*柴日記*
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#648 [向日葵]
「一朗君、ビーフシチューは好きかしら?祐子ちゃんを送ってくれたお礼をしたいのだけど、食べていかない?」
「ち、ちょっと翠ちゃんっ!」
こんな居心地が良いような悪いような訳の分からない気持ちにさせられる奴と食事をするなんて嫌だと思った。
せっかくの美味しい料理すら味が分からなくなる。
「好きです。邪魔にならないのでしたら、お言葉に甘えたいです」
「お前も何言ってんだよ!」
「じゃあ決まりね」
「あたしを無視するなぁぁっ!」
:08/10/04 00:47
:SO906i
:☆☆☆
#649 [向日葵]
結局、同じような空気をもつ2人には勝てず、渋々祐子は一朗を招き入れる事を承諾した。
「着替えてくる」
「手伝おうか?」
「殴られたいのか」
「簡単には殴られないよ」
真実なのでイラッとした祐子は口を真一文字にキュッと引っ張り足を鳴らして階段を上がっていった。
そんな姿を一朗は見てクスリと笑う。
「一朗君、好きな場所に座って」
いつにもましてルンルンな翠は、そう言いながらいつも祐子が座る場所の隣をさりげなく勧める。
:08/10/04 00:51
:SO906i
:☆☆☆
#650 [向日葵]
それを一朗は知らないので、勧められるがままに座る。
「ありがとうございます」
翠は笑顔で返す。
そしてソワソワするので、一朗は翠に問う。
「どうか、なさいましたか?」
「あなた、祐子ちゃんが好きなのよね?」
「ハイ。とても」
恥ずかしがるわけもなく、一朗はそう答える。
翠は更に興奮し、「キャー!」と軽い叫び声をあげる。
「素敵!私あなたなら祐子ちゃんをお嫁にあげてもいいわっ」
「それは光栄です」
:08/10/04 00:57
:SO906i
:☆☆☆
#651 [向日葵]
:08/10/06 01:50
:SO906i
:☆☆☆
#652 [向日葵]
そこでハタッと翠は動きをとめ、瞬きを繰り返しながら何かを考えてから一朗の方へ乗り出す。
「もしかしてあなたが祐子ちゃんに告白した子かしら?」
「ご存知で?」
翠は入口を気にしてから一朗に微笑みかける。
「祐子ちゃん、あんな風だけど、とってもいい子だから……仲良くしてやってね」
その言葉に、一朗は笑みを深める。
「ハイ。もちろんです」
その答えに満足した翠は、キッチンへと戻る。
:08/10/06 01:54
:SO906i
:☆☆☆
#653 [向日葵]
「ちょっと!」
着替えをすまして下りてきた祐子は大きな声を出した。
そして一朗を指差す。
「アンタどうしてそこに座ってんだよ!」
「え、好きな場所にって言われたからそうさせてもらっただけだよ?」
ずんずん歩いてきた祐子は向かい側を指差す。
どうやらこちらに座れといいたいらしい。
なんてったってその隣は祐子の特等席なのだから。
しかし聞いているのかいないのか、一朗は上から下まで祐子を見るとにっこり笑った。
「私服って新鮮だなぁ」
:08/10/06 01:59
:SO906i
:☆☆☆
#654 [向日葵]
祐子は言われて自分の姿を見る。
パーカーを長袖のTシャツの上からはおり、ジーパンをはいただけというラフな恰好。
「……当たり前だろ。毎日制服なんだから」
もうちょっとマシな恰好をすれば良かっただろうか?と考えている事に何の疑問も感じず少し落ち込む。
「ううん。可愛い」
そう言われてガチンと祐子の体が固まる。
そして爪先から頭のてっぺんまでゾワゾワとしたものが這い上がる。
「か……っかか可愛い!?」
思わず声が裏返る。
:08/10/06 02:05
:SO906i
:☆☆☆
#655 [向日葵]
「うん。可愛い」
もう1度言う。
祐子はブルッと震え、両腕を擦る。
「無理……っ、寒い事言うな!」
「そんなオヤジギャク言ったみたいな反応しなくても……」
と言いながら祐子の毛先を一束持つ。
それをもてあそぶ。
「猫っ毛なんだね。フワフワしてていいな。1度触ってみたかったんだ」
「翠ちゃん譲りなんだよ。あたしには似合わない」
一朗はクスクス笑う。
:08/10/06 02:09
:SO906i
:☆☆☆
#656 [向日葵]
「似合うから可愛いって言ってるのに。自分の事まったく分かってないんだね」
なんだか馬鹿にされたような気がしながらも顔を赤くさせる。
どこでもかしこでも、なんでこんな言葉が出てくるか分からない。
けれど寒い言葉ながら、少し嬉しく思ってしまう自分がいるのも否定出来ない。
そんなのだから、たちが悪い……。
「さぁ2人も、ご飯にしましょうか」
翠がもって来たビーフシチューはいい香りがして、どこかぼんやりしていた祐子の思考を醒ました。
:08/10/06 02:13
:SO906i
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#657 [向日葵]
結局一朗は移動しないままで、あまり席にこだわっていては照れてると思われそうなので、一朗の隣に祐子は座った。
「お口にあえばいいんだけど」
一朗はにこりと笑って、両手を合わせて「いただきます」と言うと一口ビーフシチューを口に運んだ。
「美味しいです」
たれ目がちなあの目が更にたれる。
へにゃんとしたその笑顔に力が抜けそうで、少しかぶりを振った祐子はビーフシチューを食べる。
いつも通り美味しくて、祐子まで一朗の顔になりそうだった。
「おかわりあるからね。沢山食べてちょうだい」
:08/10/06 02:19
:SO906i
:☆☆☆
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