よすが
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#395 [蜜月◆oycAM.aIfI]
そう言いながらあたしの顔を上げさせたサトルは、やっぱり笑顔だった。
いつもの笑顔。まぶしく輝く、とびっきりの笑顔。
「飴、食べなよ」
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:08/05/26 01:46
:SH903i
:190zu.A6
#396 [蜜月◆oycAM.aIfI]
優しく促されて、あたしはコクリと頷くと包みを破ってレモンキャンディを口に含ませた。
舌の上で転がすと、レモンの酸味と飴の甘味が口いっぱいに広がる。
口の奥の方がキュッと縮こまる感じがした。これが大好きなのだ。
サトルが穏やかな表情で見守ってくれていたので、あたしは小さく笑い声を零してしまった。
「おいしいよ」
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:08/05/26 01:47
:SH903i
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#397 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「ほんとに好きだねぇ。持ってきてよかった!」
へへ、と笑ったサトルにあたしは心の底から感謝した。口では言い表せないくらいだった。
「ありがと、サトル!」
と、気持ちが抑え切れずにあたしは自然とサトルの体に抱きついていた。
サトルは驚いたような短い声をあげたけれど、嫌がることもなくあたしの肩をポンポンと優しく叩いてくれる。
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:08/05/26 01:47
:SH903i
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#398 [蜜月◆oycAM.aIfI]
しばらくそのままの状態であたしたちは抱き合っていた。
あたしはサトルに恋愛感情を持ったことはないし、この先もないと思う。それはサトルの方でも同じだろう。
だからといってサトルに男としての魅力がない訳ではなくて、むしろサトルはモテる方なんだと思うんだけど、今やあたしにとってサトルはほとんど家族みたいなものなのだ。
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:08/05/26 01:48
:SH903i
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#399 [蜜月◆oycAM.aIfI]
だからこうやって抱き合っていてもあたしは安心しか感じていなかった。
今の状況はあたしには謎だらけだけど、サトルがいるからパニックにならずにすんでいるのだ。
あたしは気持ちが落ち着くとサトルから体を離してこう切り出した。
「あたしたち、どうしてここにいるの? サトルが勝手に入ったんじゃないよねぇ?」
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:08/05/26 01:49
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#400 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしは出来るだけ重くならないようにサラっと聞いたつもりだったけど、少し声が震えてしまったかもしれない。
「うーん……」
サトルは何か考えているように視線を漂わせると、急に立ち上がってこう宣言した。
「自分の目で見た方がいい!」
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:08/05/26 01:49
:SH903i
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#401 [蜜月◆oycAM.aIfI]
自信満々に言い切るサトルを、あたしは布団の上からぽかんと見上げていた。
「体は? まだ辛い?」
体を屈めたサトルの手の平が再びあたしの額を覆う。やっぱり冷たくて気持ちいい。
「もう大丈夫だけど……見るって何を?」
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:08/05/26 01:50
:SH903i
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#402 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「見ればわかるから、ほら、手貸して?」
あたしの額から剥がした手でそのままあたしの腕を掴み、立たせようと体を支えてくれるサトル。
あたしは言われるがままに毛布から這い出してサトルの手に体重をかけた。
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:08/05/26 01:51
:SH903i
:190zu.A6
#403 [蜜月◆oycAM.aIfI]
しかしまだ熱は下がり切っていなかったらしく、立ち上がった瞬間めまいに襲われた。
視界が真っ白になり立っていられなくなったあたしの体を、すんでのところでサトルの腕が支えてくれた。
「ユキ! 無理なら無理って言ってよ! フラフラじゃないか!」
「本当に大丈夫だから、急に立ち上がったからくらくらしただけだよ」
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:08/05/26 01:52
:SH903i
:190zu.A6
#404 [蜜月◆oycAM.aIfI]
それでもサトルは心配なのか少し怒りながらあたしを寝かせようとしたけれど、なんとかなだめすかして外に出ることになった。
あたしは自分がどのくらい寝ていたのか全くわかっていなかったので今の時間がどのくらいなのか見当もついていなかった。
あたしが布団の横に置かれていた自分のバッグを肩にかけると、サトルもレモンキャンディの入ったリュックを背負ってドアに手を伸ばす。
そこであたしは自分の異変に気がついた。
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:08/05/26 01:52
:SH903i
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