よすが
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#183 [蜜月◆oycAM.aIfI]
柔らかい土が、あたしの靴底を受け止める。
思っていたより自分の気持ちが落ち着いていることに、逆に驚く。
ゆっくりと足を進め、あたしは空間の中心に到達した。
茶色い土、太い木、枯れた草、落ち葉。ぐるりと見回しても、それ以外何もない。
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:08/04/14 00:25
:SH903i
:a42MtXbw
#184 [蜜月◆oycAM.aIfI]
この空間の中にあたしは倒れていたのだろう。
二人してこれほど苦労してたどり着いた場所にいたあたしを、なぜ発見出来たのかわからない。
昔はここまで荒れていなかったのだろうか。
それとも散歩中の犬かなにかが嗅ぎ付けたのだろうか。
もし、見つけてもらえなければ多分……あたしも死んでいたかもしれない。
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:08/04/14 00:26
:SH903i
:a42MtXbw
#185 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしはその場に寝転んでみた。
空間のど真ん中に大の字になって、木や葉の隙間から空を仰ぐ。
また何か思い出せるかもしれないと思ったのだ。
横向きに寝転んだり、俯せになったりしてみた。
場所を変えて、木にもたれ掛かってみたり、座ってみたりもした。
けれど、何一つとして浮かび上がってこない。
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:08/04/14 22:28
:SH903i
:a42MtXbw
#186 [蜜月◆oycAM.aIfI]
しばらくの間、ごろごろ転がりながら待ってみたけれど、二度目の変化は訪れなかった。
あたしは諦めて立ち上がり、服についた土を払う。
すると、サトルがなにかを見つけたように木々の間を見つめているのに気付いた。
「どうしたの?」
「ねえ、これ……道じゃない?」
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:08/04/14 22:28
:SH903i
:a42MtXbw
#187 [蜜月◆oycAM.aIfI]
そう言ってサトルが指差した方をじっくりと観察してみると、トンネルのように一本につながった隙間があった。
わずかにだが、枝が折れていたり靴跡らしきものがあったり、人が通ったかのような痕跡も見て取れた。
――こんなところ、一体誰が通るんだろう?
もしかして、十年前あたしを見つけてくれた人……?
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:08/04/14 22:29
:SH903i
:a42MtXbw
#188 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしの目の前に、ひとつの手掛かりが現れた。
それをみすみす逃す訳にはいかない。
「行こう」
ここで立ち尽くしていても何も思い出せそうにもない。
かと言って、このトンネルの先には何も無いのかもしれないけれど。
それでも、自分から動かなければ何も見つけられない。
そう考えたあたしは、この道の先に行くべきだと思ったのだ。
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:08/04/14 22:30
:SH903i
:a42MtXbw
#189 [蜜月◆oycAM.aIfI]
サトルがいつもの笑顔で頷くのを見て、あたしは道とも言えない道に足を進めた。
狭いし、飛び出している枝は多いし、足場は悪い。
後ろを振り返るのは難しいけれど、葉や土を踏み締める靴音で、サトルが後ろからついてきてくれているのがわかる。
不安は、無い。
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:08/04/14 22:31
:SH903i
:a42MtXbw
#190 [蜜月◆oycAM.aIfI]
トンネルのようなこの道を進むにつれて、あたしはひとつの確信を得た。
やはりこの道を使っている人がいる。
さっきの空間までの道のりを考えると、今歩いているところはかなり歩きやすかった。
ちょうど人ひとりが通れるギリギリの隙間が続いていて、足元に落ちている葉や草の量も他の場所より少ない。
飛び出している枝はどれも、少し体をひねればうまく避けられる。
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:08/04/15 22:03
:SH903i
:OfU8ov5.
#191 [蜜月◆oycAM.aIfI]
しかし歩きやすいとは言ってもそれはさっきの道と比べてのことで、やはり足場は悪いし時々は枝に引っかかれる。
あたしは顔を歪めながら、ゴールの見えない道を前へ前へと進む。
この道を通っているのは誰か。
その人物は、あたしの過去に関係があるのか。
何かを、知っているのか。
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:08/04/15 22:05
:SH903i
:OfU8ov5.
#192 [蜜月◆oycAM.aIfI]
今はまだ、何も解らない。
けれど、知りたければ進むしかないのだ。
あたしは後ろから響くサトルの靴音を聞きながら、何も考えず歩き続けた。
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:08/04/15 22:06
:SH903i
:OfU8ov5.
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