*柴日記*
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#75 [向日葵]
その不思議な目が、私の中の何かを見透かしている気がして、不自然に心臓が動いた。
「何で、そう思ったの?」
「……何か、辛そうな感じがしたから」
柴はどちらかと言えば子供みたいで、心はとても純粋だと思う。
だから苺みたいに、私の雰囲気の違いに鋭く気付いたのかもしれない。
沈黙が流れた。
私は何も答えられないまま、何かを導き出そうとしている柴の目を見つめた。
:08/03/27 00:40
:SO903i
:☆☆☆
#76 [向日葵]
「大丈夫っ。私がしっかりさなきゃ、皆暗くなっちゃうし!私は元気だよ柴!」
言い終えると同時に、柴が私の手を引いた。
そして立ち上がる。
拭ききれてないのか、柴の髪の毛から滴る水滴が顔にかかって片目を瞑った。
その水滴を、柴の指先が拭う。
「おまじない、しなよ」
「柴人の話聞いてた?」
「うん。越は甘えたいんだなって思ったんだけど?」
呆然として、瞬きを繰り返す。
:08/03/27 00:45
:SO903i
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#77 [向日葵]
どうして本質的なものを簡単にとらえてくれるのだろう。
でも……甘えるだなんて、あまりした事がない私はわからなかった。
「い、いいよ柴!私は大丈夫って言ってるじゃない!」
「じゃあさせて」
「へ?」
許可を出す前に柴の腕が私を包んだ。
まだ熱りが収まってないその体は暖かくて、心地よかった。
柴は分かってくれたんだ。
私が自分から頼む事が出来ない事。
だから柴自ら、いつもみたいに抱きついてくれたんだ。
:08/03/27 00:49
:SO903i
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#78 [向日葵]
「越。俺ならいいよ」
「何が?」
「甘えるの。いつも越は俺に甘えさせてくれてるでしょ」
柴って不思議だなー……。
無邪気で純粋で甘えん坊で……。なのにスルスル気持ちを引き出してしまう。
多くは語らないのに、ちゃんと何が言いたいか、何をして欲しいかを分かってくれる。
その安らかにさせてくれる柴の温もりが、私の心の中に残っていたモヤモヤを取り除いてくれる。
:08/03/27 00:54
:SO903i
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#79 [向日葵]
しばらくすると、柴は腕をほどいて「おやすみ」と出て行った。
私の体は、柴の体温でまだ温かい。
柴が出て行ったドアを見つめながら私は微笑む。
子犬のように、癒しをくれる柴。
その不思議な力に魅了されていくなんて、この頃の私はまだ知らなかった……。
:08/03/27 00:56
:SO903i
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#80 [向日葵]
―2日目―
柴のワガママってどうにかならないのかなー。いい加減にしないとお姉ちゃん怒ると思うんだよね。気をつけた方がいいよー。お姉ちゃん怒るとこっわいんだからーっ!
(神田家・次女・桜談)
「しぃぃばぁぁっ!!」
桜が叫んだので、びっくりしてせっかく作った唐揚げを落としてしまいそうになった。
珍しく早く家に帰れた私は、普段通り晩御飯の用意をしていた。
:08/03/27 01:01
:SO903i
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#81 [向日葵]
何事かと台所から顔を出せば、目をつり上げた桜と、そんな桜に動じずにソファーでゆったりと寝転んでる柴。
桜の手には、何やら袋が持たれていた。
「ここに置いてたクッキー、勝手に食べたでしょ!」
「うん。それが何?」
「調理実習で作って皆で食べたかったのに!アンタだけ食べちゃダメじゃんかぁっ!!」
あちゃー……。それはダメだよ柴。
晩御飯の用意している手を一旦止めて、仲介役で私は2人の間に入る。
:08/03/27 01:06
:SO903i
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#82 [向日葵]
「まぁまぁ桜、クッキーならまた一緒に作ろう。柴も、人の物勝手に食べたりしちゃダメでしょ?」
「だってお腹減ってたんだもん」
「だからって了承もせずに食べるな!」
桜と柴は少し相性が悪いのか、よくケンカしている。
桜は気が強いからケンカしだしたら止まらない。
私はいつも2人のやりとりをハラハラしながら見ている。
柴の態度が態度だから桜の怒りが更にアップ。
正に火に油。
ケンカする程なんとやらだけど……。
これはどちらかと言うと犬猿の中だね。
桜には悪いけど桜は猿だな……。
:08/03/27 01:11
:SO903i
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#83 [向日葵]
「お姉ちゃん!もっと柴叱ってよ!柴は勝手すぎるしワガママすぎる!!そしてお姉ちゃんは柴に甘すぎる!!」
痛い事言うなー桜ちゃん……。
柴を甘やかし過ぎたと思った事は無いけど……。
とりあえず注意はしなきゃね。
私は柴の前まで来ると、彼を座らせて目線を合わせた。
「いい?柴。人の物は許可なく好きにしてはダメなの。柴だって大事な何かを誰かに勝手に触られたりしたら嫌でしょ?」
「俺の大事な物はいつも触られっぱなしだけどね。許可なく。」
:08/03/27 01:16
:SO903i
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#84 [向日葵]
「柴の大事な物はなに?」
聞けば柴は指差した。
指差した方向は私。
思わず笑ってしまった。
「アハハハ!柴、それは嬉しいけど私は人だよ。私が言ってるのはもーの!」
すると柴は不機嫌な顔をして口を尖らせてまた寝転んでしまった。
ソファーの後ろでは桜がそっぽを向きながら口を手でおさえてプルプルしていた。
「え?え?柴?桜、どうして笑ってるの?」
「柴、これが天罰よ。これに懲りたらもうしないでよね」
:08/03/27 01:21
:SO903i
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