よすが
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#101 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしが意識を取り戻した時、それまでの記憶は失っていたけれど、両親のことはしっかり覚えていた。
父と母とどうやって暮らしてきたかは忘れてしまっていたが、目の前にいる二人は間違いなく自分の両親だと認識していた。
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:08/04/08 00:21
:SH903i
:U9CTaOi2
#102 [蜜月◆oycAM.aIfI]
もし、妹と四人で生活していたのなら、何故あたしの頭から妹だけがすっぽりと抜け落ちているのか。
それを考えると、何か不思議な力の存在を感じた。
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:08/04/08 00:23
:SH903i
:U9CTaOi2
#103 [蜜月◆oycAM.aIfI]
――一体何が……?
あたしと妹に何があったの?
妹は……? 妹はどうして戻らなかったの?
ああ……思い出せない。
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:08/04/08 00:23
:SH903i
:U9CTaOi2
#104 [蜜月◆oycAM.aIfI]
先生はあたしたち家族について話し終えると、自分が知っていることはこれだけだと言って、あたしを落ち着かせる為に温かいお茶を煎れなおしてくれた。
気持ちが十分に落ち着く前に空が暗くなって来たので、あたしは呆然としたまま小学校を後にした。
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:08/04/08 23:11
:SH903i
:U9CTaOi2
#105 [蜜月◆oycAM.aIfI]
帰りがけ、先生がサトルに「ユキちゃんをお願いね」と言っているのが聞こえたが、あたしの頭の中を通り過ぎていった。
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:08/04/08 23:12
:SH903i
:U9CTaOi2
#106 [蜜月◆oycAM.aIfI]
電車の揺れに身を任せていると、急にサトルに手を引っ張っられて、降りるべき駅に着いたことに気付いた。
駅構内の人込みの中、サトルに手を引かれて歩く。
サトルの背中しか見ていなかったあたしは、すれ違う人に何度もぶつかり、その度にあたしの腕を掴むサトルの手に力が入る。
昔、ショッピングセンターで迷子になった時のことを思い出した。
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:08/04/08 23:13
:SH903i
:U9CTaOi2
#107 [蜜月◆oycAM.aIfI]
――あの時と同じだ。
あたしはあの時のまま……一人では何も出来ない、弱いままだ。
でもサトルは違う。
前を向いてずんずん進んでいくサトルの表情は見えないけれど、後ろ姿だけで解る。
サトルは……逞しくなった。
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:08/04/08 23:14
:SH903i
:U9CTaOi2
#108 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あの時も強いと思ったけれど、今のサトルには“強い”よりも、“逞しい”という言葉が似合う。
こんな面倒なことに巻き込んだあたしを、サトルは気遣い、支え、信じてくれる。
それを無駄にはしたくない。
サトルが信じていてくれる間は、あたしは何も諦めない。
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:08/04/08 23:14
:SH903i
:U9CTaOi2
#109 [蜜月◆oycAM.aIfI]
――でも……サトルは今、何を考えているんだろう?
「ねえ、サトル」
駅から家に向かう道の途中で、あたしは声をかけた。
あたしの手を引いて前を歩いていたサトルが、立ち止まると同時にくるっと振り向いた。
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:08/04/08 23:15
:SH903i
:U9CTaOi2
#110 [蜜月◆oycAM.aIfI]
振り向いたサトルの表情は、……笑顔だった。
いつもの、人懐っこい子犬のような笑顔。
「なあに?」
見慣れた笑顔が目の前にあった。
きっとサトルは、心配そうな、困ったような顔をしているんだろうと、あたしは思っていたのに。
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:08/04/08 23:16
:SH903i
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