*柴日記*
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#253 [向日葵]
柴は、私にとてもなついてくれてたから、勘違いしていたんだ。

好奇心……。
あながち外れてないかも。
柴の事、私だけが全部知っておきたかった。
家族の誰よりも理解してあげたかった。
柴を誰よりも……独占しておきたかったんだ……。

どっちが子供……。

まるっきり子供なのは、他の人の心の傷を無理矢理開こうとし……私だったんだ……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ、お姉ちゃんお帰り」

⏰:08/04/22 00:20 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#254 [向日葵]
帰れば、桜が私と柴を迎えてくれた。
さっきの事は頭から無くそうとして、桜に微笑む。

「ただいま。晩御飯今から作るね」

「あ、それがね、お母さんが久々にピザでも買っちゃいなってなんと……ジャジャーン!」

桜はピッと1万円札を2枚出してきた。

「今日は贅沢な日〜」

ルンルンな桜にもう1度笑いかけて、「着替えてくる」と言ってから柴を肩越しに見る。
普段の柴に、戻っているようだった。

⏰:08/04/22 00:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#255 [向日葵]
だから私も、普段の私に戻らないと……。

「迎えに来てくれてありがとう柴。濡れたとこ、ちゃんと拭くんだよ」

それだけ言って、階段を上がり、部屋に入った。

入ってドアにもたれながら、ズルズルと座りこむ。
スニーカー越しに染み込んできた雨が足を冷やし、私を余計悲しい気分にさせた。

まだ……胸が痛い……。

[本当の家族じゃない人間には何を聞いてもいいって思ってる?]

柴……。

⏰:08/04/22 00:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#256 [向日葵]
涙が流れた。
あとからあとから、とめどなく……。
何粒も頬を流れ、顎をつたい、ブラウスやスカートに染み込んでいく。

ごめん……。

「ごめん柴……っ」

もう聞かない。
何も知ろうとなんてしない。
だから……。
嫌いにならないで……。

*******************

越が階段を上がっていくのを柴と桜は見守っていた。
部屋のドアが閉まると共に桜は大きなため息を吐いて柴を見る。

⏰:08/04/22 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#257 [向日葵]
「お姉ちゃんずっとあんな調子?」

柴は答えに詰まる。
多分と言うか絶対、原因は自分なのだから。

歩いている間、越との会話はほとんどなかった。

時々越が「雨の匂い好きなんだ」とか「水たまりって遊びたくなるよね」と呟くように言ってた。

本人は楽しそうな声を出したつもりだろうけど、聞いてるこちらには無理してるのが分かるくらい落ち込んだ声だった。

そして帰ってくるまで、必死に傘で顔を隠して、柴には見せないようにしていた。

⏰:08/04/22 00:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#258 [向日葵]
柴は自分が越につらくあたってしまった事を後悔した。

越にあんな顔をさせるつもりなんてなかったのだ。
ただ、どうしても昔の自分、とりまく環境の事を思い出せば、胸の中に苦い物が込み上げてくる感覚が襲ってきて、とても苦しかったのだ。

正直に言えば、また越は自分を受け入れてくれるとどこかで期待した部分もあった。
八つ当たりでさえ、優しく包み込んでくれるんではないかと。

でも柴は言ってしまったのだ。

⏰:08/04/26 02:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#259 [向日葵]
[家族じゃない人間には]

と。

一番言ってはいけない、卑怯な言葉を使ってしまったのだ。
本当の家族じゃない越達に絶対言ってはいけない事だったのに、頭にきていた芝は、残酷にも彼女にそう言ってしまったのだった。

そして後で激しい後悔の念に襲われる。

無理矢理笑う彼女は、なんて痛々しかっただろうか……。

「越と、少し言い合いしてしまったんだ」

桜の問いに、柴は淡々とそう答える。

⏰:08/04/26 02:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#260 [向日葵]
「言い合い?そんなのいつもの事なのに。……柴、アンタ何かお姉ちゃんの傷つく事言ったんじゃ……」

桜は何でも鋭いから困るといつも柴は思う。

桜のそんな推測に、柴はうつ向いた。

きっと今頃、部屋で落ち込んでる。
でも今行けば、自分がする事なす事どれもダメなような気がして、結局いつも越が自分でなんとか立ち直った時でしかちゃんと振る舞えない。

そんな自分を柴は嘲笑し、リビングにあるソファーに深く身を沈めるのであった。

⏰:08/04/26 02:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#261 [向日葵]
*****************

ノックの音がした私は、目を開けた。

ベッドに寝転んでいたら、泣き疲れて寝てしまっていたらしい。

ゆっくりと体を起こす。
そして「はい」と言った。

入って来たのは苺だった。

ドアからひょっこり顔を出して、私の所までやって来る。

「どうしたの苺」

「さくらおねえちゃんがみんなでたべたいピザきめよーって」

⏰:08/04/26 02:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#262 [向日葵]
そういえば今日ピザなんだっけ……。

まだ起ききっていない頭でぼんやり考える。

するて苺がベッドに上がってきて、私にギュッと抱きついた。

私はどうしたのかと思いつつ、苺を膝に乗せた。

「なぁに苺」

「えつおねえちゃんげんきないからおまじない。だからぎゅーっ」

私はハッとした。
こんな小さな苺でさえ、私の異変に気づいてしまっている。

⏰:08/04/26 02:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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