よすが
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#114 [蜜月◆oycAM.aIfI]
明日は土曜で学校は休みだ。
あたしは、記憶喪失の原因になった事件のことを調べようと思っていた。
「珍しいね!」
目を真ん丸にして、嬉しそうにサトルがそう言ったけれど、あたしは何のことか解らない。
「ユキが僕についてきてなんて、今まで言ったことないよね」
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:08/04/09 01:01
:SH903i
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#115 [蜜月◆oycAM.aIfI]
――そうか、あたしが頼まなくてもサトルがいつもついてきてくれるからだ。
気がつかなかった。
あたしが一緒に居て欲しい時、何も言わなくてもサトルは来てくれてたんだ。
サトルは、どうしてあたしの気持ちが解るんだろう?
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:08/04/09 01:02
:SH903i
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#116 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「え、ユキ? ちょっとっ……どうしたの? ごめん、何か嫌だった?」
気がつくと、あたしの目から涙が一筋流れていた。
「ち、違うのっ……ごめんね、サトル。嫌なことなんか無いんだけど……」
自分でも驚きながら、溢れる涙を拭い、サトルに無理矢理作った笑顔を見せた。
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:08/04/09 01:03
:SH903i
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#117 [蜜月◆oycAM.aIfI]
多分この涙は、自分の不甲斐なさに対するものだと思う。
サトルがいつでもあたしを見てくれていたことに今更気付いた自分が、情けなかった。
「図書館一緒に行くから、だから泣かないで?」
そんなことで泣かないよ。
サトルの心配そうな顔がおかしくて、あたしは自然と笑顔になっていた。
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:08/04/09 01:04
:SH903i
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#118 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「うん、ごめんね。ありがと! じゃあ、明日ね」
あたしの笑った顔を見て安心したのか、サトルも笑顔で手をブンブンと振りながら帰って行った。
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:08/04/09 01:04
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#119 [蜜月◆oycAM.aIfI]
―V―
次の日、あたしたちは約束通り街にある図書館に来た。
さすが大都市の市立図書館だけあって、建物は古いけれど大きくて立派だ。入り口を抜けてすぐの大階段などは、古い映画に出てきそうな雰囲気を持っている。
もちろん、書物の量もかなりのものである。
ここなら、昔の新聞なんかも閲覧出来るはずだ。
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:08/04/09 01:05
:SH903i
:APNEtQ/Q
#120 [蜜月◆oycAM.aIfI]
十年前の新聞に、八歳の女の子が大怪我を負って意識不明になった、という記事があれば、きっとあたしのことだ。
「サトル、ここからここまで探して。あたしこっち探すから」
「はーい」
ちゃんと解ってるのかな、と不安になりつつ、新聞を一枚一枚めくって文字を眼で追う。
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:08/04/09 01:06
:SH903i
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#121 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしと妹の事件が新聞に載っているという確信は無いけれど、確率は高いと思っていた。
――何か……些細なことでもいいから手がかりが見つかりますように……。
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:08/04/09 01:10
:SH903i
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#122 [蜜月◆oycAM.aIfI]
何十枚、何百枚と新聞をめくったけれど、あたしが探している記事はどこにも見当たらなかった。
ふと腕につけている時計を見ると、針は三時過ぎを指していた。
昼過ぎに食事を取りに出た以外は、休憩もせずに探し続けていた。
――見逃してしまったかな、それともそんな記事無いのかも……。
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:08/04/09 01:12
:SH903i
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#123 [蜜月◆oycAM.aIfI]
そんな考えが頭をよぎり、一定のペースで新聞をめくっていたあたしの手が止まる。
サトルはと言えば、文句ひとつ言わず、あたしと同じくらい真剣な目で探してくれている。
あたしが感謝の眼差しで見ていると、そのサトルの目が新聞の一点に止まった。
「……あったよ」
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:08/04/09 01:13
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