*柴日記*
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#192 [向日葵]
「そうですか……すいません突然……」

それだけ言って、付き添いであろうもう1人の女の子と共に去って行ってしまった。

「しばちゃぁん、ヒトメボレってなぁーにー?」

襟元をグイグイ引っ張りながらしつこく聞いてくる苺に「ハイハイ」と答えてから、柴は苺に分かりやすく説明しながら歩いて行った。

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「うわぁぁ……っ!」

体育祭の歓声や、応援合戦の騒ぎの中、違う音を聞いた私はふとそちらに振り向いた。

⏰:08/04/08 01:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#193 [向日葵]
そこには顔を両手で覆った女の子と、なだめているような女の子がいた。
どうやら片方の人は泣いてるみたいだ。

どうかしたのかな……。

「あ、男子スウェーデンだよ!」

美嘉の声に、その子達からは視線を外し、グラウンドに向ける。

男子が入場して来た途端、女の子達の黄色い声が。
何故なら立川君がいるからだ。
今だけクラス別なんて忘れてるみたい。

「立川くーん!」

「頑張ってー!!」

⏰:08/04/08 01:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#194 [向日葵]
「すごい人気ですね……」

椿が呟く。

確かに。
上級生から下級生、そして同級生。
これだけ女の子から人気があるにも関わらず、男子からも慕われている。

神だね。
立川君はきっと神だよ。

「いや菩薩様……?」

「ボサツ?」

私の呟きを聞いた美嘉が片眉を寄せて聞き返す。

「や、何でも」

⏰:08/04/08 01:20 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#195 [向日葵]
スウェーデンは惜しくも2位だった。
それでも立川君がいるので特に文句を言う人もいなく、爽やかに労いの言葉を皆かけていた。

「神田さん」

立川君に呼ばれたので、目で応じると、手招きしてちょっと離れた所まで連れていかれた。

なんだろうと立川君を見つめると、立川君は私の足を見つめてから口を開いた。

「次、学年種目、止めておいた方がよくないですか?」

どうやら午前中に負った怪我を心配してくれてるみたいだ。

⏰:08/04/08 01:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#196 [向日葵]
多分ここへ連れて来たのも、私が皆の目を気にしているから気を遣ってくれたのだろう。

「大丈夫!もう痛くないから!」

にこっと笑って、「ホラ!」と怪我した方の足を思いきり地面を踏むようにすれば、さすがにやり過ぎたか、痛みを忘れていた傷が復活してじわぁーと頭まで伝わってきた。

笑っていた顔が少し引きつる。

そんな私を、不安そうにして無言で立川君は見つめる。

それに答えるように何度も足を踏みならす。

⏰:08/04/08 01:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#197 [向日葵]
あ……なんか今明らかに傷が開いた音したぞ……。

「た、立川君心配症だよ。ホント大丈夫だから!」

それ以上見られたりすれば、痛いのがバレてしまいそうなので、逃げるように立川君の元から駆け出した。

頑張らなきゃいけないのに弱音吐いてる場合じゃないと自分に言いきかせ、奮いたたせる。

「……そんな神田さんだから、僕は心配症にもなっちゃうんですよ」

そう言った立川君の呟きは、痛みをかき消そうとしている私の耳に届く事は無かった。

⏰:08/04/11 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#198 [向日葵]
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と言う訳で、2年生学年種目綱引きトーナメントが始まった。

本当は予選をやってからなんだけど、昨日の予行でそれは済んでしまったのでいきなりトーナメントから入ったのだ。

とは言うものの、私達のチームは負けているので今からは3位決定戦。
これに負けたらB組の得点は無しになる。

だから皆は「せめて3位を!」と闘志を燃やしていた。

皆盛り上がっている時、私は落ち着かなかった。
足が気になって仕方なかったからだ。

⏰:08/04/11 00:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#199 [向日葵]
あんなに激しく踏み鳴らさなかったら良かったと今更ながら後悔していた。

足をモジモジさせていながら周りに視線をやると、立川君がこっちを見ている事に気づきギクリとした。

内心鳴りもしない口笛を吹いてる気分で、足がどうもない事を装い美嘉に話しかけた。

「もう少しで体育祭終わっちゃうね」

「寂しいよー……美嘉の祭がぁぁ……」

せっかく綱引き頑張ろうと盛り上がっていた美嘉を落ちこませてしまった私はオロオロした。

⏰:08/04/11 00:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#200 [向日葵]
「ら、来年もあるし、今は今で楽しもうよ!ね?」

「違う……違うの越!!それだけじゃない!体育祭終わったらまた勉強の日々!あの校舎全体が活気に満ちてる雰囲気が無くなるのが嫌なの!」

美嘉の熱弁に若干引きながらも、その気持ちはよく分かった。

走り回ったり、旗を作ったり、どうやって応援するか考えたり……。
そんな楽しみが無くなれば、学校は元の静けさを取り戻していく。

それが手に取るように分かるから、体育祭が終わるだけが寂しいんじゃないと美嘉は言うのだ。

⏰:08/04/11 00:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#201 [向日葵]
そんな美嘉に、私はなんだか元気を貰った。

足を気にしてる場合じゃない。
良い思い出を作る為には多少のアクシデントだってつきものだ。

傷が開こうが、そこからばい菌が入ろうが、そんなの知ったこっちゃないのだ。

「ぃよし!皆円陣組もう!」

私が呼び掛けると、皆集まって来てくれた。

1つの大きな輪が出来る。
「学年種目、これが最後なので、悔いの残らないように力発揮しましょー!」

⏰:08/04/11 00:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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