よすが
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#436 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「うん、全部分け合おう。あたしの十年は、ハナの十年でもあるんだもん」

あたしは腕を広げてハナの体を思いっきり抱きしめた。

「ハナ、ユキー!」

叫びながらガバッと抱き着いてきたのはサトルだ。すっかり忘れていた。
ハナとあたしが抱き合っているところにさらに覆いかぶさってきたサトルは号泣している。
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⏰:08/06/08 00:03 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#437 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「よかったー! あぁ〜もうホントによかったー! うあぁぁぁん」

さっきまで静かだったのは我慢していたからのようで、それがはち切れて大変なことになっている。
サトルを自分達からはがして、あたしとハナは顔を見合わせて吹き出した。
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⏰:08/06/08 00:05 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#438 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「もう、サトルはホントに変わらないねぇ」

そんなことを言いながら楽しそうにしているハナを見てあたしは、これは夢じゃないんだと実感していた。
そして。

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⏰:08/06/08 00:06 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#439 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「わぁー!」
「きゃあ!」

急に辺りが光に包まれ、大きな爆発音が響いた。
一瞬にして闇に戻ったかと思うと、再び空から眩しいくらいの光が降り注ぎ地面を揺らすような低い音が届いた。
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⏰:08/06/08 00:06 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#440 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「花火だ!」

立ち上がって叫んだかと思うと、サトルはもと来た方向へと走り出す。
あたしたちが呆気にとられてその姿を見ていると、くるっと振り返ってパタパタと手招いた。

「二人とも何してるの、早く!」

サトルの焦った声にあたしとハナも慌てて立ち上がり、サトルの後に続いて走り出した。


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⏰:08/06/08 00:07 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#441 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
再びコンクリートの箱がある場所へと戻ったあたしたちは、空を見上げて息を飲んだ。

どこから打ち上げられているのかわからない花火は、あたしの視界いっぱいに光の粒をばらまいた。
ぽっかりと木々を失った空間は、まるでその為に用意された特等席であるかのように空を切り取っている。
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⏰:08/06/08 00:07 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#442 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは言葉を忘れたように、ぽかんと口を開けて明るくなったり暗くなったりする空を眺めていた。

しばらくそうして立ち尽くしていたら、ハナが口を開いた。

「あの時も、花火があがってたね」
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⏰:08/06/08 00:08 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#443 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
そういえば……十年前あたしがここを去った時、意識が途絶える直前に花火が打ち上げられていたんだった。
空に広がった光がハナの顔を照らしていたのをよく覚えている。

「うん」

今、あたしの隣にいるハナは、空の一点をじっと見つめている。
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⏰:08/06/08 00:17 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#444 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「毎年この時期に花火があがるの。近くで花火大会があるんだと思うけど……。
ユキがいなくなって、何にもなくなったあたしの唯一の楽しみだったんだ、冬の花火」

「ハナ……」

見上げていた顔を隣にいたハナに向ける。
ハナは相変わらず空を眺めている。その表情は生き生きとして、希望に満ちていた。
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⏰:08/06/08 00:18 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#445 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「ハナ、あたし……」

「ストップ! ……今謝ろうとした? さっきも言ったけど、ユキが負い目を感じる必要はないんだよ? あたしがこうなることを望んで選んだんだから」
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⏰:08/06/08 00:20 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


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