よすが
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#288 [蜜月◆oycAM.aIfI]
しかしあたしの目論みはあっけなく幕を閉じる。
男はハナを両手で抱きかかえたまま、うずくまったあたしの側頭部を蹴り付けたのだ。
あたしの体は痛みに耐え切れず土の上に崩れ落ちた。
頭の中で痛みと恐怖と後悔が渦巻き、あたしの目からはポロポロと涙がこぼれ落ちていた。
男はそれに構わず、抱えていたハナを下ろして動けなくなったあたしを乱暴に抱き上げた。
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:08/04/30 23:59
:SH903i
:xkpfSZAU
#289 [蜜月◆oycAM.aIfI]
その時、一瞬ハナと目が合った。
あたしのせいでこんな目に合わされたハナが、あたしをどんな気持ちで見ているのか気になった。
けれどあたしはすぐに目を逸らしてしまった。とてつもない罪悪感がそうさせたのだ。
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:08/05/01 19:31
:SH903i
:gckU4PYk
#290 [蜜月◆oycAM.aIfI]
今度はあたしが抱えられハナが男に手を引かれて、再び山道を登り出した。
その先で、あたしとサトルが発見したのと同じようにコンクリートの建物を発見する。
そしてあたしとハナはコンクリートの箱に監禁されることになる。
もしかすると男はそれがあることを知っていて連れてきたのかもしれないが、それは解らない。
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:08/05/01 19:33
:SH903i
:gckU4PYk
#291 [蜜月◆oycAM.aIfI]
コンクリートの建物の中には、何も無かった。ただコンクリートの壁が床と天井と四方を囲っているのみ。
照明器具もなく、あたしとサトルが確認したように窓もない為真っ暗だった。
ただでさえ怯えていたあたしとハナは、そのせいで余計に心細さを感じた。
その上、あたしが予想した通り内部はかなり寒かった。暖房などあるわけもなく、真冬の空気はコンクリートをしっとりと、しかし確実に冷やしていた。
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:08/05/01 19:33
:SH903i
:gckU4PYk
#292 [蜜月◆oycAM.aIfI]
次の日、男は厚手の毛布と電池式の懐中電灯を三つほど用意してきてそれをあたしとハナに与えた。
あたしたちは閉じ込められている間、真っ暗な闇の中で毛布を体に巻き付け懐中電灯を点し、恐怖と寒さをやり過ごした。
それでも抑え切れず、二人で抱き合って泣いたこともあった。
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:08/05/01 19:34
:SH903i
:gckU4PYk
#293 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしが男から解放されたのは、確か二週間ほど過ぎた頃だった。
その時まで、ほとんどの時間をあたしとハナはコンクリートの箱の中で過ごした。
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:08/05/03 21:44
:SH903i
:wLA6FCfI
#294 [蜜月◆oycAM.aIfI]
男がそこに来た時だけ、あたしたちは外に出ることを許された。
男は大概昼前に来て、外側にくくりつけた南京錠を外しドアを開ける。
そして昼食を与え、外に出てあたしたちが食べ終えるのを待つ。
しばらくすると再びドアが開き、あたしかハナのどちらかを選んで連れてゆく。
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:08/05/03 21:45
:SH903i
:wLA6FCfI
#295 [蜜月◆oycAM.aIfI]
男は正気を失っていた。
あたしとハナのことを“ユウコ”と呼ぶのだ。死んだ娘の名前だった。
外に連れ出したあたしやハナをそう呼び、まるで本当の娘であるかのように接する。
そして自分の妻のことや家族三人の思い出を、いつもあたしたちに語りかけた。そうしている間はとても優しかった。
あたしもハナもそれに相槌を打ち話を合わせ、彼の娘のように振る舞った。そうしなければ、後に待ち受ける仕打ちが恐ろしかったのだ。
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:08/05/03 21:47
:SH903i
:wLA6FCfI
#296 [蜜月◆oycAM.aIfI]
しかし長くは続かない。
必死に頭を巡らせ男の望む返答をしようとするが、どうしてもわからないこともある。
男が問いかけてくることに、娘でないあたしたちは答えられないのだから。
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:08/05/03 21:49
:SH903i
:wLA6FCfI
#297 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしたちが返事に困って黙り込んだり男の記憶と食い違ったりすると、男は豹変する。優しかった微笑みは恐ろしい顔に変わり、目を剥いて怒鳴り始める。
「お前……オレを騙したのか! ユウコをどこにやった! オレのユウコを返せ!」
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:08/05/03 21:50
:SH903i
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