よすが
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#1 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
初めまして、蜜月と申します(*´∀`)

更新は大体夜中になります(・ω・*)
どーぞよろしくお願いします★


↓感想板はこちら
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ご意見やアドバイスなんかもいただけると有り難いですっ


↓あらすじはこちら
>>2

⏰:08/04/02 23:45 📱:SH903i 🆔:KU4lIxIQ


#2 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
幼い頃、ある事件に巻き込まれ記憶を失った少女。
十八歳になった彼女は記憶を取り戻す為、幼馴染みの少年を連れて過去へと遡る。
記憶を辿る中で明らかになってゆく事件の全容と彼女の知らない事実。
そして幼馴染みの少年に隠された秘密……。
事件のあった場所で彼女を待ち受ける真実とは――?

⏰:08/04/02 23:50 📱:SH903i 🆔:KU4lIxIQ


#3 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

では、本編スタートです(・∀・)ノ


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⏰:08/04/03 00:07 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#4 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
――あの日、季節外れの花火の下で約束したこと、まだ覚えてる?

私の生きる縁(よすが)は、君だよ――

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⏰:08/04/03 00:08 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#5 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
―T―


授業開始のチャイムが校舎に鳴り響く中、冬だというのにあたしは一人屋上で考え事をしていた。


昼休み、いつも通り自分の教室で友達と一緒に弁当を食べた後、一人になりたくて屋上に来た。
昔のことを考えている内に、昼休みが終わってしまっていた。

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⏰:08/04/03 00:10 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#6 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

今まで授業をさぼったことなんて無かったけれど、今日は教室に戻りたくなかった。

授業よりも、自分の過去と向き合うことの方が今のあたしには重要に思えたから。


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⏰:08/04/03 00:12 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#7 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
昨日の夜、夢を見た。
あたしは、小さな女の子と一緒にいた。

長い長い坂道を、あたしたちは手を繋いで登っていた。
登っても登っても、終わらない登り坂。

あたしの口が言葉を発した。

「あなたは……だあれ?」

「私は……」


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⏰:08/04/03 00:14 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#8 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
目が覚めた時には、女の子の顔は忘れてしまっていた。

けれど、あたしはあの子を知っている。
そんな気がする。


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⏰:08/04/03 00:15 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#9 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

八年間。

あたしには、八歳までの記憶が無い。

病院のベッドで目を覚まし、父と母が泣きながらあたしを抱きしめているのが、一番古い記憶。

八年間をどこかに落としたまま、あたしは十八歳になってしまった。

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⏰:08/04/03 00:17 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#10 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
何があったのか思い出そうとしても、何一つ思い出せない。
父や母に何度も聞いてみたけれど、答えは毎回同じ。

「あなたは知らなくていいの。これからは普通に暮らしていこうね」

あたしたちに、何か普通でないことが起きたのだろう。

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⏰:08/04/03 00:20 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#11 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
父や母がその問いに答える時の顔には決まっていつも、悲しみが浮かんでいた。
しかし同時に、あたしへの愛情に満ちていた。

だからあたしは、過去を捨てて今を生きることにした。

父と、母とともに。


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⏰:08/04/03 00:21 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#12 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
けれど昨日の夢は、あたしに過去を取り戻させようとしている気がした。

今まで考えないようにしてきたけれど、やはりいつかは向き合わなければいけないことをあたしは知っていたのだと思う。

そのいつかが今だと、昨日の夢があたしに知らせていた。

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⏰:08/04/03 00:23 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#13 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
そしてあたしは、落としてしまった自分の八年間を、あたしの頭の中に閉じ込められた記憶を、探し出す。そう決心した。



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⏰:08/04/03 00:24 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#14 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

屋上で冷たい風に吹かれながら、十年前のことを考えてみる。

病院で目を覚ました時、あたしの頭や腕には包帯がぐるぐるに巻かれていた。
父と母はその体を抱きしめながら、あたしの名前を呼んでいた。

「ユキ、ユキ! ああ、良かった……ユキ」

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⏰:08/04/03 00:25 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#15 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
それが一番古い記憶。
何度頭を痛めても、やはりそれ以前のことは思い出せない。

しかし八歳のあたしは、意識が戻ってもすぐには退院出来なかった。
体の傷がかなりひどかったらしく、目を覚ますまでにかなり回復していたけれど、それでもその後三ヶ月は治療が続いた。

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⏰:08/04/03 00:26 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#16 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
病院では、いつも父か母が一緒にいてくれた。
一度、偶然二人とも傍にいない時に、他の入院患者に聞いてみたことがある。

「あたし、いつからここにいるの?」

「半年くらい前からかしらね。あなたのお父さんとお母さんは、その間毎日来てらっしゃったのよ。感謝しなくちゃね」

同じ病室のおばさんは、穏やかな笑顔でそう教えてくれた。


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⏰:08/04/03 00:31 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#17 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

傷が治って退院した後、あたしは新しい学校に転入した。
そもそも、前の学校のことも友達のことも何も覚えていないのだから、あたしにとっては同じことだった。

後になって父から聞いたのだが、あたしたちはもともと田舎の方に住んでいたらしい。
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⏰:08/04/03 00:34 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#18 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
父も母も、あたしの記憶が無い頃の話を未だにしようとしないが、その話をした時の父はひどく酔っていた。
田舎から、同じ県内の中心部であるこの街に引っ越して来たのだと言ったきり、父は黙ってしまった。

その時あたしは、父が普段なら絶対に口にしない過去の話をしたことと、いつもとは違う父の雰囲気に驚き、何も言えなかった。

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⏰:08/04/03 00:34 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#19 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
それからは元通り、父も母も過去の話には触れなかった。


転校してからは特に不自由なこともなく、中学に上がり、受験戦争を乗り越え高校に入学、と普通の毎日を過ごしてきた。

両親が望んだ通り、普通の生活。

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⏰:08/04/03 00:36 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#20 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

あたしは今、その普通から飛び出そうとしているのかもしれない。
自分の記憶を取り戻すことによって、今の普通で幸せな生活が壊れてしまうかもしれない。
そうなった時、あたしはどうすればいいのだろうか。

――怖い。

傷だらけになり記憶をなくした幼い自分が蘇る。またあんな風になってしまうのか……。

恐怖、その感情があたしを支配しそうになる。
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⏰:08/04/03 00:38 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#21 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
けれど、あたしは過去を受け入れる。そう決めたのだ。
ぎゅっと目をつむり、恐怖を向こう側へ押しやる。

しかし、父と母にはもう心配をかけたくなかった。悲しませたくなかった。
何があったのか、二人には聞けない。

でも、他に手掛かりは無い。

――あたしの過去に続く道は何処……?


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⏰:08/04/03 00:39 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#22 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

騒がしい声が聞こえてきて、思考を中断させられた。
屋上を囲っている柵越しに校庭を見下ろすと、家に帰ろうとする者や部活の準備をしている生徒が大勢歩いている。

とりあえず家に帰ろうと教室に戻ると、一人の男子生徒があたしを待っていた。

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⏰:08/04/03 00:42 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#23 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「ユキー、どこ行ってたんだよー? 保健室行ってもいないし。鞄置きっぱなしだし。午後の授業出なかったんだってー?」

この男子生徒、サトルは、あたしが転校した小学校で出会った、一つ年下の幼なじみのようなもの。
彼とは家が近く、学校の行き帰りを共にすることも多かった。

「ごめんごめん、ちょっと考え事してたらこんな時間になってた。帰ろうか?」
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⏰:08/04/03 00:43 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#24 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは笑って答えながら鞄を手に取った。

「うん!」

サトルを見ていると、人懐っこい子犬みたいだといつも思う。
眩しいくらいの笑顔で返事をするサトルを見て、なんだか安心してしまった。

――あたしは変わらない。
例え何があろうと、あたしには大切な人たちがいるから。


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⏰:08/04/03 00:44 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#25 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

学校を出て、サトルと並んで歩いていた。
そうしていても、昨日の夢のことが頭を巡ってしまう。

「ユキ、ユキ!」

サトルがあたしの顔の前で片手を振っている。
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⏰:08/04/03 00:46 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#26 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「どうしたの? なんか今日変だよ、ユキ。何かあった? 誰かに虐められた?」

サトルが本気で心配してくれているのが解る。

「サトル、今日時間ある?」

「あるけど、何?」

あたしはサトルを連れて学校の近くのコーヒーショップに入った。

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⏰:08/04/03 01:09 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#27 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
サトルはちょっとバカだけど、いざという時は頼りになるし、心の底から信じられる友達だ。

出会ってすぐの頃、サトルとあたしとあたしの母と、三人で大型のショッピングセンターに出掛けたことがあった。
あたしとサトルは楽しくて、母の言うことを聞かずに走り回って遊んでいたら、いつの間にか母とはぐれてしまった。

複雑な構造のショッピングセンターの中で、あたしとサトルは母を探してあちこち歩き回ったけれど、母の姿はどこにもない。
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⏰:08/04/03 01:10 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#28 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは心細くなって、泣き出してしまった。
するとサトルは、そんなあたしの手を引っ張って、近くにいた店員さんに話しかけた。

「迷子になっちゃったんですけど、どこに行ったらいいですかっ」

サトルの顔は真っ赤だった。きっとサトルも心細かったに違いない。
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⏰:08/04/03 02:11 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#29 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
迷子の放送をしてもらい、母が迎えに来てくれたとき、サトルも泣き出してしまった。
あたしが不安にならないように、我慢していたのだろう。

それがすごく嬉しかったし、あたしには一つ年下のサトルがとても強く見えた。

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⏰:08/04/03 02:11 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#30 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

大通りに面したコーヒーショップの窓際の席に座り、あたしはサトルに夢のこと、過去のことを全て話した。

サトルは何も知らない。
今まで、あたしの中で過去の話はタブーだったから。

初めて聞くあたしの話に、サトルは一生懸命耳を傾けてくれた。
たまに理解出来ないところを聞き返してくることもあったけれど、それ以外は黙って聞いてくれた。
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⏰:08/04/03 02:14 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


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