狼男にご注意を

　　

突然私の体が上下に動き始めた｡

牙塚恭弥が猛スピードで階段を下り始めたからだ｡

｢ｷｬｯ!!落ちるよっ!!｣

ゆさゆさと上下に揺れる体の反動で放り出されそうな予感がする｡

.

　　

｢落とさない｡｣

ｰﾄﾞｸﾝｯ

前を見つめながら言った牙塚恭弥はぎゅっと私を抱きしめた｡

｢…あなた…いったぃ…｣

私は首にしがみ付いたまま小さく呟いた｡

.

　　

｢ずっと会いたかったんだぞ…
ずっと探してた…｣

牙塚恭弥は走りながら私を見ずに少し悲しそうに言った｡

｢…?…わからないょ…｣

私は牙塚恭弥の胸元に顔を埋めて首を振った｡

｢いつか…わかるさ…｣

.

　　

彼は怪しげに笑って私に向かって言った｡

｢…あっ!!
ここっ!!ここだよっ!｣

私は彼の胸元を軽く叩いて言った｡

｢そうか…｣

ｰｶﾞﾗｯ

.

　　

｢お前らー…
遅い…ぞぉ!???｣

先生が目を点にして私たちを見る｡
教室中の視線が私たちに注がれる｡

｢…えぇぇえぇえっ!!｣

みんなが大きな声を出してざわめき始める｡

｢…へっ??｣

.

　　

私はすっかり忘れていたのだった…

自分の状況を…

｢夜深どーゆうこと!?｣

女子たちが怪しげに笑って大きく叫ぶ｡

｢ぇ…あっ!!!!
ちっ違っ…これはっ!｣

.

　　

私は牙塚恭弥にお姫様だっこされていることに気づき否定しながら､牙塚恭弥の腕の中で暴れる｡

｢わかったから…
席に着きなさい｡｣

先生は顔を少し赤らめてｺﾎﾝと咳払いをした｡

｢ちょっ…下ろしてっ!｣

.

　　

私が暴れながら言うと牙塚恭弥はゆっくりと私を床に下ろした｡

｢…っ///｣

私は下ろされた後､素早く席に着いた｡

ｰｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

(間に合ったんだ…)

.

　　

ストップします

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嬉しいですっ

感想板

　　

正直…
私には心当たりがあるの｡
牙塚恭弥が誰なのか…

でも…
ありえないよね…

まさか…
あの人が…

狼だなんて…

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