*柴日記*
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#330 [向日葵]
「本当ですか……?」
身を乗り出すようにして、心配そうな顔で立川君が訊いてきた。
私はにこりと笑って1つ頷く。
「でも……無理はなさらないで下さいね……」
「ウン。ありがとう椿」
「そうそう週末課題出てるよ」
と美嘉が出すので苦い顔でプリントを受け取った。
最悪な事に苦手な英語だ。
各自お皿に分けたケーキを食べる。
:08/05/27 23:42
:SO903i
:☆☆☆
#331 [向日葵]
これがまた体に染みていくように美味しい。
疲れた時は甘いものとよく言うけど正にだと思った。
すると誰かの携帯が鳴る。
鳴っているのは椿の携帯らしかった。
「電話?」
「いえメールです……」
「まさか椿、あの無神経な婚約者とまだ続いてたの!?」
「えぇっ!?」
美嘉より私の方がびっくりして声をあげた。
:08/05/27 23:45
:SO903i
:☆☆☆
#332 [向日葵]
「椿……婚約者いたの……?」
「うちの決まりなんです……17歳を迎えたら、婚約者を決めろと……。」
「これがまた最低最悪な奴でね!!」
美嘉が憤慨してるというのに、椿はただ静かに笑っていた。
その笑顔は幸せそうに見えたけど、少し寂しく見えた気もした。
椿はどうやって運命を共にする人を決めたんだろうか……。
「椿はその人のどこが好きで決めたの?」
何気なく訊いてみた。
すると椿はまた静かににこりと笑った。
:08/05/27 23:49
:SO903i
:☆☆☆
#333 [向日葵]
:08/05/27 23:50
:SO903i
:☆☆☆
#334 [向日葵]
すいません逆でした

233がアンカー、319が感想板です
:08/05/27 23:51
:SO903i
:☆☆☆
#335 [向日葵]
「必要としてくれているなら、それに答えようと思ったんです……」
必要……と口の中で椿が言った事を繰り返した。
柴は私を必要としてくれているのだろうか……。
好きになっても、いいのだろうか……。
悩んでいると、立川君が立ち上がった。
「おトイレお借りしてもいいですか?」
「あ、ウン。出た所にあるから。分かるかな」
「分からなかったらまた戻ってきます」
:08/06/04 23:44
:SO903i
:☆☆☆
#336 [向日葵]
扉が静かに閉まる。
立川君がいなくなって少しホッとすると思ってしまっては失礼だろうか。
でもなんとなく落ち着かない気分でいた。
「そういえば美嘉、どうして椿の婚約者は最低なの?」
「話せば長くなるのよ」
腕を組んでウンウンと頷く美嘉を見ながら、「最低」の烙印を婚約者に押された椿は苦笑いしていた。
同い年の椿ですら、既に決断して、自分の運命を受け止めようとしている。
自分を信じようとしている。
:08/06/04 23:48
:SO903i
:☆☆☆
#337 [向日葵]
私もいい加減くよくよしてないで、しっかり決めた事を実行しないと……。
深呼吸を静かにして、決意を固める。
そこへ立川君が帰ってきた。
「ケーキを食べ終えたら、そろそろお邪魔させて頂きましょうか」
立川君が言った。
「あ、私なら気にしないで。重病って訳でもないんだから」
「でも、休息をとられた方が、お体もよくなるのが早いですよ……」
椿の言葉に一同が頷く。
3対1ならば勝てる筈もなく、それ以上は何も言わなかった。
:08/06/04 23:52
:SO903i
:☆☆☆
#338 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・
「じゃあ、早く良くなってね」
「ウン。ありがとう」
美嘉と椿は迎えの車で一緒に帰って行っていった。
車が見えなくなるまで手を振ってから、まだそばにいる立川君を振り返る。
「立川君も、わざわざありがとう。もうちゃんと学校行けるから」
そう言っても、立川君の表情は、はれなかった。
心配してくれているのか、私の言葉を信用してないか分からない。
ただ眉を寄せて私をじっと見つめる。
:08/06/06 23:38
:SO903i
:☆☆☆
#339 [向日葵]
居心地が悪くなって、微妙に後退りし始めた時、手首を掴まれた。
びくりと体が震える。
何事かと立川君を見ても、先ほどと表情は変わっていなかった。
「な……何……?」
恐る恐る尋ねる。
「……神田さんにとって、神田さんの好きな人は本当に必要なのですか?」
さっきの椿との話だ。
その事なら、私も話があった。
唇をキュッとしめて、姿勢を正した。
「立川君……。私は柴が好きなのを勘違いだなんて思えない」
:08/06/06 23:42
:SO903i
:☆☆☆
#340 [向日葵]
立川君は眉間のしわを更に深めた。
「柴が好き。普通女の子って守ってもらうのが憧れかもしれない。でも私は、柴が抱えている闇や悲しみをまるごと包んで守ってあげたいの。……家族以外で、そう思った人は、初めてなの……」
「ならそれは、家族愛ではないので……」
「違うのっ」
立川君の言葉を遮り、否定する。
家族みたいな、親愛の情だけで、ここまで柴を想う事はない。
:08/06/06 23:48
:SO903i
:☆☆☆
#341 [向日葵]
さらさらの綺麗な茶色い髪や、神秘的で魅惑的なグレーの瞳。
甘える仕草、無邪気な笑顔、時々見せる苦しそうな、寂しそうな顔。
泣いたあの時の弱々しさ。
全てが、いとおしい……。
「私は立川君を好きにはなれない……。だって立川君を見ても、胸が苦しくなるような痛みは伴わないもの……っ」
手首を握る立川君の手の力が強まる。
あまりの力に顔をしかめた。
「ずっと……貴方だけだったのに……」
:08/06/06 23:53
:SO903i
:☆☆☆
#342 [向日葵]
「立川君……?」
「どうしても……僕は駄目なのですか……っ!」
背中に痛みが走る。
壁に押し付けられたのだ。
目の前にいるのは誰……?あのクールな立川君はどこに?優しい立川君は?
この人は……誰……?
「ずっとずっと好きだったのに、どうして僕じゃいけないんですかっ!」
恐い……っ。
「ご、ごめんなさ……」
「何故選んでくれないんですっ!」
そう言われた時、小さい頃の自分を思い出した。
:08/06/06 23:57
:SO903i
:☆☆☆
#343 [向日葵]
育てられなくて、私を捨てた両親。
どうして……。
どうして他の何よりも、私を選んでくれないの……?
どうして皆……私から離れてしまうの……?
足がガクガク震えだした時だった。
立川君が突き飛ばされて、私の前には長身の影が現れた。
「柴……」
「越になにすんだ」
私をかばって、立川君を睨みつける。
立川君も負けじと睨み返す。
:08/06/07 00:01
:SO903i
:☆☆☆
#344 [向日葵]
「邪魔しないで頂きたい。これは僕らの問題です」
「ふーん。怯えさせながらの話し合いで何が解決するの?」
立川君はギリッと歯を食い縛る。
「なかなか、いい根性してるみたいで」
「ありがとう。でもお互い様だよ」
立川君はしばらく柴を睨むと、落ちたカバンを拾った。
「神田さん、失礼します」
こちらの返事も聞かず、足早に立川君は帰ってしまった。
:08/06/07 00:05
:SO903i
:☆☆☆
#345 [向日葵]
いや、気付いたのだろう。
柴の背中で隠れるようにしながら、震えている私を。
柴の服の裾を、ギュッと掴む。
「越?」
優しい声で呼ばれたかと思えば、掴んでいた手を包むように握り、服から放させた。
依然、手は握ったままだ。
「ご……ごめ……」
フラッシュバックと、普段と違う立川君とで、頭がごちゃごちゃになっている。
震えがまだおさまらない。
:08/06/07 00:09
:SO903i
:☆☆☆
#346 [向日葵]
「大丈夫だよ。もう恐くない。ゆっくり深呼吸してごらん」
言われた通り、震えながらも深呼吸をする。
柴も私と一緒にやってくれた。
何回かやっていくと、段々と落ち着いてきた。
そして柴の顔を見る。
目の前に、茶色い髪が揺れている。
その向こうには灰色の瞳。
その色からは、私を気遣う温かさが感じられた。
穏やかに微笑まれれば、一層胸は切なくなり、頬に熱い滴が流れた。
それに柴は驚く。
:08/06/07 00:12
:SO903i
:☆☆☆
#347 [向日葵]
>>319に感想板がありますので、感想などあればよろしくお願いします

:08/06/07 00:13
:SO903i
:☆☆☆
#348 [向日葵]
「越……っ!?どうしたの?どこか痛い?」
慌てて壁に押し付けられていた背中をさすってくれる。
でも痛かった訳じゃない。
柴が来てくれた安心と、柴の笑顔がいとしく感じたのとが合わさって、なんだか胸が熱くなったのだ。
もっと柴がいると実感したくて、抱きつきたかったけど、恥ずかしいと感じる冷静な自分が心の隅に小さく存在していたのでやめた。
それでも、まだ涙は止まらない。
「とりあえず家入ろう?」
:08/06/09 00:16
:SO903i
:☆☆☆
#349 [向日葵]
優しく手を引いてくれる柴に素直に従う。
とりあえず、と、柴は皆がいるリビングより私の部屋まで連れて行ってくれた。
気遣ってくれたらしい。
ベッドに座らせてくれると、柴も隣に座った。
そしてまた背中をさすってくれる。
「痛くない?大丈夫?」
皆が来る前に、ヒドイ事を言ったと言うのに、柴は優しく私を心配してくれる。安心させなきゃと、必死に泣くのを堪える。
そのせいで、しゃっくりが出だした。
:08/06/09 00:19
:SO903i
:☆☆☆
#350 [向日葵]
そんな私を柴はクスクス笑った。
「まるで子供だね。しゃっくり出すだなんて……」
その笑顔にまた泣きそうになったけど必死に堪える。
「ご……ごめん……。すぐ泣きやむから……」
「いいよ別に。越も俺に甘えてくれてるから嬉しいし」
さっと顔が赤くなった。
柴に無意識の内に甘えていた自分が恥ずかしくなった。
おかげど涙も引っ込んでくれる。
:08/06/09 00:23
:SO903i
:☆☆☆
#351 [向日葵]
「そ、そういえば柴、庭にいたんじゃなかったの?」
「散歩に行ってたんだ。で、帰って来たらこうなってたって訳」
「会話……聞いてた?」
「会話?」
立川君との会話。
確実に私の好きな人が柴とバレてしまう会話。
聞かれていれば……マズイし気まずい……。
「んーあまり」
良かった……。
「越の好きな人は俺なんだーとは思ったけど」
:08/06/09 00:26
:SO903i
:☆☆☆
#352 [向日葵]
ん?としばらく動きをとめた。
それって……つまり。
……――――――っ!
「聞こえてるじゃないっ!」
動揺を隠せない私に対し、柴は楽しそうと言うか嬉しそうと言うか、にっこり笑っている。
「嬉しいなー。越が俺を好きだなんてー」
「ち、ちが……っ、あくまで家族としてで……」
「本当に?」
急に真面目な灰色の瞳が接近した。
:08/06/09 00:29
:SO903i
:☆☆☆
#353 [向日葵]
そんな真剣に聞かないで欲しい。
余計「うん」と肯定するのが恥ずかしくなってしまう。
「本当に、ちが……」
目をそらそうとした時、今以上に柴が近づいて距離を詰める。
「俺は越が好きだよ」
目を見開いた。
柴が……私を好き……?
「う……そ……」
「本当。ずっと前から好きって言ってるし、態度で示してるけど、越はまったく気づかないんだもんなー」
:08/06/09 00:33
:SO903i
:☆☆☆
#354 [向日葵]
>>319に感想板がありますんで良かったらお願いします

:08/06/09 00:34
:SO903i
:☆☆☆
#355 [向日葵]
「そんな事……」
言われたって……。
「で、越は?」
また覗き込まれる。
顔が熱くなる。
顔が近づけば、その分私は離れた。
しかし何故か強気な柴は、更に近づく。
「な、な、にが……」
「俺の事、好き?嫌い?どっち?」
そ、そりゃもちろん好きだけど……。
……ええい……こうなりゃヤケだ……。
「普通!」
:08/06/13 00:00
:SO903i
:☆☆☆
#356 [向日葵]
はい……?
自分の言った言葉に自分で驚く。
やっぱりと言うか柴も驚いている。
わ、私、今何って?
「普通……って……。」
柴がうなだれて頭をポリポリかく。
ああやっぱり普通って言っちゃったんだ私……。
ヤケだ!と意気込んだ割りに全然ヤケになってない辺り自分がとことん情けない……。
「や、だって、その……」
「まぁいっか……。嫌いって言われるよりマシだしね」
:08/06/13 00:04
:SO903i
:☆☆☆
#357 [向日葵]
柴はニッと笑う。
「でもきっと好きって言ってもらえるようにするから。越も俺が越を好きって分かったなら、ちゃんと意識してよね」
くしゃりと前髪辺りを撫でる。
意識なんて、ずっと前からしてる。
その笑顔、その声、その瞳……。
柴の全部が、私のたった1つの心臓を揺れ動かす。
私もいつか……言えたなら……迷わず言いたい……。大好きって……。
:08/06/13 00:07
:SO903i
:☆☆☆
#358 [向日葵]
―*8日目*―
なんか最近、越姉の雰囲気が変わったみたい。
なんて言うの、女っぽくなったって言うか……。
もしかして柴のせい?
(神田家・長男・空談)
「さてと……。柴、どれから乗る?」
「絶叫系以外……」
「なんでよっ。せっかく遊園地に来てるっていうのに!」
今日は土曜日。
私は柴と遊園地に来ているのだ。
:08/06/13 00:12
:SO903i
:☆☆☆
#359 [向日葵]
何故かと言うと、それは昨日の事だった。
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[フリーパスチケットォ!?]
お母さんが会社から2枚のフリーパスチケットを貰ってきたのだ。
[たまには皆で遊んどいで。いつもあたし達が世話んなってっからね]
1枚で3人までいけると言うなんとも素晴らしいチケット。
遊園地なんていつぶりだろうと心踊らせ、皆にどうするか訊いてみた。
……が。
:08/06/13 00:15
:SO903i
:☆☆☆
#360 [向日葵]
桜は。
「明日丁度試合があんだよねー。またじゃ駄目?え、明日までなのー!?最悪ー。じゃあ楽しんできて」
空は。
「明日サッカーの試合あるんだよね。オレ期待されてるから無理ー」
苺は。
「あのねー、みよちゃんといっしょにぱんださんみにいくのー」
と、言う訳で、行く人は私と柴のみ……。
ってこれって……デートとか言う!?
:08/06/13 00:18
:SO903i
:☆☆☆
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