よすが
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#281 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
そう思ったのもつかの間、シートの間から伸びた男の手はハナの髪を優しく撫でた。
男の顔にはあたしを殴っていた時の凶暴さなど微塵もなく、ただ愛しそうにハナを撫でていた。
そして車を降り、ハナは男に抱かれあたしは無理矢理手を引っぱられ、山の中へ連れて行かれた。
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⏰:08/04/30 20:18 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#282 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
その時は訳がわからなかった。それがまだ誘拐だと思っていなかったあたしは、何か男の気に障るようなことをしてしまったんだと思った。

しかしそうではない。今ならわかる。
男はハナに自分の娘を重ねて見ていたのだ。

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⏰:08/04/30 20:18 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#283 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
男はあたしとハナを掠う少し前に、妻と娘を事故で亡くしていた。
十数年前に結婚し、あたしたちが住んでいた町から少し離れた別の街で暮らし、娘を授かった。
男は幸せだったという。愛する妻と可愛い娘と三人で、何の不満もない生活を送っていた。
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⏰:08/04/30 20:19 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#284 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
しかし絶望は突然訪れる。
酔っ払いが運転する車が買い物帰りの妻と娘を轢き、逃げた。
人通りの少ない道だったのが災いし、発見された時には二人とも息絶えていた。
男は自分よりも大切な家族を一度に失ったのだ。

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⏰:08/04/30 20:20 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#285 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
男とあたしとハナは山道を登っていたが、その途中であたしは転んでしまう。
あの山道で取り戻したわずかな記憶。あれはこの時のものだった。

しかしその日通ったのは、あたしとサトルが歩いた道とは別のルートだった。もっと緩やかで歩きやすい道だったはずだ。
しかし同じ山だからだろうか、道を挟む森が発する雰囲気はほとんど変わらない。
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⏰:08/04/30 20:20 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#286 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
ハナを抱きかかえた男に後ろからせっつかれながら、あたしは山道を登っているところだった。
あたしはつまずき、地面に身を屈めてうずくまった。地面を撫でながら。
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⏰:08/04/30 23:58 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#287 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは男が怖かった。
山道ではハナを抱えていたので、あたしに手を出せないと思ったのだ。そのための時間稼ぎと言うべきか。
この道の先にたどり着いた時何をされるのか不安でたまらなかった。
だからあたしは後ろに近づく男の様子を伺いながら、男からの暴行を少しでも先延ばしにしようとした。
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⏰:08/04/30 23:58 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#288 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
しかしあたしの目論みはあっけなく幕を閉じる。
男はハナを両手で抱きかかえたまま、うずくまったあたしの側頭部を蹴り付けたのだ。
あたしの体は痛みに耐え切れず土の上に崩れ落ちた。

頭の中で痛みと恐怖と後悔が渦巻き、あたしの目からはポロポロと涙がこぼれ落ちていた。
男はそれに構わず、抱えていたハナを下ろして動けなくなったあたしを乱暴に抱き上げた。
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⏰:08/04/30 23:59 📱:SH903i 🆔:xkpfSZAU


#289 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
その時、一瞬ハナと目が合った。
あたしのせいでこんな目に合わされたハナが、あたしをどんな気持ちで見ているのか気になった。
けれどあたしはすぐに目を逸らしてしまった。とてつもない罪悪感がそうさせたのだ。

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⏰:08/05/01 19:31 📱:SH903i 🆔:gckU4PYk


#290 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
今度はあたしが抱えられハナが男に手を引かれて、再び山道を登り出した。
その先で、あたしとサトルが発見したのと同じようにコンクリートの建物を発見する。
そしてあたしとハナはコンクリートの箱に監禁されることになる。
もしかすると男はそれがあることを知っていて連れてきたのかもしれないが、それは解らない。
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⏰:08/05/01 19:33 📱:SH903i 🆔:gckU4PYk


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