*柴日記*
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#602 [向日葵]
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「ただいまー」

帰ってくればいい香りが祐子の鼻をくすぐる。

そしてフリフリなエプロンを着ておたまを持った祐子の母が祐子を迎える。

「おかえり祐子ちゃぁんっ!今日は祐子ちゃんがだぁい好きなハンバーグよっ」

「あのさママ……いつも思うけどそのエプロンどうなの……」

すると母は可愛らしく頬を膨らませる。

「んもうっ。ママじゃなくて翠(ミドリ)ちゃんって呼んでって言ってるじゃなぁいっ!」

⏰:08/09/16 01:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#603 [向日葵]
母が嫌いな訳ではない。
むしろ好きだし、尊敬するが、この少々ぶりっこが入った母の血が自分の体のどこを通っているか不思議で仕方ない祐子だ。

「早く着替えてらっしゃい。あ、そういうば今日喧嘩しなかったのね。良かったわ、これ以上女の子に傷がついたら翠悲しいんだからぁっ」

そういえば、神田一朗もそんな事を言ってたなと思い出す。
彼の事を思い出せば、帰りの事も思い出す。

「ママ……じゃない。翠ちゃん。今日あたし告白されちまったよ」

「え!本当に!?やっだぁ早くその子連れて来てぇっ!翠会いたいわぁっ!」

⏰:08/09/16 01:35 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#604 [向日葵]
「やだな翠ちゃん。連れて来るわけないっしょ。それ以前に、本気じゃなさそうだもん」

「また祐子ちゃんはぁっ!そんなの分からないでしょぉっ!?」

少し怒ったように、上目遣いで祐子を睨む。
神田一朗もこんな目してたっけ……。
やっぱり、本気じゃなさそう……。

きっと自分のような問題児が珍しいのだろうと思いながら、祐子は自分の部屋へと向かっていく。

「あ、今日、圭ちゃん遅くなるんだって!先にご飯食べちゃいましょー」

圭ちゃんとは、祐子の父、圭司(ケイジ)の事。

⏰:08/09/16 01:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#605 [向日葵]
あんな筋肉ムキムキな父が果たして圭ちゃんと呼ばれていいのだろうかと祐子は遠い目をした。

着替えが済んだ祐子は下へ向かいテーブルに並べられた夕飯に目を光らす。

「たっくさん食べてね。翠、いーっぱい作ったから」

「うん。いただきまっす!」

空腹は最大の調味料。
体の芯まで味が染み渡っていく。

満足気な顔でご飯を頬張る祐子を見て、翠は微笑む。
そして正面に座る。

「で、祐子ちゃん、その子どんな子?」

「その子?」

「んもうっ、しらばっくれちゃって。好きって言ってくれた子よぅっ」

どんな子……。

神田一朗の事を思い浮かべる。

⏰:08/09/18 02:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#606 [向日葵]
ふにゃふにゃしててアハハと笑いながら頭をポリポリかいてる姿が目に浮かぶ。

「……なよっちくて、変人……。いや、宇宙人……?」

「まぁ宇宙人だなんてっ。祐子ちゃんにとっては珍しく気になっちゃってるのねっ」

「え、何言ってるの」

あの宇宙人を何故気にしなくちゃならないと祐子は眉間にシワを寄せる。

出来れば関わりたくないタイプなのに気になるだなんてとんでもない。

「……ママ」

「“翠ちゃん”っ」

⏰:08/09/18 02:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#607 [向日葵]
どっちでもいいだろうに……。

「翠ちゃん達はいつ知り合ったの?」

訊けば翠は頬をポッと赤く染めてモジモジしだした。

「16歳の時、圭ちゃんがね、女の子に囲まれてる翠を助けてくれたの」

翠は指を組んでキラキラした目で宙を見つめた。
その時の父を思い浮かべ、もう1度恋に落ちるかのように。

「スーパーマンだって思ったわ!だって赤いマントが見えたものっ!」

幻覚だと言いたいのをぐっとこらえる。

「今と変わらず大きな体で必死に庇ってくれる姿に、翠は運命を感じたのっ」

⏰:08/09/18 02:56 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#608 [向日葵]
聞くんじゃなかったと後悔する。

翠には少々……いやだいぶ、乙女チックな所がある。
そう思えば、自分は父の似たのだなと祐子は思った。

守られるだなんてとんでもない。
守られるぐらいなら守ってやる。

ふと、あのたれ目を余計にたらして笑う神田一朗を思い浮かべる。

あれはどう見たって、守ってやらなくちゃいけないタイプだ。

――――――――…………

爽やかな朝。
あくびをしながら祐子は学校へ向かっていた。

⏰:08/09/18 02:59 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#609 [向日葵]
今日は数学のハゲチャビンの日か……。
屋上で昼寝でもしようかね……。

校門が見え、祐子の姿を見た一般生徒達は半径2メートルは離れて行動する。
いつもの場所に自転車をガシャンと置いただけでその場にいた人はそそくさと去っていく。

祐子には日常茶飯事なので、我関せずといった風にカゴから鞄を取り出す。
くるりと方向転換する。

「おはよう」

思わずぶつかりそうになる。
そこにいたのは神田一朗だった。祐子はわざとらしくため息を吐く。

「なんだよ。今日は足骨折でもしたか?」

⏰:08/09/18 03:05 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#610 [向日葵]
「荷物扱いされるつめりはないから気にしないで」

にっこり笑う。
祐子は無視して歩き出す。
彼は後を追ってくる。
早歩きしてもなんなく付いてくる。

祐子のこめかみに、青筋が浮き出る。

「なんだよお前よぉっ!」

振り返って彼に怒鳴る。

片目を瞑ってそれをやり過ごす彼は、ずずいっと近づいてきた。

「考えたんだ」

「は?」

「君がいったんだよ。冷静に考えてみろってさ」

⏰:08/09/18 03:09 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#611 [向日葵]
言ったような言ってないような……。

祐子は自分が言った事を忘却の彼方にやってしまっていた。

半目で神田一朗を睨む。
彼は涼しい顔で受け流す。

「僕が普通だろうが、君が問題児だろうが関係ない。僕は森下祐子さんを好きになったんだ。これが答え。合格はもらえる?」

祐子は顔が熱くなると共に足から順番に鳥肌が立っていくのが分かって身震いしながら数歩後ずさる。

「う、宇宙人……っ!寒い事言ってんじゃねぇぞっ!」

「寒い?僕はただ本音を……」

「黙れっ!」

⏰:08/09/18 03:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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