よすが
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#327 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
頬を平手打ち――痛い――また頬を――耳がちぎれそう――引っ張らないで!――押し倒され――頭を地面に打った――割れそう――背中に激痛――目に液体が――血!――お腹――肩――腿――頭――痛――止まらない――脇腹――嫌な音――もうやめて!


――意識を失いそうだった。
あたしはやはり謝り続けていたけれど男の手はいつまでたっても止まることなく、あたしは、死を覚悟した。
その時。

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⏰:08/05/11 22:16 📱:SH903i 🆔:1rttUfes


#328 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「パパ!」


ハナの……声だ。


「パパ、やめて!」


あたしの体に降り注いでいた痛みが止み、男が振り向いた気配を感じた。血が目に膜を張ってよく見えない。

⏰:08/05/12 22:14 📱:SH903i 🆔:58D7rq3M


#329 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「ユウコ……」

「パパ、やめて。あたしの大事な友達なの」

ハナの声が少し震えている。でもその言葉ははっきりとあたしの耳に届いた。

――やっと……きた。

これがあたしたちの考えた方法だった。
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⏰:08/05/12 22:16 📱:SH903i 🆔:58D7rq3M


#330 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「友達?」

「そう、あたしの、……ユウコの友達。だからやめて」

地面に倒されたまま、あたしは目だけを動かしてハナの姿を探した。
世界が赤い。流れてくる血が眼球にまとわりついて視界が赤くぼやけている。
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⏰:08/05/12 22:17 📱:SH903i 🆔:58D7rq3M


#331 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「友達……ユウコの……」

「そうだよ、もう帰らないといけないの」

涙が血を洗い、少しずつ周りの様子が見えてくる。
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⏰:08/05/13 21:48 📱:SH903i 🆔:ih.RNmQk


#332 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
暮れ始めた薄赤い空の下に男が立っていて、その顔は向こう側に向けられている。
男の視線の先には、ハナが立っていた。拳を握りしめ、強張った表情でじっと男を見つめている。
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⏰:08/05/13 21:48 📱:SH903i 🆔:ih.RNmQk


#333 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは体を支えようと腕に力を入れた。
ズキン、と右肩が痛む。
それでも歯を食いしばり、なんとか上半身を起こした。
まだハナと男は見つめ合っている。
あたしの荒い呼吸だけが、静かな森の中に響いていた。
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⏰:08/05/13 21:49 📱:SH903i 🆔:ih.RNmQk


#334 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「……友達?」

男が同じ言葉を繰り返す。今度はあたしの方をチラリと見た。

「そう、友達」

ハナは男から目を離さない。ほとんど睨みつけるようにしながら震える声で呟いた。
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⏰:08/05/13 21:50 📱:SH903i 🆔:ih.RNmQk


#335 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「帰らなきゃいけない……?」

焦点の合わない目で男はあたしを見る。
あたしは祈るような気持ちで男を見上げていた。

――お願い……お願い!

あたしの呼吸が冷たい空気に響く。

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⏰:08/05/14 01:38 📱:SH903i 🆔:GAsvctc6


#336 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「……そうか。じゃあ近くまで送ってあげなさい、ユウコ」

男の目があたしからハナに移る。
それを追ってあたしもハナの方を見遣ったけれど、何だか視界がぼやけている。でも赤くはない。
安堵からか、痛みからか。意識が遠のく。
体を支えていた腕の力が抜けていく。
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⏰:08/05/14 01:39 📱:SH903i 🆔:GAsvctc6


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