*柴日記*
最新 最初 🆕
#105 [向日葵]
女の子は目をつり上げて顔を赤くしていた。
その様子から見れば、私はその子にひっぱたかれたみたいだ。

さっきまで私達に気が付かなかった生徒が、それを合図に一気に私達に注目する。

「ゴミの分際で、いっちょまえな事言ってんじゃねぇよ」

ゴミ……。

「――……ですって……?」

叩かれた頬をさすりながら、女の子に聞き返す。

周りのざわめきが聞こえないのは、皆がヒヤヒヤして私達を見ているからだ。

⏰:08/03/30 02:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#106 [向日葵]
「ムカついたからって、言って良い事と悪い事があるでしょ?それに、手を上げたら負けって小さい頃言わなかった?」

「うるさいっ!」

更に頭に血を上らせた女の子は私に掴みかかってきた。
急な事態に動き遅れた私は、胸ぐらを掴まれて壁に押し付けられた。
背中を強打して、心の中で「いったー!!」と叫ぶ。

周りが止めに入っても、彼女は私から手を離さなかった。

「上から物言うな!アンタなんかあたしらより格が下って分かんねぇのかよっ!」

⏰:08/03/30 02:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#107 [向日葵]
これじゃもう因縁と言うか八つ当たりと言うか、そんなもの関係ないからとりあえずコイツ絞めとこうみたいな感じだなー。

と冷静に考える反面、頭の肝心な糸が切れなくて良かったと思った。

そんな事を考えてる間にも、髪の毛を掴まれたり胸を叩かれたりやられっぱなしだった。

防御はしても攻撃はしなかった。
それで気が済むならいいかと思ったし。

でもそうはいかなかった。

「コラ!何やってんだっ!」

⏰:08/03/30 02:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#108 [向日葵]
先生が来てしまった……。

あ、ヤバイな……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

応接間みたいな所に私と女の子は案内された。

柔らかい黒革のソファーに座ると同時に、女の子は泣き始めた。

私は別に悪い事はしてないと、叩かれたり引っかかれたりした所をさする。

しばらくしてから、先生に連れられて、女の子のお母さんと、うちのお母さんがやって来た。

「ちょっと、どういう事ですか!?」

⏰:08/03/30 02:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#109 [向日葵]
女の子の派手なイメージとは全く逆の、教育ママみたいな眼鏡をしたお母さんは先生に詰め寄る。

一方うちのお母さんは私に駆け寄り、至る所にある私の体の傷を見て心配そうにハンカチを当てた。

どうやら血が出てた所があったみたい。

そしてもう1つ影が。

「なんで柴がいるの」

「越の話したら『俺も』って言うから……」

柴は大人しく私の後ろにぴったりとつく。

ようやく事情説明を聞き終えた教育ママさん風のおばさんはこちらに向き直りながら眼鏡をクイッと上げた。

⏰:08/03/30 02:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#110 [向日葵]
「失礼ですけど神田さん。貴方のご家族は皆様施設の子ですの?」

お母さんが答えた。

「それが何か?」

「まぁ……なら問題を起こして当たり前ですわね。よその子なんてもらうから手がつけられなくて野蛮な子になってしまうんですよ」

お母さんの応答する声が、1オクターブ低くなる。

「野蛮ですって?」

私も目を険しくさせた。
おばさんはそんな私達に有利に立ったつもりなのか、軽く胸を反らして見下すように私達を見る。

⏰:08/03/30 02:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#111 [向日葵]
「ええ。うちの玲奈ちゃんにこんな事させるなんて……最低じゃございません……?」

謝る気なんて一切ない。

自分の子供を贔屓に見すぎている。
明らかに被害を被ったのはこちらだし、ケンカを仕掛けたのはあちらだ。

私より遥かに堪忍袋の緒が短いお母さんは、ソファーを握りしめて怒鳴りそうになるのを堪えてた。

おばさんはそんな様子を知ってか知らずか、私達から視線を外し、私の後ろを見る。

「そちらも、お拾いになられたんですか?」

⏰:08/03/30 02:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#112 [向日葵]
柴の事だ。

「この子は、居候ですが……」

さっきより更に1オクターブ低い声でお母さんが答えた。

「あーやだやだ。そんなに集めてどうするおつもり?お子さんが今回のような事を毎回やられては困るんですよ?そんなのを増やし、外にやってもいいんでしょうか。……気に入りませんわ、わたくし。」

それ以上言わないで……。

「せいぜい監獄行きにならない事を祈りますわ。さぁ玲奈ちゃん、今日は帰りましょう」

⏰:08/03/30 02:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#113 [向日葵]
頭の中で、ブチンと勢いよく何かが弾ける音が聞こえた。

何の音だか分からないまま、私はゆらりと立ち上がる。

「待ちなさいよおばさん……。」

ドアに手をかけようとするおばさんがピクリと動き、また眼鏡を上げながらこちらを見る。

「おばさん?」

「貴方しかいないでしょ?……ねぇ、気に入らない事があったら何言ってもいいの?」

拾いもん、ゴミ、監獄行き……。
色々聞いてきたけどもう我慢ならない!!

⏰:08/03/30 02:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#114 [向日葵]
「拾いもんとかゴミとか人を人とも思ってない人がえっらそうな事を言うなっ!!アンタ達何様よ!?神様!?なら神々しく輝いてみなさいよ!大体ねぇ、お母さんは私達を大事に大事に育ててくれてる!少なくとも人の事を嘲るような目で見るようには育てない!」

それに……。

「柴の事、見ただけなのに何もかも分かったみたいに私の家族を悪く言うな!!こんの馬鹿親子っっ!!」

部屋に、私の声が反響する。
ワーンと耳の中で自分の声が響く。

先生も、女の子もおばさんも、お母さんも柴も、口をぽっかり開けたまま私を見つめていた。

⏰:08/03/30 03:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194