よすが
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#23 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「ユキー、どこ行ってたんだよー? 保健室行ってもいないし。鞄置きっぱなしだし。午後の授業出なかったんだってー?」

この男子生徒、サトルは、あたしが転校した小学校で出会った、一つ年下の幼なじみのようなもの。
彼とは家が近く、学校の行き帰りを共にすることも多かった。

「ごめんごめん、ちょっと考え事してたらこんな時間になってた。帰ろうか?」
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⏰:08/04/03 00:43 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#24 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは笑って答えながら鞄を手に取った。

「うん!」

サトルを見ていると、人懐っこい子犬みたいだといつも思う。
眩しいくらいの笑顔で返事をするサトルを見て、なんだか安心してしまった。

――あたしは変わらない。
例え何があろうと、あたしには大切な人たちがいるから。


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⏰:08/04/03 00:44 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#25 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

学校を出て、サトルと並んで歩いていた。
そうしていても、昨日の夢のことが頭を巡ってしまう。

「ユキ、ユキ!」

サトルがあたしの顔の前で片手を振っている。
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⏰:08/04/03 00:46 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#26 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「どうしたの? なんか今日変だよ、ユキ。何かあった? 誰かに虐められた?」

サトルが本気で心配してくれているのが解る。

「サトル、今日時間ある?」

「あるけど、何?」

あたしはサトルを連れて学校の近くのコーヒーショップに入った。

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⏰:08/04/03 01:09 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#27 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
サトルはちょっとバカだけど、いざという時は頼りになるし、心の底から信じられる友達だ。

出会ってすぐの頃、サトルとあたしとあたしの母と、三人で大型のショッピングセンターに出掛けたことがあった。
あたしとサトルは楽しくて、母の言うことを聞かずに走り回って遊んでいたら、いつの間にか母とはぐれてしまった。

複雑な構造のショッピングセンターの中で、あたしとサトルは母を探してあちこち歩き回ったけれど、母の姿はどこにもない。
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⏰:08/04/03 01:10 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#28 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは心細くなって、泣き出してしまった。
するとサトルは、そんなあたしの手を引っ張って、近くにいた店員さんに話しかけた。

「迷子になっちゃったんですけど、どこに行ったらいいですかっ」

サトルの顔は真っ赤だった。きっとサトルも心細かったに違いない。
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⏰:08/04/03 02:11 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#29 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
迷子の放送をしてもらい、母が迎えに来てくれたとき、サトルも泣き出してしまった。
あたしが不安にならないように、我慢していたのだろう。

それがすごく嬉しかったし、あたしには一つ年下のサトルがとても強く見えた。

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⏰:08/04/03 02:11 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#30 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

大通りに面したコーヒーショップの窓際の席に座り、あたしはサトルに夢のこと、過去のことを全て話した。

サトルは何も知らない。
今まで、あたしの中で過去の話はタブーだったから。

初めて聞くあたしの話に、サトルは一生懸命耳を傾けてくれた。
たまに理解出来ないところを聞き返してくることもあったけれど、それ以外は黙って聞いてくれた。
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⏰:08/04/03 02:14 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#31 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
全てを話し終えて、あたしは最後にこう付け加えた。

「あたし、思い出したいの」

サトルは、あたしの顔を真っ直ぐ見つめて黙っていた。
何と答えようか、考えているのだろう。

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⏰:08/04/03 02:15 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#32 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
たっぷり五分は沈黙が続いた後、サトルが口を開いた。

「もし、ユキが辛くなったら、僕がいるから。何があっても僕がユキを守るからね!」

嬉しかった。サトルはいつも、あたしを安心させてくれる。
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⏰:08/04/03 02:18 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


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