よすが
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#111 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「ふふっ、……あっはっははは!」
急におかしくなってきて、あたしは吹き出してしまった。
あたしは何を心配してたんだろう?
何も心配することなんか無いじゃない!
まだ笑っているあたしを、サトルは不思議そうな顔をして見ている。
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:08/04/08 23:17
:SH903i
:U9CTaOi2
#112 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「何でもない!」
あたしはそう言って、今度は逆にサトルの手を引っ張って歩き出した。
「なにー? 一人で笑ってずるーい! 何が面白いの? 僕にも教えてよ!」
サトルがいつものようにギャーギャーと騒ぎ始めた。
あたしはそれがなんだか嬉しくて、「秘密だよ」とだけ言って歩き続けた。
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:08/04/08 23:17
:SH903i
:U9CTaOi2
#113 [蜜月◆oycAM.aIfI]
家に着く頃には太陽は沈み切って、立ち並ぶ街灯や看板の明かりが道を照らしていた。
あたしは別れ際、帰り道の間に考えていたことをサトルに伝えた。
「明日ね、図書館に行こうと思ってるんだけど。……一緒に来てくれないかな?」
街灯の光で、二つの影が地面に伸びている。
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:08/04/09 01:01
:SH903i
:APNEtQ/Q
#114 [蜜月◆oycAM.aIfI]
明日は土曜で学校は休みだ。
あたしは、記憶喪失の原因になった事件のことを調べようと思っていた。
「珍しいね!」
目を真ん丸にして、嬉しそうにサトルがそう言ったけれど、あたしは何のことか解らない。
「ユキが僕についてきてなんて、今まで言ったことないよね」
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:08/04/09 01:01
:SH903i
:APNEtQ/Q
#115 [蜜月◆oycAM.aIfI]
――そうか、あたしが頼まなくてもサトルがいつもついてきてくれるからだ。
気がつかなかった。
あたしが一緒に居て欲しい時、何も言わなくてもサトルは来てくれてたんだ。
サトルは、どうしてあたしの気持ちが解るんだろう?
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:08/04/09 01:02
:SH903i
:APNEtQ/Q
#116 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「え、ユキ? ちょっとっ……どうしたの? ごめん、何か嫌だった?」
気がつくと、あたしの目から涙が一筋流れていた。
「ち、違うのっ……ごめんね、サトル。嫌なことなんか無いんだけど……」
自分でも驚きながら、溢れる涙を拭い、サトルに無理矢理作った笑顔を見せた。
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:08/04/09 01:03
:SH903i
:APNEtQ/Q
#117 [蜜月◆oycAM.aIfI]
多分この涙は、自分の不甲斐なさに対するものだと思う。
サトルがいつでもあたしを見てくれていたことに今更気付いた自分が、情けなかった。
「図書館一緒に行くから、だから泣かないで?」
そんなことで泣かないよ。
サトルの心配そうな顔がおかしくて、あたしは自然と笑顔になっていた。
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:08/04/09 01:04
:SH903i
:APNEtQ/Q
#118 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「うん、ごめんね。ありがと! じゃあ、明日ね」
あたしの笑った顔を見て安心したのか、サトルも笑顔で手をブンブンと振りながら帰って行った。
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:08/04/09 01:04
:SH903i
:APNEtQ/Q
#119 [蜜月◆oycAM.aIfI]
―V―
次の日、あたしたちは約束通り街にある図書館に来た。
さすが大都市の市立図書館だけあって、建物は古いけれど大きくて立派だ。入り口を抜けてすぐの大階段などは、古い映画に出てきそうな雰囲気を持っている。
もちろん、書物の量もかなりのものである。
ここなら、昔の新聞なんかも閲覧出来るはずだ。
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:08/04/09 01:05
:SH903i
:APNEtQ/Q
#120 [蜜月◆oycAM.aIfI]
十年前の新聞に、八歳の女の子が大怪我を負って意識不明になった、という記事があれば、きっとあたしのことだ。
「サトル、ここからここまで探して。あたしこっち探すから」
「はーい」
ちゃんと解ってるのかな、と不安になりつつ、新聞を一枚一枚めくって文字を眼で追う。
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:08/04/09 01:06
:SH903i
:APNEtQ/Q
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