よすが
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#626 [○○&◆.x/9qDRof2]
だけど、気付いてしまった。九年もの間、全く気付かなかったことに、わたしは、気付いてしまった。じわりじわりと熱が蘇ってくる。

 わたしは、

 孝が、

 満天の星空の下、わたしはこころの奥底に秘めた気持ちを隠した。暗い暗いこころの奥に。二度と上がってこないように。気付いてしまった以上は、仕方がない。

⏰:22/10/25 18:00 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#627 [○○&◆.x/9qDRof2]
わたしは死んだのだ。わたしにはもう、道は残されていない。希望はないのだ。失望することがわかっている以上、封印してしまおう。それが良い.......そうしよう。その日、わたしはベンチで夜を明かした。

⏰:22/10/25 18:01 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#628 [○○&◆.x/9qDRof2]
月曜日の朝になった。退屈とは拷問に近い。孝がいるから学校に行く気もしないし、家に帰る気もしない。わたしはいつか消えるのだろうか。その時は昨日の気持ちも消えていくのだろう。その先には天国か地獄があるのかな。その時は昨日の気持ちも一緒に持って行くのだろう。

⏰:22/10/25 18:01 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#629 [○○&◆.x/9qDRof2]
私は初めて自分が女々しいことに気付いた。こうした考えを巡らすのは、隠したはずの気持ちが漏れだしている証拠ではないか。振り出しに戻った気がした。心が空っぽになった気がした。
膝をぱんっ、と叩いて立ち上がる。

「私、これからどうしようかな」

気が重いがとりあえず家に帰ろうか。
ふらふらと家の方角に歩き出した。

⏰:22/10/25 18:01 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#630 [○○&◆.x/9qDRof2]
家の前に着いた。
玄関先には父と母の姿があった。

「じゃあ、行ってくる」

スーツ姿の父が鞄を下げて手を上げる。

「行ってらっしゃい」

「今日は早めに帰るよ」

父がそう言うと母は笑った。

「早く帰りたい、でしょ?」

「まぁ、そうだな。じゃ、そろそろ行ってくる」

「はいはい。私もこのまま出ますよ」

「…良枝。これから、頑張ろうな」

⏰:22/10/25 18:02 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#631 [○○&◆.x/9qDRof2]
微笑む父に母はまた笑った。私は何故か違和感を覚えたが、父に「いってらっしゃい。頑張ってね」と声を掛けると玄関に向かった。

リビングに上がると違和感が一気に増した。違う。何かが違う。仏壇に私の写真がない?母の笑顔が頭にちらつく。父の言葉が頭を過ぎる。

⏰:22/10/25 18:02 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#632 [○○&◆.x/9qDRof2]
「頑張ろうな」
頑張ろうな?
昨日から何かが変だ。
前向きだが、何かが違う。
私は母が家に入って来ないことに気付いた。

⏰:22/10/25 18:02 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#633 [○○&◆.x/9qDRof2]
母の声が再生される。
「私もこのまま出ます」
出る?何処へ?
何故一昨日帰ってこなかった?
何故一昨日普段着だった?
私は弾かれたように家を出た。

⏰:22/10/25 18:02 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#634 [○○&◆.x/9qDRof2]
キョロキョロと辺りを見渡せば、彼方に母の後ろ姿が見えた。私は走って後を追った。おかしい。人間の頭で考えるのも変だが、どうもおかしい。私は死んだ。消滅するのはいつだ?三途の川はどこだ?お花畑や血の池地獄にはいつ行くのだ?

⏰:22/10/25 18:03 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


#635 [○○&◆.x/9qDRof2]
それに、まだ見ていない。私という死者が存在しているのに、私以外の死者の姿を。私は何だ?一つの希望が頭に浮かんだ。希望を断たれた時に傷付くのは嫌だが、往生際が悪いのは私の性格だ。だが、私はそれに賭けてみたかった。

⏰:22/10/25 18:03 📱:Android 🆔:zH8LnywQ


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