よすが
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#70 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「私は、ユキちゃんの身に起きたことを全て知ってる訳ではないの。それでも、私が知っていることは全て伝えるべきだと思ってる。お母様とお父様は、何も話してくれなかったのね?」

先生の言葉が、核心に触れた。
あたしは思わず目を逸らし、息を一つ吐いて背筋を伸ばす。

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⏰:08/04/05 00:24 📱:SH903i 🆔:Ltba8Hdw


#71 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「はい。父と母は、……昔の話をしたがらないんです。何年か前まではあたしも知りたかったから、聞いてみたりしてたんですけど……今はもうあたしから聞くこともありません。きっと父と母は、あたしのことが心配なんだと思います。
……あたしが今こうやって昔のことを調べてること、父と母は何も知りません。もうこれ以上心配かけたくないから……黙ってるつもりです」
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⏰:08/04/05 00:25 📱:SH903i 🆔:Ltba8Hdw


#72 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは途切れ途切れになりながらも、心の内を吐き出した。
伏せていた目を上げて先生の方を見ると、やはりまだ真剣な顔をしている。
いつでも優しく笑っていた中山先生の顔に笑顔が無い。

それだけであたしは、とてつもない不安に襲われた。
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⏰:08/04/05 00:25 📱:SH903i 🆔:Ltba8Hdw


#73 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
きっとあたしの顔が強張っていたのだろう。
先生は表情をふっと柔らげて、微笑んでくれた。

「そう……ユキちゃんはすごく大きな決断をしたのね。やっぱり立派になったわ」
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⏰:08/04/05 00:26 📱:SH903i 🆔:Ltba8Hdw


#74 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
嬉しそうにそう言ってくれる先生を見て、あたしはなんだかほっとした。と同時に、少し照れ臭くなってサトルの方を見た。
サトルはやっぱり心配そうな瞳でこちらを見ていたので、あたしはにこっと笑いかけた。
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⏰:08/04/05 01:47 📱:SH903i 🆔:Ltba8Hdw


#75 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしも、先生があたしにしてくれたように、サトルを安心させたかったのだ。
サトルの顔がほころんだのを確認して、あたしは再び先生に目を戻した。

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⏰:08/04/05 01:48 📱:SH903i 🆔:Ltba8Hdw


#76 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「先生の話をする前に、ユキちゃんが知っていることを話してくれるかしら?」

あたしは先生にそう言われて、悩んでしまった。
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⏰:08/04/05 03:55 📱:SH903i 🆔:Ltba8Hdw


#77 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「知ってることって言っても……入院してから半年で意識を取り戻して、それから三ヶ月ぐらいで退院して転校した……ぐらいしか解らないんです」
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⏰:08/04/06 00:35 📱:SH903i 🆔:Q83A9i1s


#78 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは、何か他に思い出せることは無いかと頭をフル回転させたけれど、記憶の壁はやはり厚く、突き破ることは出来なかった。
なんだか、自分で自分が情けなかった。
授業中先生に当てられた時に、簡単な問題で正解はわかっているはずなのに答えられない、そんな気分だった。

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⏰:08/04/06 00:36 📱:SH903i 🆔:Q83A9i1s


#79 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「そう……あれから何も思い出さなかったのね」

「あれから……?」

先生の言葉の意味が解らなくて、思わず聞き返すあたし。
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⏰:08/04/06 00:36 📱:SH903i 🆔:Q83A9i1s


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