よすが
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#670 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼女の瞳が、熱を持ち始める。
『そして。それが現実に起こったとき、わたしは死ぬの。そう例えば、あなたのくちびるの熱を、わたしのここで感じることができる、とかね』
そう言って彼女は微笑み、人差し指で自分のくちびるに触れた。
『ねぇ、わたしを殺してみて?』
:22/10/25 18:14
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#671 [○○&◆.x/9qDRof2]
五秒後、ぼくはきみを殺した。
まだ息をしているきみのくちびるが、柔らかく、柔らかく微笑んだ。
fin
:22/10/25 18:15
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#672 [○○&◆.x/9qDRof2]
愛しているんだ、
例え誰が死んだって。
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何日もかけて選んだ婚約指輪。君は気にいってくれるかな?君が琥珀色を好きだというのは知っていたけど、なかなかいい物が見つからなかった。だけどこの水色も綺麗だろう?君がよくしてる、ネックレスに似ている。
どんな顔をするだろう。
:22/10/25 18:15
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#673 [○○&◆.x/9qDRof2]
笑って、笑って、笑うだろう。キスをして、抱きしめて。それからやっぱり、琥珀色が良かったわ、なんて言うのかな。想像の中の君は少しふてくされて、だけどとても満ち足りた笑顔で。そして僕は言うんだ。
『結婚指輪は、琥珀色にしよう。』
女性はロマンチックが好きだろう?夜景なんかどうだろう?今日のために洗車もしてきた。そんなことは、言わないけどね。
:22/10/25 18:16
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#674 [○○&◆.x/9qDRof2]
さぁ乗って、未来の話をしよう。
予想通り君は少しふてくされて、だけど幸せそうだった。
幸せにするからね。
そういう僕の言葉に重なるように、白い光と車のブレーキ音が僕たちを包んだ。明るすぎるその光に、助手席に座る彼女の顔が白くなる。明るすぎるよ、彼女の顔が見えないじゃないか。
--- 気がつくと目の前には、見慣れた人の顔。白くはなかった、赤かった。彼女の目は閉じられていた。嘘だろう。この、赤は、なんだ。嘘だろう。ねぇ起きて。
:22/10/25 18:16
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#675 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼女の体を揺さぶろうにも、僕の体も動かない。いくら大声で名前を叫んでも、彼女はぴくりとも動かない。それはまるで、僕の声なんかこの世界に響いていないような、そんな気がして。
動かない、意識だけ。
動けよ僕の躯、動け。
救急車を呼ぶんだ、彼女を助けて。
:22/10/25 18:16
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#676 [○○&◆.x/9qDRof2]
まだ生きてるかもしれない。呼吸の音が聞こえない?僕の耳がおかしいんだ。名前を呼んでも届かない?僕の声が、枯れてるんだ。どうして僕が生きてるんだ。生きるべきは、彼女だろう。お願い神様、僕はどうなってもかまわないから。
ほら左手の薬指。僕が買った指輪はそんな色じゃない
:22/10/25 18:16
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#677 [○○&◆.x/9qDRof2]
抱きしめて、キスしたい。
指輪に関する話を聞いてほしい。結婚指輪は、きっと琥珀色にするから。
彼女の目が、開いた。
生きて、いる。
ありがとう神様、ありがとう。本当にありがとう。これから何があっても僕が彼女を幸せにする。さぁ、元気になって、未来の話をしよう。
:22/10/25 18:17
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#678 [○○&◆.x/9qDRof2]
僕たちこれから、幸せになるんだ。彼女の目が完全に開く。ただ僕だけを映してくれる瞳は、あの日からずっと、変わらないね。良かった、もう大丈夫。体は動くかい?悪いけど、救急車を呼んでもらえる?
:22/10/25 18:17
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#679 [○○&◆.x/9qDRof2]
僕はさっきから、何故だか体が動かない。彼女の目に涙がたまる。嗚呼、心配しないで。意識ははっきりしてるから。君のことずっと、考えられるくらいには。彼女は何か叫びながら、僕の体を揺さぶった。揺れる視界に、君の泣き顔だけが映る。
:22/10/25 18:17
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