狼男にご注意を
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#5 [
マイマイ
]
私は泣くことで恐怖を取り払うことしか知らなくて大声で泣きながらお父さんにしがみついた。
「おぅ…
ごめんな夜深(ヨミ)
びっくりしたな。
早く帰ろうか…」
お父さんは大きな手を私の頭の上にぽんぽんと乗せ優しく笑った。
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:08/03/29 09:27
:F904i
:U7Tq5nHk
#6 [
マイマイ
]
私はお父さんが大好きだった。優しくてぶっきらぼうだけど真っ直ぐで…
一途で照れ屋なお父さんが大好きだった。
「帰る…ッヒク…」
涙の余韻を残しながら私はお父さんの腰元に顔を埋めながら言った。
「よしっ…帰ろう。」
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:08/03/29 09:31
:F904i
:U7Tq5nHk
#7 [
マイマイ
]
お父さんは私の手をしっかりと握って歩き始めた。
「お父さん…
猪捕れなかったね…」
私はお父さんと手をつないで歩く帰り道の山道の中お父さんに言った。
「そーだなぁ…」
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:08/03/29 09:34
:F904i
:U7Tq5nHk
#8 [
マイマイ
]
お父さんは目を細めて綺麗に夜空に浮かぶ満月を見て言った。
「また村に降りてくるかも知れないね…」
そう…
近年、私達の住んでいる所の山里の畑は猪に荒らされ始めた。
「夜深…
悪いのは猪だけじゃ無いんだ。」
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:08/03/29 09:38
:F904i
:U7Tq5nHk
#9 [
マイマイ
]
「何でぇ??
猪は村を荒らす悪者だって先生言ってたよ??」
何も知らない私はお父さんの言っている意味がわからず首を傾げた。
「夜深…
猪が村に降りてくるのはお腹が空いているからなんだ。山にあった食べ物の木を人間が切り倒してしまったからね。猪達の食べ物が無くなってしまったんだよ。」
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:08/03/29 09:42
:F904i
:U7Tq5nHk
#10 [
マイマイ
]
私は少し難しい言葉の理解に苦労しながらも
"なるほど"と首を縦に振った。
「ハハハッ…
夜深には難しすぎたか?
さてと…
早く帰って風呂に入ろうか。」
お父さんは大きく笑って言った。
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:08/03/29 10:00
:F904i
:U7Tq5nHk
#11 [
マイマイ
]
「うんっ!!」
私は大きく頷いて笑った。
ーワオォーンッ…ワオォーンッ…
「あっ!!!
狼さんだぁ!」
私は楽しそうに言った。
「本当だなぁ…」
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:08/03/29 10:09
:F904i
:U7Tq5nHk
#12 [
マイマイ
]
満月に照らされた
2つの大小の影は…
ぴたりとくっ付き
ながら家路を辿った…
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:08/03/29 13:34
:F904i
:U7Tq5nHk
#13 [
マイマイ
]
ー−ー…‥・
「おとぉーさぁーんっ!
お山行ってくるー!!」
朝日が登り
霧が少し晴れたころ
小さな小屋に大きな声が響きわたった。
「おー…
気をつけてなぁ…」
お父さんの眠そうな声が聞こえたのを確認して私は玄関の扉を開いた。
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:08/03/29 13:43
:F904i
:U7Tq5nHk
#14 [
マイマイ
]
ーバタン
扉を閉めると小鳥の鳴き声が聞こえて、
山の隙間から太陽が覗いている。
「ふわぁぁあ…」
私は大きく欠伸をした。
「さてと…
早く行こっと!!」
.
:08/03/29 13:48
:F904i
:U7Tq5nHk
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