*柴日記*
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#403 [向日葵]
「大和君、起きてる?」

早代だ。

起き上がって、戸口にいる早代を睨む。

「どうしてこんな事されなきゃなんないの?俺帰りたいんだけど」

「……私は、貴方にここへ帰ってきて欲しいの……」

「早代は父さんの妻だろ?なのに俺に執着するのは間違ってる」

口ごもる早代。
しかし柴は容赦しなかった。

「間違いだったのは確かに俺だ。でも離れて分かった。俺は早代に逃げてただけだって」

⏰:08/06/29 02:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#404 [向日葵]
誰も愛してくれない。
無気力になっていた自分。
そんな中、愛してくれた早代。

恋だと思った。
でも実は違った。

自分が何者か分からないから早代でその存在する意味を確かめていただけだったのだ。
自分で、見つけようともせずに……。早代を、利用してしまったのだ。

早代もまた、望んでない結婚を、柴に、いや大和に逃げる事で何もかも見ないようにしていた。

2人の間に、やはり愛などなかったのだ。

⏰:08/06/29 02:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#405 [向日葵]
[力を合わせて乗り換えていける]

そう言ってくれたのは……。

[安心していいんだよ]

そうやって、逃げず、手を取り合って、困難を乗り越えようと言ってくれたのは、越ただ1人だった。

越。
何でも越えれるようにと願いを込めて名付けられた彼女の名前。
彼女の何事にも前向きな姿、でも、触れれば壊れてしまいそうな脆さに、自分は惹かれたのだ。

「俺は逃げない。逃げたくない。早代、逃げちゃダメなんだ」

⏰:08/06/29 02:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#406 [向日葵]
悲痛な顔をして聞いていた早代は、急にハッと背後に視線を向けた。

「旦那様が、帰って来たみたい……」

柴は立ち上がった。

会うのは何ヶ月ぶりだろう。
柴は父が苦手だった。
呼べば振り向くも、何の感情もない目が怖くて堪らないからだ。

今も胸の奥で、鼓動がスピードを上げていってる。

[大丈夫]

柴はハッとした。

越……?

⏰:08/06/29 02:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#407 [向日葵]
>>319に感想板があるんで、良かったらお願いします

⏰:08/06/29 02:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#408 [向日葵]
携帯変わりましたが向日葵です

⏰:08/07/07 00:21 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#409 [向日葵]
彼女がいる訳がない。

そう思っていても、柴は辺りを見渡さずにはいられなかった。

あぁでももう大丈夫だ。
越が見守ってくれている気がするから……。

柴は早代の後をついて行った。

―――――――――…………

「旦那さま、大和君が帰って参りました」

中から返事はなかった。
本当に帰って来たのか?と柴は疑問に思った。
しばらく沈黙が続く。
早代は辛抱強く返事を待っている。

「大和を入れなさい」

⏰:08/07/07 00:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#410 [向日葵]
早代は目だけで柴に入れと促す。
柴はもう1度ノックをしてからゆっくりとドアを開けた。

「失礼します……」

ドアの閉まる音が、やけにやかましく感じた。

父は椅子にもたれて窓の方を向いている為、柴には背を向けている。
その表情は、怒っているのか、やっぱり無表情なのかは確認出来なかった。

「どうして、俺を……?」

重苦しい空気に堪えきれず、柴が口を開いた。
父が座っている椅子が、短くギィッと軋む。

⏰:08/07/07 00:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#411 [向日葵]
やがて長いため息が聞こえた。

「やはり苦手だ」

「は……?」

父は椅子から立ち上がり、窓辺に立つ。
ようやく見えた父の姿に、そういえばこんな姿をしていたっけと柴は呑気に思った。

たった数ヶ月の筈なのに、とても長い間会っていなかった気がするのは何故だろう。

「私の会社は、先々代から続くものでな……。常に成績が全ての家系だったんだよ」

何を話したいのかさっぱりな柴だが、首を傾げながらも父の淡々とした口調に耳を傾けた。

「私は、父や祖父の厳しい顔しか思い出せない……」

⏰:08/07/07 00:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#412 [向日葵]
そんなの自分だって同じだと柴は思った。
厳しい顔か無表情な顔しか自分は見た事はない。

ただ……と柴は思う。

依然父は窓の外を見たままだ。

「私はそんな両親が嫌いでね……。どうして私自身を見てくれないのかと頭を抱えたものだよ」

「それが……なんなの……」

柴が静かな問うと、父はゆっくりと振り向き、柴を真っ直ぐに見つめた。
父とこうして喋るのは、初めてな気がした。

「それが嫌だから、私は繰り返したくないと思ったんだ」

⏰:08/07/10 23:34 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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