･ﾟ*･love story ..から始まった恋:･ﾟ'★たまに⑱

prologue
･:*:･ﾟ'★,｡･:*:･ﾟ'☆

ねぇ…
どうして恋人達は手をつなぐんだと思う？

あづはネ
コレから過ごす
永い時間を迷子にならないようにだと思うんだ

.

結婚して…３年。
あづさは亮二との結婚生活はずっと続くと思っていた。

…あの日
彼に出逢うまでは…

亮二と買い物に行った帰りの車の中で突然の雨に気づいた。

『洗濯物干したままだよぉ！早く帰ろぉ。』

家に着いたあづさは慌てて洗濯物を取り込んだ。

『あｧ～ｯｯ！』

悲鳴に近いあづさの声が響いた。
買ったばかりの携帯を踏んでしまったのだ。

急いで携帯を見てみたが…画面が割れてしまっていた

『どうした？』

驚いた亮二にあづさは

『携帯がぁ～(泣)』

年明け早々‥
ツイてないと思いつつ
２人は仕方なく携帯会社に向かった。
修理に日にちがかかるらしく代わりの携帯を渡された

『ねぇ②この携帯、犬を育てるゲームがついてるよっ♪』

携帯のゲームをしながら嬉しそうに話すあづさに

『さっきまでヘコんでたくせに…』
と、亮二は笑った。

数日後…
『もぅ携帯このままでいーかもぉ』

修理が終わり
携帯を返す頃…携帯の中で育てていた犬と離れるのが名残惜しくなっていたのだ。

修理が終わり、戻ってきた携帯を手にスグに犬を育てるゲームのサイトを探して入会した。

そのゲームは…
犬を育てたり、散歩に行って、そこで知り合った人とゲーム内でメールができたりするという内容だった。

そこで彼と出逢った…

ゲームの中で犬の散歩へ行った。

雪景色の中で彼と出逢って…メールを始めた。

ゲーム内のメールは１６文字と限られてた…

【あづです！ヨロシクねぇ♪】

【翔やで♪仲良くしてやぁ～！】

都内に住むあづさには関西弁が新鮮だった。

【今日も頑張ってやぁ！】

【うん!翔も頑張ってネ♪】

そんな他愛のない１６文字のメールを何度も交わした…。

彼からのメールが届いてないかと…何度もサイトへ行って確認した。

今、思えば…この頃から彼に恋をしていたのかもしれない。

互いに１６文字だけでは物足りなく感じるようになっていた。

そして…彼がアドレスを教えてくれた。

毎日、１６文字のメールをしていたのに…
直接のメールはなんだか緊張した。

【お疲れ様ぁ～♪あづだよっ！】

１６文字以内だし…

彼から返事がきた！

空メだし…(笑)

その日から朝も昼休みも夜もメールした。

彼の名前は芹澤翔
大阪住みで年齢はあづさの一つ上の25歳。
身長175㌢
血液型はＡ型
好きな色は赤！
セロリが嫌い…
彼のいろんなコトを聞いた。

そして…あづさもいろんなコトを話した。

結婚しているということ以外のことを…

毎日…メールだけなのにどんどん彼に惹かれてった。

顔も知らない…
声を聴いたこともない彼を好きになってた。

そんなコト…あるワケがないと思いながらも
確かに好きになっていた

.

【なぁ…あづ、写メ交換せーへん？】

あづは彼のそんなメールに戸惑った

もしかしたら…嫌われるかもしれない。
彼が想像と全く違ったらどうしよう。

そんなコトを考えて不安になっていたのだ

写メを送った…

.

【あづぅ！めっちゃ可愛ぇやん！】

嫌われなかったぁ…
とホッとしたが、
そのメールに添付してある彼の写真を見るのにまたスグにドキドキした。

EXILEのAtsushi似でカッコいい！

これがあづさの第一印象だった‥。

その日から二人の距離は急速に縮まった…

.

【四六時中…あづの事を考えてんで♪】

【待ち受けあづやで！ツレに彼女や言うて見せたってん！】

【あづもいつも翔の写メ見てるんだよぉ♪】

毎日…メールをした

お互い気持ちは募っていくばかりだった…

.

夜中…２時

亮二に見つからないように寒い部屋で毛布をかぶりながら
いつものようにメールをしていた

【あづ…しゃべらへん？声聴きたいねん。】

電話なんかしたら、亮二が起きてきてしまうかもしれない。
そんな不安もあったけど…彼の声を聴きたいのは同じ気持ちだった。

.

初めての電話…

『あづ？』

『うん…なんか緊張するねぇ』

『ほんまやで！自分の女の声も知らんとなぁ』

彼の何気ない言葉にときめいていた。

.

それからも…時間が許す限り、彼とメールをしていた。

【今日の昼は社員食堂でカレーやで】
【今日は…っていつもぢゃんっ(笑)】

【あづネ、友達と飲みに行ってくるね♪】
【男は居らんやろなぁ！飲みすぎたらアカンで】

時間が合う時は充電が切れてしまう程…電話もした。

.

笑えたコト…
腹の立ったコト…
時には真面目に仕事への姿勢、価値観を論じた。

あづさは亮二との生活の中で彼との恋を夢みるようになっていた…。

逢いたい…
大阪←→東京

結婚しているあづさには遠い距離に感じた…。

.

【あづ、そろそろ逢えへん？なんも怖いことないで。あづがええって言うてくれたら東京まで行くしやな！】

携帯ゲームで知り合ったけど…怖いなんて思わなかった。

彼と一緒に居る所を誰かに見られたら…

でも…逢いたい気持ちは抑えきれなかった。

.

【ぢゃ…あづが大阪に行くよ】

【ほな！カラダひとつで来いや。こっちでずっと…あづくらい食わせたるわぁ】

【帰るって…】

彼と逢うコトになった…

亮二には高校時代からの親友、めぐみと大阪に行くと告げた。

もちろん…めぐみにもアリバイ証言を頼んだ。

.

めぐみは何も聞かずに
『もぉ！あづはぁ～。』と笑っただけで承諾してくれた。

もし…
この時にめぐみが何か聞いてきてたら…彼に逢いに行くと答えただろう

それを聞いためぐみが
不倫はダメだと叱ってくれたら…
彼とは逢わなかったのかもしれない

そんなコトを後になって何度も思った…

だけど…この時は彼に逢える嬉しさでいっぱいだったんだ

あづさは初めて彼と逢う為の大阪に向かう新幹線の中…
彼とのメールを繰り返し読み返していた。

窓の外には少し桜が見える季節になっていた

あづさは流れる景色を見ながら考えていた

.

金曜日だから彼はまだ仕事中だろう。
駅で時間をつぶそう…

そんな時…彼からメールがきた。

【あづ。大丈夫かぁ？あづが着く頃には迎えに行ってるからな】

あづさの心に亮二はいなかった…。

ただ…彼に逢える。それだけが嬉しかった。

.

新幹線が新大阪に着いてしまった…。

ドキドキが止まらない

毎日メールをして
彼が起きた時から寝るまで知ってるのに…

瞳を閉じれば…
彼の顔が浮かぶ程…何度も写メで見た

そんな彼がホームに立っている。

何て声をかけていいのか…とまどってしまう。

.

彼はあづさを見つけて、ゆっくり近づいてきた。

『あづ』

右手であづさの頭を持ち唇にキスをしてきた…

みんなに見られてる
と思いながらも…
そんな強引な彼にドキドキしていた

思ってたより大きな手
暖かい温もり…
携帯の中の彼が今…目の前にいる
泣いてしまいそうだ…

.

『あづ‥思ったよりちっこいなぁ(笑)』

175㌢―153㌢
あづさは彼の右手に抱きしめられていた

.

そして‥
彼は黙ってしまっているあづさの顔を心配そうに覗き込みながら

『どぉしたん？逢いたかったんやで‥見たらイヤんなったんか？』

『‥ち、違うのっ！緊張しちゃって…イ、イヤになんかなるわけない』

『かみまくりやな(笑)』

彼の笑顔で少し緊張が和らいだ…

.

もぅ…
心すべて彼に奪われた瞬間だったのかも…

.

『あづ！ラーメン好きやろ？うまいラーメン屋があんねん！』

まるで何度も逢った事があるかのような口調だ

それも毎日のメールで彼もあづさの事をよく知っていたから不思議はなかった。

あづさも運転してる彼の横顔を見ながら…
さっきの緊張はウソのように笑いながら話しをしていた

.

『なんで一人やけ、ずっと顔見とんねん！俺もあづを見たいわ！』

『翔！あぶないって！前見て運転してよぉ』

…二人は自然に手をつないでいた。

.

『あづ…会わせたいヤツがおるんやケドええ？』

『わかった！シンちゃんでしょっ♪』

シンちゃんは彼の大親友だ。メールでも時々、シンちゃんの名前は聞いていたのだ…

.

『はぢめまして！翔からいつもあづちゃんの話しは聞いてるで！こいつ、あづちゃんにベタ惚れやでっ』

『うっさいわ！イランこと言うなや！』

『ほんとぉ？あづも翔にベタ惚れなんだよぉ』

『お前もイランこと言うなって…』

少し照れてる彼が可愛かった(笑)
そして‥
彼の親友に【彼女】として紹介されたのが嬉しかった

.

夜‥彼の部屋に行った。

彼の部屋は2DKでキレイに片付いてた。

あづさはあまりにもキレイに片付いていたので…

ホントは彼女いるのかなぁ？
と考えていた

.

そんなあづさに彼は

『あづが来るから一週間前から掃除したんやで！このままココに住んだらえぇんちゃう？』

『住まないしぃ～』

『なんでやねん！』

不安な気持ちをアっという間に消してくれる‥
そんな彼の傍はとても心地よかった。

.

ふたりはソファで並んでテレビを観た…

関東とは違う番組にあづさはハシャいでいた

どちらからともなく…
唇を重ねた

『あづ、一緒に風呂はいるか？』

彼の問いにあづさは小さく首を振った。

.

『ほな、先行くな。』

あづさの頭をポンッと叩いてソファを立った

そして…
彼は驚くほど早くシャワーを済ましてでてきた

『翔…めちゃめちゃ早くない？』

『あぁ～。あづが居らんくなってんやないかと思って(笑)あづはゆっくりでえぇで』

『(笑)ありがと。ぢゃ…シャワー借りるね』

.

シャワーを浴びて‥
部屋に戻るとソファに彼の姿はなかった。

隣の部屋へ行くと
彼が片手にビールを持ちながら、ベッドに座って待っていた‥

『あづ…こっち来いや』

『うん…』

彼はベッドに歩み寄ったあづさの手を引き寄せ抱きしめた。

.

『すきやで』

唇を重ね…舌を絡めた

彼は右手であづさの乳房を揉んだ。

『んっ…恥ずかしいよ』

『あづを俺のもんにしたいんや…アカンか？』

『うぅん…ダメぢゃないよ‥あづの全部、翔のものにして‥』

亮二の顔も浮かばないほど‥彼だけを見ていた。

.

彼のたくましい腕に抱かれて‥
初めて女としての悦びを知った気がした。

.

朝‥目が覚めて少し照れ笑いをした。

彼がベッドに横たわり‥煙草を吸いながらあづさの顔を見ていたのだ。

『あづ…おはよぉ』

『何、見とんねん！』

『(笑)偽関西人っ！』

彼はあづさの髪を撫でながらキスをした。

Marlboroの匂い…

.

この日…
時間が許す限り何度もお互いを求めあった…。

離ればなれになっても、お互いを忘れないように何度もキスをして…
いつまでも抱き合った

.

楽しい時間は過ぎるのは早く…
あづさは東京行きの新幹線に乗っていた。

『また逢えるって。泣いたらアカンって』

彼は泣きじゃくるあづさを抱きしめながら優しく言った…

.

あづさはそんな風にあまりにも泣きすぎてしまった事が恥ずかしくて…彼にメールできずにいた。

そして…亮二の待つ家にどんな顔で帰れば良いのかわからずにいた…

東京駅から乗り換え
亮二の待つ家に帰った

亮二はもう既に眠っていた…。
ホッとした。

あづさは彼の温もりを思いだしながら眠りについた。

.

後に彼は

『あの別れ際…泣きじゃくるあづを連れて帰って監禁したろぉかと思ったんやで(笑)』

と笑っていた…。

『犯罪者にならなくて良かったぢゃん！』

少しおどけてみせた…

.

早く彼に結婚してるコトを言わなければ…

そう思いながらも
切り出せないまま時は過ぎた。

毎日のメールは欠かさなかった。
そして‥何度か彼に抱かれた。

【あづ…もぅこっちに来ぃひん？俺はあづが傍に居ってくれるだけでえぇねんで】

最近‥
彼からのこんなメールが増えた。

.

あづさは悩んでいた‥

もぉ‥ダメだ。
彼は嘘をついてたあづを許すだろうか‥。
もし…
彼が許してくれても今みたいにウマくやっていけるだろうか‥。

この頃‥
知らず知らずにKiroroの《もう少し》を口ずさんでた‥

もぅ少し…
ねぇ…もぅ少し
あなたの側にいさせてよ

.

あづさは彼との別れを決意した‥。

それでも…
どぅしても切り出せないでいた‥

もぅこのまま彼の前から消えてしまおう。

逃げる事しか出来なかった…。

彼からのメールも電話も受信拒否をした…。

.

受信拒否をしても着信履歴には番号が残った
履歴は彼の名前でいっぱいになっていた。

胸が張り裂けてしまいそうだった

短い恋だったケド…
本当に大好きだったから
こんな別れはいけない。

着信拒否を解除した。

.

～♪
One Night Crnival

彼からの着信だ…。

少し酔って電話してくると…彼はよくこの歌をうたっていた。

電話にでた瞬間に彼はうたいだした…

『また歌ってるぅ(笑)』

『せやで～。angel。俺んとこ来ぃひん？恋してるでぇ。』

そんなコトを思い出していた

.

…着信音が切れた

留守電のマークだ。

『もしもし…芹澤やけど、突然なにが起きたんかわからへんよ。話しがしたいねん…』

いつもと少し違う声。
いつもは『俺や！』って電話してくるのに…

いつもと違う…
あづさは…
当たり前だった毎日はもぅ戻らないんだと実感した。

.

深呼吸をして…
　　彼に電話した‥

優しい声‥

『どないしたん？俺のコト嫌いになったんか？』

嫌いになれたら‥
遊びだったら‥
こんな苦しい想いしないよ‥

あづさはそんな気持ちを言葉に出来ずに黙り込んでいた。

.