よすが
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#431 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「約束……」

「思い出したら迎えに来てね、って。思い出してくれた。こうして今ここに来てくれた。
こんなにフラフラになってまであたしを見つけ出してくれたんだもん」

ハナがあたしの額から頬を優しく撫でる。
目の前の顔は静かに微笑んでいて、暗闇の中でそこだけ輝いているみたいだった。
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⏰:08/06/08 00:00 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#432 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「……幸せだった?」


ハナの問いかけに胸が詰まる。
ハナが全てを投げ出して忘れ去られていた時、あたしが何不自由ない温かい時間を過ごしていたのは事実なのだ。
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⏰:08/06/08 00:01 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#433 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「あたしは怖くなかったよ。来てくれると思ってたから。何もかも投げ出したけど、何ひとつ諦めなかった。
ユキがあたしの分まで生きてくれてるって信じてたから、あたしはあの日から今まで、死んでるのと変わりないようなこの長い時間を耐えられた。
楽しかった? 普通の幸せを手に入れた? あたしの分まで全力で生きた?」
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⏰:08/06/08 00:01 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#434 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしの目を見ながら一つ一つゆっくりと尋ねるハナの言葉に恨みや妬みは感じられなかった。ただ純粋に、離れていた時間を取り戻したいという気持ちだけがあたしに突き刺さる。

「……幸せだったよ。ハナの分まで、みんなから愛してもらったよ」

あたしの答えを聞いてハナは顔いっぱいに笑みを浮かべた。
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⏰:08/06/08 00:02 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#435 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「もっと教えて、ユキの十年。何が楽しかったか、どんなことがあったか。全部知りたい」

そうだ。
別々に過ごした十年はあたしたちにとって分かち合うべき時間であって、あたしはハナの十年を、ハナはあたしの十年を知らなくちゃならない。
十年の全てを語り尽くすには長い時間がかかるけれど、それはこれから先にたっぷりある。
あたしたちが離れることはもう二度とないのだから。

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⏰:08/06/08 00:03 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#436 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「うん、全部分け合おう。あたしの十年は、ハナの十年でもあるんだもん」

あたしは腕を広げてハナの体を思いっきり抱きしめた。

「ハナ、ユキー!」

叫びながらガバッと抱き着いてきたのはサトルだ。すっかり忘れていた。
ハナとあたしが抱き合っているところにさらに覆いかぶさってきたサトルは号泣している。
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⏰:08/06/08 00:03 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#437 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「よかったー! あぁ〜もうホントによかったー! うあぁぁぁん」

さっきまで静かだったのは我慢していたからのようで、それがはち切れて大変なことになっている。
サトルを自分達からはがして、あたしとハナは顔を見合わせて吹き出した。
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⏰:08/06/08 00:05 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#438 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「もう、サトルはホントに変わらないねぇ」

そんなことを言いながら楽しそうにしているハナを見てあたしは、これは夢じゃないんだと実感していた。
そして。

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⏰:08/06/08 00:06 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#439 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「わぁー!」
「きゃあ!」

急に辺りが光に包まれ、大きな爆発音が響いた。
一瞬にして闇に戻ったかと思うと、再び空から眩しいくらいの光が降り注ぎ地面を揺らすような低い音が届いた。
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⏰:08/06/08 00:06 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


#440 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「花火だ!」

立ち上がって叫んだかと思うと、サトルはもと来た方向へと走り出す。
あたしたちが呆気にとられてその姿を見ていると、くるっと振り返ってパタパタと手招いた。

「二人とも何してるの、早く!」

サトルの焦った声にあたしとハナも慌てて立ち上がり、サトルの後に続いて走り出した。


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⏰:08/06/08 00:07 📱:SH903i 🆔:aqXUJcpA


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