*柴日記*
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#674 [向日葵]
全ての気持ちが、一朗を好きだと気づいた事により溢れ出す。
祐子はただ翠に「ゴメン」と謝り続ける。
何度も繰り返す祐子に、翠は優しく抱き締める。
まるで子供をあやすように背中をポンポンと叩くものだから、祐子は更に涙が溢れた。
これ以上、誰にも迷惑をかけてはいけない。かけたくもない。
一朗は将来有望の医者になるらしい。
ならば、周りからみた自分の印象は分かるから決めた。
一朗がなんと言おうと、彼から離れよう。
彼が無邪気に笑い続けてくれるなら、この気持ちが伝わらなくてももういい……。
:08/10/10 23:33
:SO906i
:☆☆☆
#675 [向日葵]
祐子は1週間の停学処分にされた。
その噂はクラスからクラス、学年から学年へと早々に伝わっていった。
この頃おとなしかった祐子なだけに、生徒は祐子の存在を再度思い出し、そして怖がった。
1部のクラスと、生徒を除いては…………。
珍しく遅刻をしてしまった一朗は、ホームルームが始まってなくてホッとする。
しかし、周りがやけに騒がしいので変だとは思っていた。
そこへ一朗のクラスの学級委員が、「あと10分したらホームルーム始める」と伝えに来た。
時間があるので、一朗は祐子の所へ行こうと教室を出た。
:08/10/12 01:34
:SO906i
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#676 [向日葵]
一朗は5組、祐子は1組だったので少し遠い。
祐子の教室へ近づく度、ざわめき声がひどくなるのは何故だろう。1組に着いた一朗は、戸口で祐子を探す。
が、探す前にクラスの女子が一朗に群がった。
「神田君来るの遅いっ!」
「何やってるのよ!」
一朗は何故怒られているかが分からず、びっくりして後ずさりする。
「な、何が?」
「まさか知らないの?」
「知らない?」
女子が顔を見合わせる。
神妙な顔で、口を開いた。
:08/10/12 01:39
:SO906i
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#677 [向日葵]
「森下さんがね……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女子から説明を受けた一朗は驚きを隠せないでいた。
彼女が停学。
それも自分のせいで。
一朗はショックを受けながらも自分の持っているものを見つめた。先ほど祐子のクラスから彼女から預かったものだと一朗に渡された。
それは、自分が頼んで待ち望んでいたお弁当だった。
力なく席についた一朗は、ドアから顔に湿布とガーゼと絆創膏だらけの坂上を見つけた。
彼は一朗を見つけるなり、この傷を勲章だと言わんばかりの顔をして彼の元へとやって来た。
:08/10/12 01:45
:SO906i
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#678 [向日葵]
「森下祐子に言ってやったぞ。お前に付きまとうなって。迷惑してたんだろお前も」
一朗は何も答えず、机に置いたお弁当を見つめる。
坂上は自分の武勇伝を聞いてくれと一朗の前の席に座り語り出す。
「俺はお前の為に……まぁ少々キツイ事も言ったけど、ズバーンと言い聞かせてやったのよ。そしたらアイツってば何をキレたかしんねぇけど殴りかかって」
バァンッ!と音が鳴る。
一朗は机を拳で思いきり殴った。
それまで祐子の噂であろう話し声が一気に止む。
そして皆、一朗と坂上に注目する。
:08/10/12 01:50
:SO906i
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#679 [向日葵]
坂上はすごく驚いたのか、目を見開いて口を半開きにして一朗を見つめている。
「僕の為……?」
ものすごく低い、唸り声のようにも取れる声は、一朗のものだと数秒してから坂上は分かった。
うつむいてる彼の表情は分からない。
だが机を殴った拳は小刻みに震えていた。
坂上は、一朗の逆鱗に触れてしまった事を瞬時に理解した。
「僕の為に祐子さんを傷つけたのか……?迷惑?僕がいつ……君にそんな事を頼んだっ!」
坂上はびくりとして席を立つ。
それでも、鋭く冷たい一朗の眼光からは逃れる事は出来ない。
:08/10/12 01:56
:SO906i
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#680 [向日葵]
「僕の為って一体なんなんだ!僕は迷惑だと思った事はないっ!僕は祐子さんが好きだ。つきまとっていたのは彼女じゃなくむしろ僕だ。当たり前だろ好きになってほしいんだから」
強い言葉に、クラス一同圧倒される。
黙って一朗の言葉に耳を傾けた。
「彼女を傷つけたなんて許さない……。絶対にね。君は僕の友達なんかじゃないよ」
一朗は鞄とお弁当を持つと、立ち上がり教室を出ていく。
その途中、担任が教室に入って来て、どこかへ行ってしまう一朗を呼び止めた。
「神田、どこへ行くんだ?ホームルームやるぞ」
:08/10/12 02:01
:SO906i
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#681 [向日葵]
「ホームルームよりも大切な事があります」
そう言って出ていこうとする一朗を再び止めようとした担任だが、今度はクラス全員から担任が止められた。
「先生行かせてあげて!」
「俺達はちゃんとホームルーム出るから!」
「神田って優秀じゃん?たまには息抜きさせてやってくれよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
家へ帰ってきた祐子はぼんやりとベッドに横たわっていた。
いつもと変わらない天井を見上げて思うわ一朗の事だ。
:08/10/12 02:04
:SO906i
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#682 [向日葵]
:08/10/13 10:27
:SO906i
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#683 [向日葵]
彼はまた自分の元へやって来て、また無邪気に笑うのだろうか。
いや、その前に、さっきボコボコにした奴が止めるかもしれない。
それに、彼女だって……。
信じたくないのに、不安の方が勝って、最悪な結果の方へと思考が導いていく。
何も考えたくなくて、目を瞑った。
目を瞑って見える瞼の裏のチラチラしたものでさえ、今はうっとおしく思わせた。
「祐子ちゃん」
ドアの外から翠が声をかけてくる。
そのままの体勢で「何?」と答えた。
:08/10/13 20:07
:SO906i
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