よすが
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#190 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
トンネルのようなこの道を進むにつれて、あたしはひとつの確信を得た。

やはりこの道を使っている人がいる。

さっきの空間までの道のりを考えると、今歩いているところはかなり歩きやすかった。
ちょうど人ひとりが通れるギリギリの隙間が続いていて、足元に落ちている葉や草の量も他の場所より少ない。
飛び出している枝はどれも、少し体をひねればうまく避けられる。
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⏰:08/04/15 22:03 📱:SH903i 🆔:OfU8ov5.


#191 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
しかし歩きやすいとは言ってもそれはさっきの道と比べてのことで、やはり足場は悪いし時々は枝に引っかかれる。
あたしは顔を歪めながら、ゴールの見えない道を前へ前へと進む。

この道を通っているのは誰か。
その人物は、あたしの過去に関係があるのか。
何かを、知っているのか。
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⏰:08/04/15 22:05 📱:SH903i 🆔:OfU8ov5.


#192 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
今はまだ、何も解らない。
けれど、知りたければ進むしかないのだ。

あたしは後ろから響くサトルの靴音を聞きながら、何も考えず歩き続けた。

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⏰:08/04/15 22:06 📱:SH903i 🆔:OfU8ov5.


#193 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

足の痛みは、もう既に限界値を越えたように思えた。
この木のトンネルは、どこまで続くのだろう。

歩き続けた末に、あたしもサトルも疲れ果ててしまったが、それでも足を引きずるようにしてさらにゆっくりと進んでいた。
ふとトンネルの先に目をやると、乱立している木々の間から、自然の中にはありえない、灰色のコンクリートのようなものが見えた。
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⏰:08/04/15 22:07 📱:SH903i 🆔:OfU8ov5.


#194 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
驚きながらも少しずつ近づいていくと、それはコンクリートで出来た小さな建物だった。

建物の少し手前で、視界が開ける。
最後の木と木の間を通り抜けると、先ほどのものよりかなり大きな空間が現れた。
見上げると、さっきまで全く見えなかった空は、さらに雲を増やし、色を濃くしていた。
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⏰:08/04/16 18:53 📱:SH903i 🆔:ncWRAm.w


#195 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
その空間の真ん中に、コンクリートの建物が建っている。
近くで見ると、コンクリートを正方形に固めて壁の一部にドアを取り付けただけのものだった。
天井はどうか解らないが、見えるところに窓は一つも無い。


「なに、これ……」

不気味だった。
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⏰:08/04/16 18:54 📱:SH903i 🆔:ncWRAm.w


#196 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
自然しかないと思っていた山の中に、コンクリート製の箱がぽつりと置かれている。

あまりに不釣り合いで現実離れしたその光景に、あたしは次の言葉が出なかった。
それはサトルも同じだったようで、ぽかんとした顔でコンクリートの箱を眺めている。
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⏰:08/04/16 18:55 📱:SH903i 🆔:ncWRAm.w


#197 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは目の前にある異様な建物に、少なからず恐怖を覚えた。
戸惑いながら、その建物を観察する。
取り付けられたドアの近くに目をやると、焚火の跡のような燃えかすと灰が散らばっていた。

「ちょっと……ここ、誰か住んでるんじゃない?」
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⏰:08/04/16 18:55 📱:SH903i 🆔:ncWRAm.w


#198 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは小声でサトルに囁き、燃えかすの方を指で指し示した。
それを見たサトルは、驚いた表情でキョロキョロと周りを見回す。

「戻る?」

サトルに言われてあたしは少し迷ったけれど、引き返すのはやめた。
今さっきあたしたちが通ってきた森の中に戻り、木の影からコンクリートの箱を観察することにした。
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⏰:08/04/17 23:00 📱:SH903i 🆔:XxBpfdyc


#199 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
しかし、見れば見るほど不気味だ。
箱の高さはあたしの身長より頭三つ分ほど高い。
ところどころにシミがあるのを見ると、それほど新しくはなさそうだ。
ドアは鉄製のようで、かなり頑丈そうに見えた。

――何のために作られたんだろう……?
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⏰:08/04/17 23:01 📱:SH903i 🆔:XxBpfdyc


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