランスを崩した私の体は、柴と共に倒れる。
ドスンと派手な音を立てると、私はムクリと起き上がった。
「あいったたたた。ちょっと柴!何すん」
「スー……スー……」
え、寝ちゃった?
確認するまでもなく、ピクリとも動かず柴は寝息を立てる。
:08/03/18 01:28
:SO903i
:☆☆☆
#15 [向日葵]
何か……謎めいた人だなぁ……。
歳は20ちょっとくらい。
長身、どちらかといえば美形。
そして灰色の瞳。
一体どこの人なんだろうか。
結果として膝枕をしなくちゃならない羽目になった私は、柴の寝顔を見ながらぼんやりと色々考えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
眠りがもとから浅いのか、1時間経つと柴は目を覚ました。
覚えてないのか、半目で辺りを見渡す。
そんな仕草に、私は笑ってしまった。
:08/03/18 01:33
:SO903i
:☆☆☆
#16 [向日葵]
「本当犬みたい!柴って名前あってたみたいね」
柴は少し首を傾げてから、座って頭をポリポリかいた。
私のビジョンからは、子犬が後ろ足で頭をかいてるように見える。
「お腹空いてない?喉は渇いてない?」
柴は頭をかくのを止めて、また私をじっと見つめる。
見つめながら、眉間のしわを深くした。
何か、私悪い事言ったっけ……?
「馬鹿らしい……。」
:08/03/18 01:36
:SO903i
:☆☆☆
#17 [向日葵]
は……?
「赤の他人家にあげるなんてどういう神経してんだか……第一そんなに親切にして何なの?媚売ってんの?」
最後の言葉を言い終わると同時に、私は柴の両方の頬をつねってやった。
そして間近で怒った顔をする。
「2度と、私の家族の悪口言わないで。」
媚なんて売った事はない。
困っているなら助けてあげたい。
そんな、ただ優しい心をそんな風に言うなんて許さない。
:08/03/18 01:40
:SO903i
:☆☆☆
#18 [向日葵]
「少なくとも、私はこの家族を誇りに思ってる。本当の家族であろうがなかろうが関係ない。本当の皆の心を見ずに、悪く言うのは止めて。」
そうして、私は頬から手を離す。
依然、まだ顔も気持ちも怒ったままだ。
柴はつねられた頬をさすりながら、ぼんやりと足元を見ていた。
少し……言いすぎた?
でも柴が悪いのよ。
私の家族を……あんな風に……。
「うらやましい……。」
柴がまたポツリと言う。
:08/03/18 01:44
:SO903i
:☆☆☆
#19 [向日葵]
私は眉を寄せて柴を見る。
柴はまたさっきのように悲しい目をしていた。
灰色の瞳に憂いの色が混ざる。
「悪く言ってごめん……」
あれ、意外と素直。
「でもお人好し」
でもやっぱり毒舌。
「いいの。誰かにとってはお人好しでも、誰かにとっては救いになってるかもしれないでしょ?」
柴は珍しい物のように私をじっと見つめる。
そんなにおかしい事言ったかな。
:08/03/18 18:50
:SO903i
:☆☆☆
#20 [向日葵]
カタと音がしたので振り向くと、そこに苺が覗いていた。
苺は恐る恐る部屋に入って来て、柴の近くで止まった。
最初は上から下まで何度も観察して、その内ににこぉっ笑った。
「しばおにいちゃん。いちごおにいちゃんとあそびたいな。」
柴は軽く目を見張ると、少し表情を柔らかくしたのが分かった。
目元も笑みを含んでいる。
苺も柴を気に入ったのか、生意気に膝の上に乗ってる。
:08/03/18 18:55
:SO903i
:☆☆☆
#21 [向日葵]
「兄弟いたの?」
「弟がね。」
柴は苺の頭を撫でながら言う。
苺のおかげで柴の警戒していた空気が緩和されてる。
だから私もなんなく喋る事が出来た。
「何歳くらい?」
「この子と同じくらい。」
「“このこ”じゃないよ。いちごだよ!」
苺の主張に、思わず笑ってしまう。
:08/03/18 19:00
:SO903i
:☆☆☆
#22 [向日葵]
「苺ー!ちょっとおいでー!」
桜の呼ぶ声に、元気よく「はーい!」と答えて苺は言ってしまった。
まるで空気を和らげに来ただけみたいな苺に、私は胸が温かくなった。
「あの子はいつからこの家の子?」
柴から喋り出したので、私は少し驚いた。
「苺は赤ちゃんの時から。でも本当の家族じゃない事はもう知ってるよ。」
柴は苺が行ってしまったドアを見つめる。
あんな小さな子に、そんな酷な事をとでも思ってるんだろうか。
:08/03/18 19:05
:SO903i
:☆☆☆
#23 [向日葵]
「俺もこの家に拾われたかった……」
「柴……?」
さっきもそうだった。
「いいな」とか「羨ましい」とか、どうして他の家庭を羨んでばかりいるんだろう。
そしてそういう時、いつも寂しくて悲しい顔をするのだろう。
「いいんだよ?ここにいても……」
柴の手に触れると、柴は少しピクリと震える。
柴の手は、さっきお風呂に入った筈なのにもう冷たくなっていた。
:08/03/18 19:11
:SO903i
:☆☆☆
#24 [向日葵]
「いたい……。ずっと……」
柴は膝を抱えてうつ向く。
一体この人には何があったんだろう。
心に、どれだけの傷をおっているんだろう……。
言葉の端々に、彼の心の叫びが聞こえる気がした。
「オイ越姉!イチャついてる場合じゃねぇぞ!」
今度は空がやって来た。
何でみんないっぺんに来ないかな。
「馬鹿。そんな訳ないでしょ。」
:08/03/18 19:20
:SO903i
:☆☆☆
#25 [向日葵]
「早くしないと母さんが焼きそばの上に目玉焼き乗っけてやんないって言ってたぞー」
私は空を軽くあしらって先へ行かせた。
先に立ち上がって柴の腕を引っ張って立たせてやると、柴が何かボソリと言った。
別に何言っても構わないからもう少しハキハキ喋って欲しいと思う……。
「何?」
「焼きそば……?」
「ウンそうだけど」
「何それ……」
:08/03/21 00:05
:SO903i
:☆☆☆
#26 [向日葵]
ハイ……?
ま、まさか焼きそば知らない……?
うっそだぁぁ!
と思いながらリビングへ連れて行き、即席で作った柴の席に座らせた。
いい香りを漂わせながら目の前に置かれた焼きそばを、柴はしげしげと眺める。
「いっただっきまーす!」
皆で行儀良く挨拶してから、ご飯を食べ始める。……と思われたが、皆初焼きそば(らしい)柴がそれを食べるかをじっと見つめていた。
:08/03/21 00:08
:SO903i
:☆☆☆
#27 [向日葵]
一方、マイペースを貫いてる柴は、焼きそばをよく観察した後、お箸を取って一口口に入れた。
一瞬止まってから、柴はまた一口、もう一口と、次々に食べだした。
どうやら美味しかったらしい。
それにホッとした私達も同じように食べ始めた。
「そーそー。アンタ細っちぃんだから、しっかり食べなよ。」
お母さんはにひっと笑って、柴の頭をぐりぐり撫でまわした。
別に気にした風もなく、柴は黙々と食べてくれたので、私も落ち着いて食べる事が出来た。
:08/03/21 00:13
:SO903i
:☆☆☆
#28 [向日葵]
*****************
柴は笑いに包まれる中、ぼんやりと昨日までの自分を振り返っていた。
安々と手に入った家族の温もり。
ただその温もりはいつか幻や夢のようにあっという間に消えてはしないだろうか。
早代(サヨ)の時みたいに……。
[出ていけ!お前などもういらない!]
激怒した父親の叫び。
離れたくなんて、なかったのに……。
ずっと、一緒にいたかった……。
******************
お箸が床に落ちる音がした。
その方を向けば、柴が箸を落とした状態のまま固まっていた。
:08/03/21 00:14
:SO903i
:☆☆☆
#29 [向日葵]
そして彼からは滴が流れ落ちていた。
「柴……っ!?」
「しばちゃん?」
苺が不思議そうに柴に問いかける。
このままだと皆に気をつかわせてしまう。
私は静かに柴を引っ張って行き、廊下に出る。
柴は灰色の瞳を潤ませながら細め、その目から涙を流し続ける。
それからは望みを失っているかのようにも感じとれた。
「柴……?」
:08/03/21 00:16
:SO903i
:☆☆☆
#30 [向日葵]
静かに私がつけた彼の名を呼ぶ。
彼は濡れた目で軽く応じた。
「俺は……家を追い出されたんだ……」
私は目を見開く。
握ったままの彼の手を、少し強く握った。
「俺は物心ついた頃から、愛情とか、そんなもの受けた事は無かった……。」
冷たい空洞の中にいるように、空っぽだった。そう柴は呟いた。
彼はポツリポツリと言葉を紡ぐ。
自分の素性をあまり話しはしなかったけれど、とにかく彼は“1人ぼっち”だったのだ。
そんな中、両親は離婚。
しかし彼は悲しいなんて感情は何も感じなかったと言う。
だって自分は、そんな感情を感じるほど何も与えてはもらわなかったから。
:08/03/21 00:17
:SO903i
:☆☆☆
#31 [向日葵]
そして、再婚。
「それが早代だった」
「早代?」
「俺と8つ歳の離れた優しい人。初めて俺に愛情を注いでくれた人……」
すると突然、柴は黙ってしまった。
先を促しては話ずらいだろうから、私は辛抱強く続きを待った。
しばらくして、柴はまた話始めた。
「あろうことか……俺は早代に恋愛感情を持つようになった。母親としてじゃなく、気持ちを、心を、もっとって欲しがるようになった……」
次に喋った時の彼の口調は、とても重かった。
:08/03/21 00:18
:SO903i
:☆☆☆
#32 [向日葵]
「関係を……持ってしまったんだ……」
「関係……?」
イマイチ分からなかった私は聞き返した。
柴は辛そうに細める目を閉じて、か細く言う。
「体……の事……肉体関係って……やつだよ。」
頭をきつく殴られた感覚がした。
だから彼は追い出されたのだ。
「出て行く時、早代が酷い目にあってる声が聞こえた……。俺の……せいで……っ!」
:08/03/21 00:23
:SO903i
:☆☆☆
#33 [向日葵]
柴は私に手を握られたまま床に座りこんだ。
私は今にも壊れてしまいそうな彼を見つめる。
「俺は不幸にしてしまうしかない……っ。愛情を求めても、相手を不幸にするしかないんだ……っ!」
私は、親から捨てられた記憶を持ってる。
私も柴と一緒だった。
私がいるせいで、お母さん達は不幸になった。
だから、私は捨てられてしまったんだと。
でも、この家に来てから、自分が誰かの力になれる事を知った。
:08/03/21 00:28
:SO903i
:☆☆☆
#34 [向日葵]
それを教えてくれたのは、“お母さん”であり、お父さんや桜や空や苺、家族だった。
「柴、大丈夫」
私は柴と視線を合わすようにしゃがんだ。
柴はまだ濡れている目で私を不思議そうに見る。
「私達の家族はね、どんな事でも力を合わせて乗り越えていける家族なの。」
柴のおでこと私のおでこを合わせて、そっと目を瞑る。
「それを受け継ぐのが私の名前、“越”。初めてここへ来た私がそんな子に育つようにつけてくれたのよ」
:08/03/21 00:34
:SO903i
:☆☆☆
#35 [向日葵]
宝物のような私の名前。
だからね、柴……。
「一緒にいたら、きっと何でも越えていけるよ。安心して、いいんだよ……?」
目を開くと、灰色の瞳がすぐそこにあった。
潤んだ瞳は尚美しい。
柴はその魅力的な目を瞑ると、頭を私の肩に預けて静かにまた泣いた。
でもその肩の重みが、私に心を許してくれた証のようでなんだか嬉しかった。
……これが、私と柴の出会いだった。
:08/03/21 00:37
:SO903i
:☆☆☆
#36 [向日葵]
―1日目―
柴って慣れると本当に子犬みたいなの。
気がつけば寄り添ってすぐ側にいるんだよ。
(神田家・長女・越談)
柴と出会って、2週間が経ちました。
徐々にだけど、家のルールとか、皆との接し方とか分かってきたみたいで、柴は毎日楽しそう。
良かった良かったぁ!
「……ん、よし!」
:08/03/21 00:41
:SO903i
:☆☆☆
#37 [向日葵]
現在私は朝食作ってます!
朝と言えば、やっぱり味噌汁っしょ!
今日もいい出来に仕上がったよー。
忙しい両親のお手伝いをする私の日課。
桜と自分のお弁当も私が作ってます!
卵を割ろうと、卵を持った瞬間、頭に重みが……。
間違いない……。
「ちょっと柴っ。眠いならまだ寝てればいいのに」
「なんか起きたんだもん……」
柴はよく、こうして私の頭に自分の頭に乗せて甘えてくる。
:08/03/21 00:45
:SO903i
:☆☆☆
#38 [向日葵]
柴がこうして甘えてくるのにはもう慣れた。
柴が私に心を許してくれた時からすりこみしたヒヨコみたいに柴は私の後を追いかけてくるようになった。
とは言え、別に困ってる訳じゃない。
どちらかと言えば、世話好きの血が騒ぎだして柴の事を1から10まで面倒見れて嬉しいくらい。
苺や空も私をこんな風に追いかけてくる時もあるし。
柴はペット兼弟みたいなものだ。
「今日は何時に帰ってくんの……」
「もー柴。毎日毎日同じ事言わせないで。4時半頃だよ」
「もっと早く帰って来てよー」
:08/03/22 17:54
:SO903i
:☆☆☆
#39 [我輩は匿名である]
「出来るだけね」
食事をテーブルに運ぶ間も柴はちょこんと服の裾を持ってついてくる。
イメージ的に柴の足にピヨピヨサンダルが履いてあってピヨピヨ鳴ってる感じ。
「まぁった柴はお姉ちゃんにくっついてー」
「あ、桜おはよう」
桜は優しくて、いつも早起きして私を手伝ってくれる。
頭を結びながら降りてきた桜は、お箸を並べてくれる。
「だってくっつきたいもん。それとも桜くっついて欲しい?
:08/03/22 17:57
:SO903i
:☆☆☆
#40 [我輩は匿名である]
「やめてくれ」
と言っても柴は私以外にはこうしないじゃない。
苺とか空は逆に柴に「遊べ」とくっついてくるけど。
「じゃあ文句言わないでよ」
「ちょっと、お姉ちゃんはアンタのものじゃないんだからね!あんまりそうやってると空達がお姉ちゃん取られたって拗ねちゃうんだから。少しは離れなさいよ」
すると柴は私の体に腕を回して桜に舌を出した。
「いーやーだー」
桜のこめかみ辺りに青筋が出来るのが見えた。
ついでに2人の間に火花が散る。
朝から何やってんだか……。
:08/03/22 17:58
:SO903i
:☆☆☆
#41 [我輩は匿名である]
―――――――…………
柴の構ってオーラをなんとか振り切って、私は自転車で学校へ向かいながら爽やかな風を体で感じていた。
甘えるのはいいけど学校に遅刻するっつーの……。
学校について、指定された場所に自転車を置き、下駄箱へ向かう。
「越!おっはよー!」
「美嘉。おはよ。早いね今日は」
「失礼なっ。美嘉だってやれば出来るっての!」
友達の島田美嘉(シマダミカ)ちゃんは、明るくて元気な……遅刻常習犯……です。
ハンドボールをやってて、小麦色に焼けた肌と短めの髪の毛が彼女の印象によく合っていた。
:08/03/22 17:59
:SO903i
:☆☆☆
#42 [我輩は匿名である]
「おはよう、ございます」
「椿おはよう。」
大人しい野々垣椿(ノノガキツバキ)ちゃん。
社長令嬢で体が少し弱い。
腰までの長い黒髪はため息をつきたくなる。
「椿今日も体育休むって。アンタ体平気なのー?」
「この頃良くなってきてますから、平気です……」
大きな声で豪快な美嘉と違い、椿の声は耳を近づけないと聞こえないくらいか細い。
そんなアンバランスな2人は実は幼なじみ。
だからとても仲が良い。
:08/03/22 18:00
:SO903i
:☆☆☆
#43 [向日葵]
「何かあったら美嘉に言いなよ!家まで担いで行くから!」
本当にやってのけそうな美嘉が恐い……。
教室に入れば、皆が挨拶をしてくれる。
「神田。おはよう」
「あ、立川君おはよう」
立川憲吾(タツカワケンゴ)君。
学級委員長で、皆から「眼鏡男子!」と唱われるほど美形な男の子。
そして何を隠そう私も学級委員。
「先生から頼まれた事があります。後で一緒にやってもらえますか」
しかも世に珍しい敬語キャラなので美形+眼鏡+敬語とくれば乙女達は歓喜の叫びを上げる。
:08/03/23 02:42
:SO903i
:☆☆☆
#44 [我輩は匿名である]
私は歓喜と言うよりこんなにモテる立川君に感心しちゃうけどなぁ。
「了解!じゃあ後でねっ」
私は席へ向かう。
すると鞄を置いた美嘉と椿がすぐに私の元へてやって来た。
「いやーモテるねー」
「ねー。あれだけ美形だったらそりゃモテちゃうよねー」
美嘉と椿は目を点にする。
2人の反応に私も目が点になって「何?」と聞き返した。
「おモテになるのは越さんの事です……」
え、私……?
モ、モテ……って……。
「何言ってんの。私告白すらされた事ないのに。」
:08/03/23 02:43
:SO903i
:☆☆☆
#45 [我輩は匿名である]
美嘉と椿はため息を吐く。と、美嘉は私の肩に手を置いて考え深く頷く。
「いい……それでこそ越だ」
「いやだから何が」
その後も聞いても、2人も笑顔で交して、何も教えてくれなかった。
そういえば……もし仕事が長引いてしまえば柴が拗ねる。
でも苺がいるからいいかなぁ……。
実は苺の保育園には柴が迎えに行ってるのだ。
その前まで送迎バスだったけど、迎えに来てくれるという事で、苺もすごく喜んでいる。だから誰よりも早く柴になついた。
:08/03/23 02:44
:SO903i
:☆☆☆
#46 [我輩は匿名である]
苺の遊び相手になってれば、時間なんて忘れてしまうだろう。
連絡しようか迷いながら開いていた携帯を閉めて、またポケットへ戻す。
柴が来てから、家がより明るくなったなぁ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局休み時間だけでは間に合わず、放課後に作業が延びてしまった。
今やってる作業は、体育大会の保護者向けパンフレット。
折れ線に従ってただ折るだけ。
こんなの先生か機械かに任せてやって欲しいものだ。
なんでよりにもよって生徒、しかも学級委員がやるかなぁ……。
:08/03/23 02:46
:SO903i
:☆☆☆
#47 [我輩は匿名である]
「終わらないね。そういえば立川君部活大丈夫?」
立川君は剣道部の主将で大会でよく優勝してる強い人なのだ。
そんな人が、ほのぼのと(かどうかは分からないけど)パンフレットを作ってていいんだろうか。
「部活より学校行事の方を優先するよう顧問の先生から言われてますから。大丈夫ですよ」
薄く笑う立川君。
美男子の笑いはやっぱり綺麗だと思う。
こんなのを見て、女の子達は卒倒したり悶えたりするんだろうなぁ……。私にはイマイチ理解出来ないけど……。
と、その時携帯のバイブが鳴った。
:08/03/23 02:47
:SO903i
:☆☆☆
#48 [向日葵]
開いてみたい所だけど、先生が見回りみたいに来たら大変だから放っておく。
「携帯、出なくていいんですか?」
「大丈夫大丈夫。すぐに終わると思うしっ」
そう言いながら、携帯は鳴り続ける。
どうやら電話らしい。
「あの……やっぱり出た方が……」
「……や、大、丈夫、だと……」
と気まずくなる私の心配をよそに、携帯はようやく鳴り終わった。
なんとなくホッとする。
「本当に良かったんですか?」
「いいのいいのっ。さぁ!早く終らせてしまお!」
:08/03/23 02:49
:SO903i
:☆☆☆
#49 [向日葵]
頑張ってやったた甲斐あって、その後20分程やると全て終わった。
「お疲れっしたー!立川君部活行って大丈夫だよ」
「え、でもこれ職員室に……」
「だって立川君、本当は早く部活行きたいんでしょ?ならいいって!」
申し訳なさそうに私にお礼を言うと、鞄を持ってドアの所まで足を運ぶ。
「神田さんは良い人ですね」
「え?そんな事ないよー」
誉められるとやっぱり嬉しい。私はでへへと笑いながら頭をかいた。
「そんな所も、俺は好きですよ」
:08/03/23 02:56
:SO903i
:☆☆☆
#50 [向日葵]
それだけ言って立川君は早々と行ってしまった。
え……好き……?
い、いっやー美男子にそんな事言われちゃったら……照れるなぁー!
立川君!私も君が好きだよ!
ってかクラスみーんな大好きだぁ!
好意をもたれる事は嬉しいのでルンルン気分で職員室にパンフレットを運び、鼻歌なんか歌いながら下駄箱へ向かった。
さぁて、今日の晩御飯何しよっかなー。
「あ、おねーちゃぁん!」
「へ?」
:08/03/23 03:00
:SO903i
:☆☆☆
#51 [向日葵]
前方を見れば、門の所からパタパタと走って来る苺を発見。
そのまま私の足に抱きつく。
「おかえりぃー!」
「ただいまー!……って和んでる場合じゃない……。苺ぉ、どうしてここにいんの?」
苺を抱き上げながら校門を通り過ぎようとした時、横から声がした。
「一緒に来たからだよ」
そこにいたのは不機嫌丸出しの柴だった。
壁に背を預けて腕組みしてる。
:08/03/23 03:03
:SO903i
:☆☆☆
#52 [向日葵]
「柴ぁ!どうしたのこんなとこまで!」
「“どうしたの”……じゃなぁい!今何時だと思ってんの!?」
学校の時計を見ればもう5時だ。
どうやら柴が言いたいのは4時半に帰ると言いながら何故帰ってないのか!……と言う事だ。
「だって仕事があったんだもん。仕方ないでしょー?」
「しばちゃんね、ずーっとおねえちゃんまだかなーっていってたのぉ!」
柴は黙って私が抱き上げてた苺を自分が抱くと、スタスタ足早に帰宅方向へ歩いて行ってしまった。
私も急いで追いかける。
やっぱり連絡しておくんだったなー。
:08/03/23 03:09
:SO903i
:☆☆☆
#53 [向日葵]
「柴、ごめんね。すぐ終わると思って……」
謝ると、柴は足の速度を落とした。
少しホッとして、私は柴の横を歩く。
チラリと柴の顔を見れば、やっぱりまだどこか拗ねていた。
「電話だってしたのに……」
ボソリと文句を言う柴。
「うんごめんね。でもね柴、校則じゃ携帯は禁止されてるから簡単には出せないの。柴も高校時代があったなら分かってくれるよね?」
軽くため息をつきながら、柴は小さく「うん」と言った。
柴は言えば分かってくれる素直さを持っているから嬉しい。
:08/03/23 03:15
:SO903i
:☆☆☆
#54 [向日葵]
たまにワガママの度が過ぎてる時もあるけど……。
それでも不服そうな彼は、眉を寄せて灰色の目を細める。
そういえば……。
「柴の瞳はなんで灰色なの?両親どちらか外国の人?」
少しずり落ちた苺を抱え直しながら柴は「いや」と答えた。
「おばあちゃんがそうなんだ。だからクォーター」
「へーカッコイイねー。どこの国?」
「知らない」
うんそんな予感した……。
:08/03/23 03:20
:SO903i
:☆☆☆
#55 [向日葵]
柴はじっと私を見つめた。
私は笑顔で見つめ返す。
柴はまた軽くため息をつくと、いつの間にか寝てしまった苺を片手で抱いて、空いてる方の手を私の手に絡めた。
大きな柴の手は私の手をあっという間に包んでしまう。
「本当はもっと怒りたいけど……カッコイイって言ってくれたからいいや……」
そう言って柴は微笑む。
柴がそうやって微笑んでくれると私も嬉しい。
柴が私の近くで、過去に囚われず幸せを感じてくれてるのだと思うから……。
:08/03/23 03:24
:SO903i
:☆☆☆
#56 [向日葵]
フワフワした雰囲気で返っていると、後ろから私を呼ぶ声が。
「神田さん!」
振り向くと、自転車に乗った立川君が近づいてくる。
「立川君!どうして……」
「自転車の鍵、落としてたでしょう。だから届けに来ました。自転車ごと……」
そうなのだ。
実は帰る間際、自転車置き場に行こうと鞄のポケットに手を入れたけど、いつもある筈の鍵がなくて軽くパニックを起こしていた。
:08/03/23 03:28
:SO903i
:☆☆☆
#57 [向日葵]
どうしても見つからなかったから、諦めて徒歩で帰ろうと思ったのだ。
帰れない距離でもないし、少し遠いけどなんとかなると思って、自転車は置いてきたのだ。
「ありがとうー……!良かったよー鍵があってー」
すると立川君は手を繋いでいる柴に目線を動かした。
「こちらは……」
「ああ、うちで住んで……」
「越言わなくていいから行こう」
柴は乱暴に私の手を引く。
:08/03/23 23:46
:SO903i
:☆☆☆
#58 [向日葵]
「あ、ちょっと待って柴!」
柴の手を振り払って、立川君が乗って来てくれた私の自転車を受け取る。
籠に鞄を入れて、私はもう1度立川君にお礼を言った。
「本当にありがとう。部活頑張ってね。また明日」
「いえ……また明日」
立川君は私に微笑んでからまた柴をチラリと見て走って行ってしまった。
私もチラリと柴を見ると、せっかく治りかけていた柴の機嫌がまたもとに戻って悪くなっていた。
あちゃー……と内心頭を抱える。
自転車を押しながら、また帰りだす。
「さっきの奴……誰」
:08/03/23 23:47
:SO903i
:☆☆☆
#59 [向日葵]
「同じクラスの子だよ。学級委員一緒にやっててね」
「知らない奴に俺の事ペラペラ喋るのやめてよ。俺は今の家と…………越が知ってくれてたら、それでいい……」
「柴……」
それじゃ柴の世界が狭くなってしまわないだろうか……。
もっと色んな事を知ったり、色んな人に自分を受け入れてもらった方が、きっと柴の幸せに繋がると思うのに……。
でも、柴が自分でそう言うようになってからでいいのかもしれない。
柴にとって、今他人と触れ合うのは少し怖いかもしれないから……。
:08/03/23 23:48
:SO903i
:☆☆☆
#60 [向日葵]
「うん……ごめんね柴……」
柴は視線だけで私を見ると、少しうつむいた。
そしてクスリと笑う。
「なんか、今日越謝ってばっかりだね。」
それは柴のせいじゃん……。
「でも越に謝られるって……なんかグッとくるなー」
柴って……ドS……?
柴の新たなる人格(?)が分かったと思いながら、夕暮れ時の街を歩いて帰った。
家に帰ると、空と桜がもう帰っていた。
「お姉ちゃんお帰りー。遅かったね」
「あ、柴!早く昨日のゲームの続きやろうよ!」
空に引っ張られるので、柴は苺を私に渡して空と2階へ行ってしまった。
:08/03/23 23:49
:SO903i
:☆☆☆
#61 [向日葵]
桜はエプロンしているから、遅くなった私の代わりに晩御飯を作ってくれてたらしい。
私も着替えを済ませると、桜の手伝いをする為エプロンをつける。
「ごめんね遅くなって」
「いいよこれくらい。あたしもたまたま早かったから。今日はカレーとサラダだよ」
カレーに入れる野菜を炒めてる横で、私はサラダにするキュウリを刻む。
「でも今日なんで柴も一緒だったの?」
桜が聞いて来たので、柴が私をわざわざ迎えに来た経緯を話した。
:08/03/23 23:50
:SO903i
:☆☆☆
#62 [向日葵]
話し終えた時、桜はなんとも言えない顔をしていた。
「お姉ちゃん……やるね」
「え?キュウリの輪切り?そりゃ桜よりは慣れて」
「あー違う違う違う……。……てかお姉ちゃん、分からないの?」
「何が」
この時桜が「鈍感だとは思ってたけどここまで鈍感てはっ!」と心の中で衝撃を受けていたなんて私は知らない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「たっだいまぁぁ!」
:08/03/23 23:52
:SO903i
:☆☆☆
#63 [向日葵]
皆でカレーを食べてる時、陽気なお母さんの声がした。
こういう声の時は100%酔ってる……。
でもそこまで酔うって事は、何か嫌な事があったのかもしれない。
そうでなければ7時半と言う酔うには早い時間にここまでベロベロにはならないだろう。
私達が食事をしているリビングに、お母さんを抱き上げているお父さんが顔を出した。
「ごめんね皆。お母さんこのまま寝かしてくるから気にせず食べてて」
「ハーイ」
お父さん達が部屋に行ったと同時に柴が呟いた。
「祐子さんのキャラ濃すぎて一朗さんが薄く見える……」
:08/03/23 23:54
:SO903i
:☆☆☆
#64 [向日葵]
因みに祐子(ユウコ)とはお母さん、一朗(イチロウ)とはお父さんの事である。
元気で男っぽいお母さんとは違い、お父さんは優しくてもの静かな。
2人のなれそめを聞けば、やっぱりと言うか告白したのはお母さんかららしい。
「越姉、明日お粥作った方がいいかもよ。また母さん気分悪いとか言いそうだし。」
空の忠告に、素直に私は頷く。
「おかあさんだいじょうぶー?」
「大丈夫よ苺。母さん強いから」
苺が心配しているのを、桜がなだめる。
やっぱり小さい子って、雰囲気とかを敏感に感じとっちゃうのかなー……。
:08/03/24 00:00
:SO903i
:☆☆☆
#65 [向日葵]
:08/03/24 00:09
:SO903i
:☆☆☆
#66 [向日葵]
「あ、そういえば桜。お姉ちゃん明日から遅くなるかも」
「もーすぐ体育祭だもんね。練習とか?」
「うん。あと応援グッズとかね」
「え、また越遅くなんの?」
途中で柴が割り込んできた。
眉を寄せて納得いかないような顔をしている。
「ご、ごめんね柴……」
「柴ワガママ言うなよな!越姉だってやらなきゃいけないことあんだからさ」
:08/03/26 00:34
:SO903i
:☆☆☆
#67 [向日葵]
22歳が10歳に怒られるってどうなの……。
柴はムーッとしながらも小さい声で「分かってる」と言った。
全然分かってなさそうだけど……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宿題をしている時、私の部屋を誰かがノックした。
音楽を聞きながらやっていたので、イヤホンを耳から外してドアを開ける。
そこにいたのは苺だった。
「おねーちゃぁん……」
「どうしたの苺。寝たんじゃなかったの?」
:08/03/26 00:38
:SO903i
:☆☆☆
#68 [向日葵]
いつも一緒に寝ているパンダのぬいぐるみを小さな手で抱えて、目をこする苺は少し泣きそうだった。
どうやらぐずってるみたい。
抱き上げて、背中をトントン優しく叩いてやる。
「こわいゆめ見そうなの……。きょうおねちゃんとねていい?」
「お姉ちゃん宿題あるから電気つけてるよ?苺電気ついてたら寝れないでしょう?」
それでも苺は一緒に寝たいのか、私の腕の中で「んー……」と体を少しよじりながら唸る。
:08/03/26 00:42
:SO903i
:☆☆☆
#69 [向日葵]
困ったなー……どうしよ。
桜と空はもう寝てるし……。
「何してんの」
お風呂あがりの柴が、タオルを頭に被せたままやって来た。
最終的に私に拭いてもらう予定だったのか、髪の毛からはいくつか雫がポタポタと落ちていた。
柴は私と苺を交互に見てから苺に手を伸ばした。
そして私がやったようにあやす。
「苺ー。大丈夫。怖い夢は見ないよ。」
:08/03/26 00:47
:SO903i
:☆☆☆
#70 [向日葵]
「ほんと?しばちゃん」
「俺が寝るまで一緒にいてあげたら絶対ね」
苺は柴の腕の中でしばらく考えると、私の方を見て「おやすみなさい」と言った。
それから柴と一緒に部屋へ行った。
私はそのままドア近くでぼんやりと壁にもたれながらいた。
苺がぐずるのは今日みたいにお母さんが酔っ払って帰って来た日のみ。
お母さんの身にまとってる雰囲気が違っているのに小さいながら戸惑っているみたい。
:08/03/26 00:51
:SO903i
:☆☆☆
#71 [向日葵]
さっきも言ったけれどお母さんが酔っ払うのには理由があった。
1つは仕事。
上司が気持ち悪いくせに偉そうだとか、お客さんが理不尽な事注文してくるとか。
2つめは……家族の事。
やっぱり、私達のような家族は陰口をされる事が少なくない。
血が繋がってないのがそんなに駄目なのかな……。
「越?」
ハッとして目線を上げれば、目の前に柴がいつの間にかいた。
「あ……苺ありがとう。」
「ぼんやりして……どうしたの?」
:08/03/26 00:57
:SO903i
:☆☆☆
#72 [向日葵]
心配そうな灰色の瞳に見つめられて、不思議とホッとした。
「なぁんでも。ありがとう柴」
「そう?」
ホッとしても、胸の中のモヤモヤは簡単には取れない。だから宿題する気にはなれない私は、柴と喋る事にした。
「苺すぐ寝たんだね。」
「部屋のドア開ける頃にはもううとうとしてたから。」
「そっか……。でも今日はおまじない効かなかったなー……」
:08/03/26 01:00
:SO903i
:☆☆☆
#73 [向日葵]
“おまじない”が何か知らない柴は首を傾げる。
私はフッと笑って“おまじない”が何かを教えてあげた。
「さっきみたいに眠れない時はね、力一杯ギューッて抱き締めてあげるの。そしたら安心して寝れるっておまじない」
「ふーん……」
柴はまだボタボタの頭のまま部屋に入り、私のベッドに座ると自分で頭を拭きだした。
居座る気なのか、その内出て行くのか分からないので、私はとりあえずドアを閉めた。
:08/03/27 00:31
:SO903i
:☆☆☆
#74 [向日葵]
頭を切り換えて、また宿題を再開しようと机に向かう途中に柴が喋り出した。
「越は?」
「え?」
「おまじない。しなくていいの?」
タオルと濡れた髪の毛の隙間から、灰色の瞳が覗く。
私はそれを見つめ返した。
驚いた。
そんな事を言われたのは初めてで、今まで私はおまじないを実行する立場であって、してもらう事はなかったから……。
:08/03/27 00:36
:SO903i
:☆☆☆
#75 [向日葵]
その不思議な目が、私の中の何かを見透かしている気がして、不自然に心臓が動いた。
「何で、そう思ったの?」
「……何か、辛そうな感じがしたから」
柴はどちらかと言えば子供みたいで、心はとても純粋だと思う。
だから苺みたいに、私の雰囲気の違いに鋭く気付いたのかもしれない。
沈黙が流れた。
私は何も答えられないまま、何かを導き出そうとしている柴の目を見つめた。
:08/03/27 00:40
:SO903i
:☆☆☆
#76 [向日葵]
「大丈夫っ。私がしっかりさなきゃ、皆暗くなっちゃうし!私は元気だよ柴!」
言い終えると同時に、柴が私の手を引いた。
そして立ち上がる。
拭ききれてないのか、柴の髪の毛から滴る水滴が顔にかかって片目を瞑った。
その水滴を、柴の指先が拭う。
「おまじない、しなよ」
「柴人の話聞いてた?」
「うん。越は甘えたいんだなって思ったんだけど?」
呆然として、瞬きを繰り返す。
:08/03/27 00:45
:SO903i
:☆☆☆
#77 [向日葵]
どうして本質的なものを簡単にとらえてくれるのだろう。
でも……甘えるだなんて、あまりした事がない私はわからなかった。
「い、いいよ柴!私は大丈夫って言ってるじゃない!」
「じゃあさせて」
「へ?」
許可を出す前に柴の腕が私を包んだ。
まだ熱りが収まってないその体は暖かくて、心地よかった。
柴は分かってくれたんだ。
私が自分から頼む事が出来ない事。
だから柴自ら、いつもみたいに抱きついてくれたんだ。
:08/03/27 00:49
:SO903i
:☆☆☆
#78 [向日葵]
「越。俺ならいいよ」
「何が?」
「甘えるの。いつも越は俺に甘えさせてくれてるでしょ」
柴って不思議だなー……。
無邪気で純粋で甘えん坊で……。なのにスルスル気持ちを引き出してしまう。
多くは語らないのに、ちゃんと何が言いたいか、何をして欲しいかを分かってくれる。
その安らかにさせてくれる柴の温もりが、私の心の中に残っていたモヤモヤを取り除いてくれる。
:08/03/27 00:54
:SO903i
:☆☆☆
#79 [向日葵]
しばらくすると、柴は腕をほどいて「おやすみ」と出て行った。
私の体は、柴の体温でまだ温かい。
柴が出て行ったドアを見つめながら私は微笑む。
子犬のように、癒しをくれる柴。
その不思議な力に魅了されていくなんて、この頃の私はまだ知らなかった……。
:08/03/27 00:56
:SO903i
:☆☆☆
#80 [向日葵]
―2日目―
柴のワガママってどうにかならないのかなー。いい加減にしないとお姉ちゃん怒ると思うんだよね。気をつけた方がいいよー。お姉ちゃん怒るとこっわいんだからーっ!
(神田家・次女・桜談)
「しぃぃばぁぁっ!!」
桜が叫んだので、びっくりしてせっかく作った唐揚げを落としてしまいそうになった。
珍しく早く家に帰れた私は、普段通り晩御飯の用意をしていた。
:08/03/27 01:01
:SO903i
:☆☆☆
#81 [向日葵]
何事かと台所から顔を出せば、目をつり上げた桜と、そんな桜に動じずにソファーでゆったりと寝転んでる柴。
桜の手には、何やら袋が持たれていた。
「ここに置いてたクッキー、勝手に食べたでしょ!」
「うん。それが何?」
「調理実習で作って皆で食べたかったのに!アンタだけ食べちゃダメじゃんかぁっ!!」
あちゃー……。それはダメだよ柴。
晩御飯の用意している手を一旦止めて、仲介役で私は2人の間に入る。
:08/03/27 01:06
:SO903i
:☆☆☆
#82 [向日葵]
「まぁまぁ桜、クッキーならまた一緒に作ろう。柴も、人の物勝手に食べたりしちゃダメでしょ?」
「だってお腹減ってたんだもん」
「だからって了承もせずに食べるな!」
桜と柴は少し相性が悪いのか、よくケンカしている。
桜は気が強いからケンカしだしたら止まらない。
私はいつも2人のやりとりをハラハラしながら見ている。
柴の態度が態度だから桜の怒りが更にアップ。
正に火に油。
ケンカする程なんとやらだけど……。
これはどちらかと言うと犬猿の中だね。
桜には悪いけど桜は猿だな……。
:08/03/27 01:11
:SO903i
:☆☆☆
#83 [向日葵]
「お姉ちゃん!もっと柴叱ってよ!柴は勝手すぎるしワガママすぎる!!そしてお姉ちゃんは柴に甘すぎる!!」
痛い事言うなー桜ちゃん……。
柴を甘やかし過ぎたと思った事は無いけど……。
とりあえず注意はしなきゃね。
私は柴の前まで来ると、彼を座らせて目線を合わせた。
「いい?柴。人の物は許可なく好きにしてはダメなの。柴だって大事な何かを誰かに勝手に触られたりしたら嫌でしょ?」
「俺の大事な物はいつも触られっぱなしだけどね。許可なく。」
:08/03/27 01:16
:SO903i
:☆☆☆
#84 [向日葵]
「柴の大事な物はなに?」
聞けば柴は指差した。
指差した方向は私。
思わず笑ってしまった。
「アハハハ!柴、それは嬉しいけど私は人だよ。私が言ってるのはもーの!」
すると柴は不機嫌な顔をして口を尖らせてまた寝転んでしまった。
ソファーの後ろでは桜がそっぽを向きながら口を手でおさえてプルプルしていた。
「え?え?柴?桜、どうして笑ってるの?」
「柴、これが天罰よ。これに懲りたらもうしないでよね」
:08/03/27 01:21
:SO903i
:☆☆☆
#85 [向日葵]
「そんなの俺の自由だし」
「アンタねー!!」
柴の機嫌も、何故か悪くなってしまったので、桜と柴のケンカは暫くおさまりそうにはなかった……。
――――――……
「そー……しんっとぉ!」
前の事もあって、遅くなる日には柴にメールを入れる事にした。
学校は体育祭の準備で慌ただしく、特に私の役職である学級委員は大変だった。
:08/03/27 23:57
:SO903i
:☆☆☆
#86 [向日葵]
実行委員と打ち合わせたり、足りなくなったペンキとか、その他諸々の調達をしなくちゃならなくて、学級の中を駆けずり回っていた。
柴は私との時間が減った!とか言うし、桜は柴がまた何かやらかしたと怒るし……。
学級と家で私は手が一杯になっていた。
「神田さん。大丈夫ですか?」
「あ、立川君。大丈夫だよ。平気平気!」
「何かあれば、頼って下さいね」
それだけ言うと、立川君を呼んだクラスメイトの所へと行ってしまった。
:08/03/28 00:01
:SO903i
:☆☆☆
#87 [向日葵]
やっさしいなー立川君……。私はその一言でまた頑張れるよ!ありがとうー!!
「気を付けなよー」
「わ!美嘉!」
いきなりニュッと現れた美嘉に驚いて、私は文字どおり飛び上がってしまった。
その後ろに控えめに椿がいる。
「気を付けるって……何を?」
「どんっっかんな越でも分かってる通り」
そんな力込めて言わなくても……。
ってか私鈍感なの?
:08/03/28 00:05
:SO903i
:☆☆☆
#88 [向日葵]
「立川って人気じゃん?だから越は仲良いし、目つけられるかもよっつってんの」
「あーそっか。なるべく気を付けるよ。でも学級委員だから喋ったりするのは仕方ないんだけどなー」
「中には、情熱的な方もいらっしゃいますから……気にくわない方も多くいるんですよ……」
うーん。
私って立川君を好きな子からしたら邪魔なのかー。
それは申し訳ないなー。
「越ちゃーん!赤のカラーテープ無くなっちゃったー!」
:08/03/28 00:08
:SO903i
:☆☆☆
#89 [向日葵]
クラスメイトの要望を聞いて、美嘉達に「後でね」と言うと、私は教室を出た。
「えーと……」
カラーテープの青と赤、ペンキの緑、ゴミ袋、それからー……。
色々考えながら歩いてると、女の子に肩がぶつかった。
「あ、っと。ごめんなさい!」
謝ったと言うのに、少し化粧をしたギャルっぽい女の子は私をギッと睨んできた。
念のため、頭を少し下げてから私はその場を去ろうとした。
「拾いもんばっかの家族のくせに……でしゃばんじゃねーよ」
:08/03/28 00:14
:SO903i
:☆☆☆
#90 [向日葵]
確かに、そう聞こえた。
大した音量で言った訳じゃなかったけど、聞こえた。
止まってしまいそうな足を動かして、なんとか歩き出す。
あれは……多分立川君を好きな子なんだろうなぁ……。
歩きながら深呼吸して、なんとか気分を変える。
大丈夫。
そんなの言われ慣れてる。
いくらでも言えば良い。
馬鹿にされても、自分は柴も含めてあの家族に誇りを持ってるんだから。
:08/03/28 00:16
:SO903i
:☆☆☆
#91 [向日葵]
思い直して、私は胸を張って歩く。
恥ずかしい事なんて、何もないんだから。
――――――…………
皆がパラパラと帰りだしてきた。
時刻は5時。さっきまで騒がしかった周りが、少しずつ静かになり始める。
教室で自分の分のポンポンを美嘉、椿と一緒に作っている。
私達のクラスはB組なので、体育祭のクラス色はオレンジ。
と言う事でオレンジのポンポンだ。
:08/03/28 00:21
:SO903i
:☆☆☆
#92 [向日葵]
「しっかし、体育祭って腕鳴るよねー!リレーめちゃくちゃ楽しみ!」
「美嘉はアンカーだよね」
美嘉は見た目通りスポーツ万能なので、各種目に引っ張りダコだった。
各種目のリーダーがじゃんけんした結果、100mリレーに出る事になった。
「美嘉ちゃんはいつも早かったですよね……。中学の頃は3人も抜きましたしね……」
「あれは爽快だったなぁぁ!後で他のクラスの連中が嘆いてたしね!」
美嘉は豪快にアッハッハッハと笑う。
:08/03/28 00:26
:SO903i
:☆☆☆
#93 [向日葵]
そんな中、私はぼんやりとしていた。
「……」
―拾いもん―
「ハァ……」
ひどいなぁ……別にそこまで言わなくていいじゃない。
思い直しても、やっぱり大きな塊が私の胸につっかえてるみたいで、さっきから息を何度も吐いてるけれど、すっきりする事は無かった。
私だって、皆が快適に作業出来るように動いてるだし、別に媚てるとかそんなの無いのになぁー……。
:08/03/28 00:31
:SO903i
:☆☆☆
#94 [向日葵]
「……つ。越っ」
「え……。あ、ゴメン、何?」
「作業5時半まででしょ?そろそろ帰らない?」
「あ、そだね。よしっ、かいさーん!」
辺りに散らばるゴミを拾って捨ててから変える支度。
誰もいないのを確認してから、教室を出た。
私は自転車があるので、椿のベンツで帰る美嘉と椿にバイバイと言った。
しかし……。
私はチラリと校門を見る。
:08/03/28 00:37
:SO903i
:☆☆☆
#95 [向日葵]
黒いベンツ。
さすが椿。お嬢様なだけあるなー……。
椿が近づいていけばSPみたいな人が出て来てガチャリとドアを開けているのが見えた。
あれかな……やっぱりああいう時って、「おかえりなさいお嬢様」とか言っちゃうのかな……。
うわー生執事言葉聞いてみたいなー!
とかくだらない事を考えながら自転車の鍵をガチャリと入れる。
早く帰って桜の手伝いしてやらないと、桜も大変だな。
:08/03/28 00:41
:SO903i
:☆☆☆
#96 [向日葵]
風を感じながら、自転車をこぐ。
秋に入る前とは言え、やっぱりまだ暑い。
涼しいなぁーとのんびりした気分で校門を出た時だった。
「越!」
「え?」
ブレーキをかけるのが遅くて、数m離れた所でキキーッと停止。
後ろを振り向けば
「柴ぁっ!」
柴はにこぉと笑うと、私の所へテクテクとやって来た。
:08/03/28 00:45
:SO903i
:☆☆☆
#97 [向日葵]
:08/03/28 01:04
:SO903i
:☆☆☆
#98 [向日葵]
柴が目の前で止まると同時に、私は自転車を降りた。
カサと音が聞こえたので下を見ると、柴の手にスーパーの袋が持たれていて、入りきらないネギがニョキリと出ていた。
「桜にパシられた」
おそらく昨日の仕返しだろう。
不服な顔をしながら私の前に袋を出す。
そんな柴が少し笑えた。
「で、帰りに越がいるかなって」
それで私が帰ってたらどうするつもりだったんだろう……。
:08/03/30 00:35
:SO903i
:☆☆☆
#99 [向日葵]
それでも待っていてくれた事が嬉しかった。
陰口なんて気にしていたらダメだ。
だって皆、私の家族は暖かい……。
柴と夕焼けでオレンジに染まる街を歩いた。
そんな街を見ているだけでも、胸に残って重たかった気持ちが薄れていった気がした。
――――――…………
そして次の日。
相変わらずザワザワと騒がしい学校。
ドタバタ走り回るっている人ばかりなので曲がり角の所でよく人が衝突事故を起こしそうになっていた。
:08/03/30 00:39
:SO903i
:☆☆☆
#100 [向日葵]
私は相変わらずポンポン作ったり、無くなった道具を補充したり……。
そして今も、ハサミが足りないと言う事で美術室へ物色しに来てたり……。
美術室は別棟なので、静かだった。
でもそのせいで石膏の人物像が不気味に感じる。
すばやく道具置きの場所からハサミを何個か持って早足でクラスへ戻る。
体育祭はあと何日だっけなー……。
自分の指を折りながら数えていると、トンと誰かにぶつかってしまった。
:08/03/30 00:50
:SO903i
:☆☆☆
#101 [向日葵]
「あ、ごめんな……」
と途中で止まってしまった。
何故ならぶつかった相手がまたもや昨日の陰口を言った女の子だったからだ。
女の子は眉間にしわを寄せて上から下までジロジロと見てくる。
大丈夫。
今日は立川君とそんなに喋ってないし、因縁つけられる事もないと……思いたい。
変な汗が額に滲んできたところで、女の子が喋った。
「アンタさ、前も向いて歩けないの?」
「えと……ゴメンネ、ちょっと考え事してて」
:08/03/30 01:55
:SO903i
:☆☆☆
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